企業会計上級

第15部 リースの経済採算性

著者:宇野 永紘

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「はじめに」
リースあるいはレンタル物件というのは、今や、我々の身近に結構、数多く存在している。自分の所有物ではないのに、あたかも所有物のように使われている物件だ。
例えばあなたの会社の受付カウンターのわきに置いてある熱帯魚の水槽とか、あるいは応接間に飾ってある油絵や版画の類いは、大抵、会社の所有物ではない。リース会社の持ち物である。つまり会社にとっては、「借り物」なのだ。コピー機などのOA器具、コンピュータ、ファックスといった情報機器、自動車、フォーク・リフトなどの車両運搬具の中にはリース物件が多い。製造現場で活躍している機械の中にもリース物件が存在している。これだけリース物件が広範に利用されているのにはその利便性や経済性が評価されているからに他ならない。

ちなみに、イギリスの「産業革命」では、リースが大活躍したという話を聞いたことがある。当時は、鉱山や製鉄所でも施設や装置一式が貸し出されたという。18世紀前半のイギリスの工場経営は、生産設備や作業場の賃借経営の上に成り立っていた、というわけである。

企業が何らかの新規設備を導入する際にこれを自ら購入調達するか、あるいはリース業者を介して調達するかは一考を要する重要な経営課題である。どちらを選択するにしても、一長一短があるから、この選択は一筋縄ではいかない。実はこうしたリースの利用が企業にとって少なくとも経済採算上、有利なのかどうかを判断しておくことは重要だ。ではどうやって判断したらよいのか?
実は、前回紹介したNPV法やIRR法がここでも役に立つのだ。

経営コンサルタントの久住正一郎さん(「入門経営管理会計」(日本実業出版社)という著書がある)によれば、「リースの経済採算性」分析は投資採算性分析の集大成のような存在であるという。確かにそこではNPV法やIRR法といった経営会計手法が駆使され、実態の解明に活躍する。わが国の経営者、経営管理者がもっと注目してよい、また注目すべき側面を持っている。今回はそんな話をしよう。
「目次」
リースとは
ファイナンス・リース
減価償却は誰が行う?
リース利用の経済採算性分析
簡単なモデルを使った検討
投資案件として是認できるか?
リース利用の是非
リース会社の「利回り」を探れ
「差額キャッシュフロー」を使った分析
ある「リース会計」物語
リースは「負債」、「資産」?
2007年の「リース会計」改正
「ファイナンス・リース」の判定
この部で取り上げた重要なスキル
理解度チェックテスト

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