企業会計上級

第9部 試算表と月次決算について

著者:宇野 永紘

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「はじめに」
予算策定の一貫のとして「月次予算」を作成する。これに月次ベースの試算表を組み合わせると、月次の経営の流れが掴める。これは経営会計と使った経営の基本なのだが、これをきちんとやっている企業は少ない。ぜひ実践したプロセスだ。今回は試算表と月次決算の話をしよう。

私の銀行勤務時代の同僚で定年退職とともに、第2のサラリーマン人生を送るべく、ある中堅電子機器メーカーの財務・経理部長へ転出した友人がいる。彼が新しい会社へ再就職した直後のことだ。当時、銀行系のシンクタンクの経営コンサルティング・グループを任されていた私を訪ねてきた彼が、何とはなしに元気がない。普段から明朗闊達な好漢なので訝しく思っていると、長年の誼(よしみ)からか「正直、参ったよ」と私に向かって仕事上の悩みを漏らし始めた。
新しい職場の水が合わないのかと思ったがそうではないらしい。
聞けば、次のような話だ。

この会社では彼が統括している部で月次の残高試算表を作成することになっているのだが、この試算表が出来上がって、部長である彼の手元に届くまでに相当の時間がかかる。早くて翌月の中旬、悪くすると月末近くになっても届かないことがある、という。 おまけに月次決算を全くやっていない。全社レベルで月次決算が行われていないだけでなく、工場、各部署、各ビジネスユニット単位といった下部レベルでの月次決算もない。これでは会社の現状把握に時間がかかるから、「まともな経営などできるわけがない。何とかしなければ」と考え、「お前のところにコンサルティングを頼めないものか」と相談にきた、というのだ。

同社の場合、試算表は独自の会計ソフトを使って、PCで作成しているという。作成が遅くなるのは伝票の回りが遅いか、記帳に時間がかかっているのだろう。担当者に督促するか、月末前に一度仮締めをすることである程度まで対応できるだろう。でも月次決算となると、そんなに簡単にはゆかない。

故金児 昭さんによると、わが国に300万近く存在する会社の中できちんとして月次決算を実行している会社はほんの一握りだそうだ。友人の会社も月次決算に無縁な日本の会社の多数派に属しているわけであるから、それほど落胆する必要はないのだが・・・・・・・
「目次」
試算表とは
2種類の試算表がある
月次決算とは
2つの意味合いがある
はじめに計画ありき:『信長の野望』
Plan- Do- Check- Action(PDCA)
予算あってのPDCA
月次決算の進め方
月次決算フォーマット例
月次決算では何に注意すべきか
この部で取り上げた重要なスキル
理解度チェックテスト

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