第2部では複式簿記がいかに「すぐれもの」であるかという話をした。 この「すぐれもの」はやがて、イタリアからネーデルランド(現在のオランダとベルギーの北部)を経て、広くヨーロッパに伝播し、やがてはイギリスで「近代会計」へと進化・発展してゆく。
「簿記」が「会計」に進化していったわけである。
本部では、「イタリア、オランダそしてイギリス」などという妙なタイトルをつけてしまった。
何もJリーグのサッカー選手が、インテルからフェイエノールト、そしてマンチェスターへ移籍したという話をしようというのではない。簿記が会計に進化するまでの経緯を見てみようというものだ。
イタリアの複式簿記がヨーロッパン各国へ伝播し、ネーデルランドで「期間計算」の考え方をもった「オランダ簿記」になる。そしてイギリスに至って「固定資産会計」が加わり、現在の「会計」の原型になった、という話をしたい。したがって、本部は一種の「教養番組」である。本当なら、バーボンのオンザロックを片手に1960年代のビル・エバンスやウイントン・ケリー、レイ・ブライアント(一寸、古いかな)のピアノ曲でも聴きながら、気楽に読んでもらえればよい。
例えば、あの分かりにくい「減価償却」とは、「産業革命」後に機械や設備といった固定資産が経営の重要な要素になるにつれて誕生した「固定資産会計」による費用の配分であり、それまでの会計にはなかった概念なのだ。