第3部で新規ビジネスのサービスや製品、そしてその事業戦略を考えてきた。ここまでは、あまり形式にとらわれずに自由な発想で考えることができる。次にやることは、これまで考えたことを書面に書き出す作業だ。例えば、新規事業を立ち上げるためにベンチャーキャピタル(VC)から出資をしてもらうためには、事業計画書(ビジネスプラン)を作って相手を説得する。兼業や副業、あるいは小さな個人事業で、開業資金を自分で用意できる場合は、銀行からお金を借りたりVCから投資を引き出したりする必要はない。それでも、仕入先や協力者あるいは顧客などに対して事業の内容を説明することもあるので、事業計画書を作ることは非常に有用だ。計画書に書き出すことで自分自身の考えをまとめたり、問題点に気づくことができるので、ぜひ事業計画書を作るプロセスを実施してもらいたい。
人事担当の皆さんにとって、事業計画書は大変重要だ。まず、社員一人ひとりが事業計画書を作る能力を持つことが、ソロプレナー育成のマイルストーンになる。そして、事業計画を評価することで、社員の副業を成功に向けてサポートすることができる。あるいは、社内ベンチャーの場合は採否判定の重要な材料になる。
事業計画書に必要と思われる項目を書き出すと次のようになる。(事業計画書の事例やテンプレートはオンライン上でも提供されているので、具体的にはそちらを参照いただきたい。)
1. 事業名
2. 代表者名
3. 事業の概要・コンセプト
4. 市場環境分析
5. マーケティング戦略
6. 事業上のリスクと解決策
7. 協力者
8. 資金計画
9. 経営計画
第3部で検討した内容を基に、上記の大部分は書き出せるのではないだろうか。ここでは、事業形態や資金計画、経営計画について考えてみることにしよう。
事業の立ち上げを考えるにあたっての大前提として、以下の要件を設定しておきたい。
・兼業、副業のための小さな事業を目指す
・事業資金はほぼ自分で調達できる
・自分の知識やノウハウのみで事業経営ができる
・性急な事業拡大は目指さない
・基本的には自分ひとりでできる範囲のビジネスで人は雇わない(せいぜい配偶者のみ)