企業会計番外編

第15部 「減損会計」について

著者:宇野 永紘

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「はじめに」
 前回のテーマは「時価会計」であった。会計の世界で「時価会計」ときたら、次は「減損会計」というのが「定番」になっているらしい。だからというわけでもないが、ここで「減損」ならびに「減損会計」にふれておくことは、現在、わが国で実践されている会計の「最新の姿」を理解するうえでも大事なポイントになる。ちなみに、どちらもかつて日本経済が体験したあの忌まわしい「バブル経済」ならびにその後始末と無縁の存在ではない。

 わが国の会計制度に「時価会計」が本格的に導入された2001年3月から1年半ばかり経った2002年(平成14年)8月、金融庁長官の諮問機関である例の「企業会計審議会」が、今度は、「固定資産の減損に係る会計基準」(以下、「減損会計基準」)を発表した。「減損」とは、聞き慣れないことばであるが、要は、「値打ちが下がる」という意味である。「収益性が著しく損なわれる」と解してもよいだろう。収益性が減るのでれば早晩、「損失」につながる。だから保有資産の値打ちが下がる。企業にとっては無視できない事態だ。これは投資額の期間按分である減価償却とは異なる正真正銘の「目減り」である。目減りしてしまった資産の価値をそのままにしておくべきではない、ということでアメリカでは既に1980年代に「減損」が注目され始め、1995年にこの会計概念が導入された。また、国際関係基準審議会(通称IASB)も1999年に導入を後押しする決定を下している。

 バブル時代に形成された資産が「バブル崩壊」後の景気後退の中で、当初期待していたほどの収益力を発揮していない、有体に言えば、「儲け」を生み出すことができずに価値が目減りしている状態が続いているとなると、その目減り分をはっきりと財務諸表に反映させて外部のステークホルダーにもはっきりとわかるような会計処理を行うべし、という考え方が強まる。こうした背景のもとで登場した会計手法が「減損会計」であった。

 事実、「減損会計」がわが国で本格的に導入された直後の2006年(平成18年)3月期に企業が計上した「減損損失」はあわせて1兆6000億円という巨額にのぼった、と言われている。これだけの金額がわが国企業のB/Sからそっくり消えてしまったことになる。ではそれまでのB/Sは一体何だったのだ、と言いたくもなるが、この消えてしまった1兆6000億円は「バブル経済」の清算、「後始末」の結果である。企業側の反省の証しだった、と考えてもいいのかもしれない。

 ところで、「減損会計」の導入は今世紀に入ってわが国で実施された一連の制度改革(「会計ビッグバン」)の「締めくくり」となり、これにより「周回遅れ」状態になっていたわが会計制度も漸く欧米先進国並みの体裁を整えることになった。

 今回は、この「減損」ならびに「減損会計」をとりあげてみる。
「目次」
「減損」とは
「モトのとれる資産」、「モトのとれない資産」
「減損会計」とは
「減損会計」の流れ
ステップⅠ:資産のグルーピング
ステップⅡ:「減損の兆候」を把握する
ステップⅢ:「減損」の判定
ステップⅣ:減損損失の測定
減損会計はDCF法と同じ
ケーススタディ
将来キャッシュフローを予測
「減損」の判定
減損額の確定
会計処理
税務上の取り扱い
最後に

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