実践 サプライチェーン・マネジメント(SCM)

第4部 利益管理の基礎

著者:原 吉伸

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「はじめに」
企業経営の観点から、経営実態がタイムリーに把握、分析できる様に「見える化」しておくことが、まず重要である。

「見える化」は、必要とする人が必要な情報にタイムリーにアクセスできるシステム環境を整備することから始まる。必要な情報を経理部や情報システム部にその都度依頼して、データを紙で提出してもらったりすることではない。当事者がデータに直接アクセスすることで、新しい分析の切り口や従来見落としていた市場縮小・拡大の原因や将来のトレンドが発見でき、業務改善に関する様々な“気づき”が生まれる可能性がある。

「見える化」は情報システムの重要な役割であるが、当然のことながら、業務の標準化やルール化など、情報システムを通して、様々なデータにアクセスできる環境を整備しておくことが必要である。

今、みなさんが勤務する会社は、以下の問いに自信をもって答えることができるだろうか? いくつの質問に答えられるか、まず、やってみよう!  

Q1 製品1個の製造原価はいくらなのか?
Q2 製品を1個売ると、どれくらいの利益を得ることができるのか?
Q3 どの製品が儲かっていて、どの製品が儲かっていないのか? 
Q4 どこの国・地域が儲かっているのか、儲かっていない国・地域はどこか?
Q5 営業担当者A(又は営業グループ)は、事業部の利益にどれほど貢献しているのか?
Q6 製造原価を1%低減させるためには、どの工程をどの程度、改善すれば良いのか?
Q7 売上高が昨年と同じである場合、製品構成をどのように変えて生産・販売すれば、昨年より利益を増やすことができるのか? 
Q8 次月以降の利益予想を踏まえ、利益を最大化するための売上計画や原価低減計画を作成できるのか?

上記の問いは、主に製品別の原価管理や利益管理に関するものである。 さあ、どうでしたか?

企業や事業部として「儲かっているのか、儲かっていないのか」といった計数管理はできていても、製品別や顧客別、部門別、流通チャネル別などの原価管理や利益管理ができている企業はまだ多くない。特に、中堅・中小企業は少ない。

海外製品との競争や国内市場の縮小といった状況下では、きめの細かい数値をおさえてマネジメントしていかないと利益を確保することは段々厳しくなっている。

第4部は、利益管理の基礎として、損益分岐点分析を取り上げる。原価を変動費と固定費に分離し、原価、販売数量、利益の相関関係を分析することで、利益と費用が一致する点(これを損益分岐点と呼ぶ)を算出する。これは、企業の利益構造を把握する手法である。更に、製品別利益分析の事例として、食品事業や金属加工事業、半導体材料事業での分析・改善案を紹介する。

更に、原価管理や在庫管理、利益管理のような経営管理とそれを支える社内情報システムの関係を整理しておく。計数管理に基づいた経営を行おうとしても、肝心のデータの整備やシステムが構築されていないと、大変な手間とタイムリーな経営判断ができない場合がある。第4部の最後は、経営管理と情報システムの関係を述べる。

第4部を読み終えると、経営レベルでの「見える化」の重要性と企業の利益構造を把握する手法が理解できる。

第4部は、利益管理を体系的に整理したものではなく、SCMを理解する上で特に、必要な部分を中心に取り上げたものである。利益管理を網羅的・体系的に学びたい方は、他の専門書もご覧いただきたい。
「目次」
はじめに
第1章 企業の利益構造がわかる、損益分岐点分析を学ぶ
損益分岐点分析とは
損益分岐点分析の計算方法
第2章 製品別利益分析の事例から学ぶ
現状の課題
事例1 食品事業の例
事例2 金属加工事業の例
事例3 半導体材料事業の例
事例4 ポートフォリオ分析の例
第3章 経営管理と情報システムを整理する
情報システムの経営的課題
ERPシステム

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