企業会計上級

第19部 「経営会計」雑感

著者:宇野 永紘

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「はじめに」
本シリーズも前回時点でいつしか18回を数えることとなった。
「初級編」から「上級編」と、私も様々な角度から企業会計、つまり財務会計と経営会計の重要な側面に光を当ててきた。今改めて振り返ってみると、毎回とりとめのない話をしてきたような思いがして、内心忸怩たるものがある。
正直、あなたを含む読者諸賢に対して少しでも役に立つシリーズであったことを願うばかりである。お話ししたいことはまだ多々あるのだが、あまり長くなって、マンネリに堕してしまう、あるいはまとまりに欠けて、焦点がぼけてしまうのは好ましくないので、この辺りでこのシリーズも「一区切り」としたい。

実は、私の「経営会計」に対する考え方に多大な影響を与えた本が2冊ある。
そのうちの1冊は、ジョンソン(H. Thomas Johnson)、カプラン(Robert S. Kaplan)両教授の共著、「レレバンス・ロスト」("Relevance Lost")であり、もう1冊は、EVAの創始者・提唱者でもある経営コンサルタントのG.スチュアート氏(G. Bennet StewartⅢ)が1991年に著した"The Quest for Value"( Harper Business)である。どちらもアメリカの会計学者、経営コンサルタントの著書であるが、こうした大胆な発想に基づく著書がベストセラーになるかの国の会計に対する意識の高さは注目してよいだろう。

前者については、既に上級編第1回で言及したので、今回は、後者について触れてみたい。
現在私の手許にある本は、99年版であり、私がこの本に初めて触れたのは今から15年以上も前になる2000年頃だったように記憶している。その内容たるや、私にとっては半ば「衝撃的」であり、何度も読み直して、著者の言わんとしていることを懸命に咀嚼・理解しようとした思い出がある。

実際、私自身、著者であるスチュアート氏の主張に対しては納得のゆかない点もあり、氏の主張すべてに賛同しているわけではない。しかし、「会計利益」の問題点や「会計利益を軸とした経営姿勢」に対する疑念についてはまさしく「わが意を得たり」という感が強い。
今回は彼の「主張」を中心に据えつつ、「経営会計の本来、あるべき姿」を探ってみることにする。ところで、スチュアート氏は教養やユーモア豊かな、文才に優れた人であり、この本は、「読み物」としても実に面白い。わが国では先ずお目にかかれない特異な「会計書」である。
「目次」
スチュアート氏の「論点」
「会計利益は使えない」
「会計利益」に基づく誤った経営判断の例
「キャッシュフロー経営」の落とし穴
「キャッシュ」を「経営指標」にしたら・・
「EVA」を使えばよい
企業価値の算出法には「EVAを使え」?
「EP」を使えばよい
「NOPAT」は「キャッシュベースの利益」か?
最後に一言

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