原価計算は、財務会計と経営会計のどちらにも属する重要な会計ジャンルだ。会計書の中には、(財務、経営会計からは)独立した分野として扱っているものもある。
正直、あなたが原価計算に精通する必要はない(実際に関わっているのであれば、話は別だが・・・)。概して、面倒くさいとして、嫌いな人が多い分野だ。「なじみ」がないと分かりにくいし、特になじみになろうとも思わないだろう。
現在われわれが使っている原価計算のやり方は、1900年頃、主としてアメリカで考え出されたものであり、実際、その中身は今も当時とそんなに変わっていない。
この辺の事情を掘り下げてみると、原価計算も、存外、理解しやすいのだが、私もそのあたりを丁寧に説明してくれる本にお目にかかったことがない。
解説本を見ても「昔からこうなっているから、これでいいのだ」的な「上から目線」(?)での説明に終始しているものが多い。これは教える側の問題だ。
「原価計算」というと大抵は製造業を対象にしているが、もちろん、非製造業でも原価計算は不可欠だ。これをやらないと財務諸表が作成できない。また、同じ製造業でも各社それぞれのやり方があるようだ。いずれにしろ厄介なジャンルであることには変わりがない。
敢えて原価計算のエキスパートになる必要はない。でもビジネスパーソンのひとつの「教養」としてその基本を知っておいて損はない。だからこのシリーズでは、主として経営会計との関連であなたが知っていて損はないような基本部分だけを取り上げることにする。
しかし、いきなり原価計算の話に入っても無味乾燥になるだけだから今回は、原価計算の理解のための「ウオーミング・アップ」をしよう。