企業会計上級

第17部企業価値について

著者:宇野 永紘

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「はじめに」
前回の第16部で「経済利益」について説明した。
経済利益は、別名、「経済付加価値」(Economic Value Added)であり、これが"EVA"の語源になっている。まさしく、その実体は文字通り、「付加価値」に他ならない。
企業が創業以来創りだしてきた「付加価値」をすべて足してやると、理論上、その企業の「価値」、つまり「企業価値」になる。今回は、
この「企業価値」("Enterprise Value")について考えてみよう。

実際、「企業価値」という言葉は、実に曖昧な使い方をされている。
いささか旧聞に属するが、2005年、「ホリエモン」こと例の堀江貴文氏が率いるライフドア・ホールディングのTOB攻勢にさらされたニッポン放送(フジテレビの親会社)が曲折を経て、結局、和解にこぎつけたことがあった。その際の記者会見の席上でニッポン放送の亀山社長(当時)が報道陣に対して和解理由を「企業価値を守るため」であると説明しているのを聞いて、「なるほど、そういう言い方もあるのか」と妙に「感心(?)」したのを覚えている。

この社長のコメントの真意は分からないが、恐らくはニッポン放送(あるいはフジテレビ)の将来的な「企業イメージに影響が及ぶ」という連想にもとづく発言だったのだろう。
ことほど左様に、この「企業価値」という言葉は、色々な意味で使われている。ある時は、その企業の製品の「ブランド価値」、あるいは「技術価値」あるいは「顧客ネットワークの価値」、「人材の価値」と結び付けられたイメージが、「企業価値」という日常会話用語になっている。マスコミによるこの言葉の使い方を見ていても、実に、「いい加減」としか言いようがない。一旦、「ブラック企業」のレッテルでも貼られたりしたら、「企業価値」も何もあったものではない、というのが現実である。

しかし、今回取り上げる「企業価値」はこうした「マスコミ用語」や日常会話用語としての「企業価値」ではない。「金融経済学」や「ファイナンス論」で使われている「企業価値」である。ここでは、「企業が行っている事業の価値を金額で表したもの」、と定義して、主として投資家、つまり「株主」の立場からみた「企業価値」について説明することにする。
「目次」
企業価値の測定方法の分類
コスト・アプローチ
マーケット・アプローチ
「倍率法」アラカルト
「EV/EBITDA」法
インカム・アプローチ
フリーキャッシュフロー
将来FCFの現在価値
予想FCFの推定と割引
FCFの予測期間と最終価値
ゴードン成長モデル
割引率
手法の選択
この部で取り上げた重要なスキル
理解度チェックテスト

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