会計に関する本ぐらい読んでいて「面白くない」本はない。でも本屋さんの店頭には、この種の本が溢れかえっている。日本のビジネスパーソンが概して勉強熱心であることがその原因の一つであることは間違いない。それにしても会計関連の書物が「面白くない本」であることに変わりはない。
なぜ「面白くない」のだろう。 まず総じて、書き手の「人間性」が伝わってこない。話の内容からして致し方のない部分もあるが、書き手の「人間性」が伝わらないから、著者に対する親しみが湧かない。親しみを感じなければ、当然、つまらなくなる。
次に、表現が平板になりがちだ。モノトーンのメリハリのない「お経」を聞いているような気持ちになり、中身が頭に残らないし、たとえ残ったとしてもすぐに忘れてしまう。
会計書の場合、「結果」のみが縷々(るる)述べられることが多く、何故そうなったのかについての説明がない。そこに至るまでの先人たちの汗と涙、苦闘の歴史には触れず、結果や成果だけを単純に切り取って羅列しているだけだから、「ああそうか」で終わってしまう。感動することがない。
加えて私には、会計独特の発想、モノの見方、考え方が会計の理解を大いに妨げているように思えて仕方がない。でも逆にこうした発想や、見方、考え方が分かってくれば会計の理解の手助けになる筈だ。 今回は、こうした会計特有の発想、見方、考え方について整理してみよう。