第1部「公務員の職場環境」にはじまり、今、最後の第8部へ歩を進めたあなた。あなたは公務員がどういった能力を開発すべきなのか、能力を開発するには具体的にどうしたらよいのか、という問題をここまで学んできた。その意味では、この講座は総務省の進める能力評価(職員の職務上の行動等を通じて顕在化した能力を把握)に対応するものなのだ。そして、後日出稿される講座『公務員の働き方改革(成果評価編)』は総務省の進める業績評価(職員が果たすべき職務をどの程度達成したかを把握)に対応し、実際の業務や組織を成果責任によって管理する道筋を学ぶものだ。能力の開発と成果の管理という"公務員の働き方改革"に欠かせない車の両輪がそこで完結する。
とはいえ、能力と成果に関する学びを重ねても、そう簡単には解決できない出来事が突如降りかかってくることがままある。この第8部では、FさんとEさんの具体的な事例を提示し、その中で主人公がどのように苦闘してきたのかを明らかにしたい。あわせて、そういった状況からどうしたら抜け出せるのか、そのヒントを模索したいと考えている。というのは、この種の出来事は予測できないため、あらかじめ準備することも難しく、このパターンであればこう対応すればよい、というような定型的なものではない。あくまでもケースバイケース(臨機応変)かつトライアンドエラー(試行錯誤)、己の知恵と力を振り絞って乗り越えるしかないのだ。
そして、そう簡単には解決できない出来事を乗り越えるために、この第8部ではスルー力(受け流すスキル)とリジリエンス(精神的な回復力)という二つの能力の重要さを伝えたい。あなたが不幸にして予期せぬ出来事に遭遇した際、避けがたい出来事を乗り越え、再生する道筋を探りたいからだ。もうしばらくお付き合いいただきたい。