実践 サプライチェーン・マネジメント(SCM)

第1部 サプライチェーン・マネジメント(SCM)について

著者:原 吉伸

「はじめに」
サプライチェーン・マネジメント(SCM)は、販売、調達・生産、物流などの各機能が“部分最適”に陥るのではなく、外部の取引先を含むサプライチェーン全体が連携して、“全体最適”を実現することの必要性から生まれた経営管理手法である。

SCMのコンセプトは2つ。「部分最適から全体最適へ」と「規模の経済性からスピードとネットワークの経済性へ」である。

これからSCMの導入を検討される中小・中堅企業は、特に、「規模の経済性からスピードとネットワークの経済性へ」のコンセプトを取り入れると良い。中小・中堅企業は、「スピードとネットワークの経済性」を取り入れる素地を持っており、在庫削減や欠品防止、コスト削減などの具体的で、大きな効果が期待できる。

SCMプロジェクトの経営改善目標には、ROA(Return on Asset:総資産利益率)が使われる。ROAは「限られた資産からいかに最大の利益を上げるのか!」という経営指標である。営業利益を増やすか、総資本(総資産)を小さくするか、この2つのいずれか、又は両方の改善に取り組むことになる。

大きな効果をもたらしてくれる一方で、SCMの実現を難しくしている要因は2つある。1つは不確実性にどの様に対応するのか?もう1つは、需要と供給をどの様にバランス(需要量=供給量)させるか?という課題である。

第1部は、まず中小・中堅企業がSCMを導入する背景を確認した後、本書が位置づけるSCMを定義する。続いて、SCMを理解する上で押さえておきたい重要ポイントを5つ解説する。この段階では、どの様な問題意識を持ってSCMを学ぶ必要があるのか?といったことを頭に入れながら、読み進んでいただきたい。そして、1990年当時のSCM導入の背景を確認した後、経営管理手法としてのSCMのコンセプトを会計の基礎を加えながら学ぶ。最後は、グローバル化とSCMの対応などについて解説する。

第1部を読み終えれば、SCMの全体像がつかめる。読者自身が抱える課題にSCMはどの様な解決策を提供してくれるのか、その効果は期待できるか、SCMを導入するためにどの様な準備が必要なのか、などがイメージしていただけると思う。
「目次」
はじめに
第1章 全体最適を目指す、サプライチェーン・マネジメント(SCM)
 中小・中堅企業のSCM導入の背景
 サプライチェーン・マネジメント(SCM)の位置づけ
第2章 SCMを理解する為に、押さえておきたい5つの重要ポイント
 ポイント1 需要は変動する、「ブルウィップ効果」を理解する
 ポイント2 在庫の持ち方を工夫、「デカップリングポイント」でモデリングする
 ポイント3 計画機能は重要、PDCAのサイクルをしっかり回す
 ポイント4 キャッシュフローの増大をめざす
 ポイント5 SCMで“Make Money”を
第3章 SCMの2つのキー・コンセプト
 その1 部分最適から全体最適へ
 その2 規模の経済性からスピードとネットワークの経済性へ
第4章 近年、企業が直面するグローバル化とSCMの対応
 自動車業界でのグローバル化の現状
 グローバルSCMで求められること

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