実践 サプライチェーン・マネジメント(SCM)

第5部 SCMの理論的根拠

著者:原 吉伸

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「はじめに」
1990年代、サプライチェーン・マネジメント(Supply Chain Management: SCM)が登場した背景には、「部分最適から全体最適へ」という考え方があった。

企業は、一般に縦割り組織で構成されている。営業部や生産部などが組織ごとに作成した部門目標に向かって努力するだけでは部分最適に陥ってしまう。企業内に限定せず、部品のサプライヤーや卸売業者、小売業者などの外部の取引先を巻き込んだ横串を通し、「全体の物の流れをマネジメントする」ことが経営課題として急速にクローズアップされたからである。

特に、1990年代後半に、デル・コンピュータ社が強力な戦略パートナーシップを構築し「スピード経営を実践する“デル・ダイレクトモデル”」を掲げ、パソコン業界で急成長を遂げ、SCMは一気に広まった。

20年以上経った今も、SCMはTOC(Theory of Constraint: 制約理論)に裏打ちされた、理論的根拠に基づく色あせないマネジメント手法として、様々な企業で導入されている。いつの時代にも通用する考え方である。SCMの範囲は、企業内にとどめず、小売店や卸売業者、部品・資材サプライヤーなどを含めた産業プロセス全体に広げて考えるのが適切である。

TOCは、イスラエル人の物理学者であるゴールドラット博士が開発し、SCMの理論的基盤となっている。皆さんの中には、彼のベストセラー、小説風ビジネス書「The Goal(ザ・ゴール)」を読まれた方も多いだろう。この本に書いてあることを実践した企業が多くの成功事例を生み出す結果になり、一気に世界中に広まっていったのは記憶に新しい。

SCMを物流やロジスティクスの延長線上の概念として捉えている人がいる。また、SCMプロジェクトでは在庫削減や原価低減を目標にする場合が多いので、在庫削減や原価低減の手法として捉えたり、ITツールとして理解している人もいる。しかし、SCMは単なるコスト削減ではなく、Make Moneyの考え方も合わせ持つ。つまり、“企業経営そのもの”としてSCMを位置づけるべきである。

第5部は、SCMの理論的基盤となっている、TOCやボトルネックを取り上げる。また、ゴールドラットが提唱している「スループット会計」についても、述べる。

そして、企業内でSCMを構築するプロジェクトを立ち上げる場合、一般的なアプローチを計画フェーズとインプリメンテーションフェーズに分けて解説する。

第5部を読み終えると、SCMの理論的根拠が明確になり、一層SCMへの理解が進む。 
「目次」
はじめに
第1章 スループット会計を学ぶ
  スループット会計登場の背景
  スループット会計とは
第2章 ゴールドラット博士の制約理論(TOC)を学ぶ
  TOCとは
  スループットはボトルネックに制約される
  軍隊行進のアナロジー
  在庫の役割
第3章 SCMプロジェクトへのアプローチ
  経営実態を定量的データで把握することに関する課題
  SCM導入アプローチ
  計画立案フェーズ
  インプリメンテーション・フェーズ

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