- 「はじめに」
- 「能力の氷山モデル」の最後を飾るのはコンピテンシーだ。コンピテンシーは「高い成果を生み出すために、行動として安定的に発揮される能力」と定義する。すなわち①成果に向けた行動であり、また、その行動が時々ではなく、②安定的に発揮されるとき、コンピテンシーとするということだ。
コンピテンシーは、社会的動機の研究で名高いマクレランドらのグループが1990年代初頭に発表したものだ。米国社会で広く受け入れられ、世界に伝播していった。コンピテンシーは今、人事における基本知識の一つとなっている。何よりも学問的裏付けがあり、再現性があるのが素晴らしい。日本の1970年代から80年代に日本の津々浦々まで浸透した職能資格制度とは全く違うシステムだ。これには学問的裏付けがなく、再現性もない。
コンピテンシーは本来融通無碍(ゆうずうむげ)で、いくつでも定義することができる。しかし社会的な活動のほとんどは、20の基本コンピテンシーで表現できるというのが、マクレランドの研究の成果だ。この部ではマクレランドらが特定した「20の基本コンピテンシー」を説明する。 続く第8部で、あなたの持っているコンピテンシーのプロファイリングを行う。
- 「目次」
- はじめに
第1章 コンピテンシーとは?
「コンピテンシー」の定義/コンピテンシーは成果につながる行動である/コンピテンシーはいくらでも定義可能
第2部 コンピテンシーで業績を上げる
どちらが優秀なセールスマンか?/B氏のコンピテンシーは何か?/A氏のコンピテンシーは何か?/ひとの能力をプロファイルする
第3章 仕事で使う20の基本コンピテンシー
ヘイグループの『コンピテンシー・ブックレット』を推奨する/6つのクラスターと20の基本コンピテンシー/達成能力クラスター/支援能力クラスター/影響能力クラスター/管理能力クラスター/問題解決能力クラスター/自己管理能力クラスター
第4章 あなたのコンピテンシーは?
高いコンピテンシー、低いコンピテンシー/理解度チェックテスト/「第8部 コンピテンシーのプロファイリング」について
補章 “competency”と“competence”