令和元年11月2日、日本各地で開催されていたラグビーW杯が南アフリカの優勝で幕を閉じた。日本代表の大活躍で日本列島に時ならぬラグビー・フィーバーが発生、「国中がラグビー一色」になってしまったような熱気だった。ラグビーとはこんなにも面白いスポーツだったのかと、改めてその魅力の虜になった人は私ばかりではなかっただろう。私の場合は大学の体育の時間にラグビーを選択して少し「かじった」程度だから、ルールや戦術に関する知識・理解は殆どないに等しい。実際、ラグビーとは、「レフリーの笛が鳴るまでは何をやっても構わないスポーツ」程度に考えていたのだが、無論、きちんとしたルールがある。
当たり前のことだが、スポーツの世界には統一された国際ルールが確立されており、これに遵守して試合が行われる。明確な統一ルールの下で行われなければ、スポーツの国際試合は成り立たない。かつて、柔道の国際試合では本来、日本で適用されているルールとは異なる国際ルールが適用され、おかげでオリンピックの金メダルを逃してしまった日本選手がいて物議を醸したことがあった。日本のルールでは明らかにこの日本選手の勝ちになるのに、そのときの外国人審判の判定では相手のフランス選手の勝ちとなった。つまり国際柔道連盟の判断では、わが国の「ルール」はあくまで「ローカル・ルール」(その国や地方でしか通用しないルール)でしかなかったというわけだ。敗けとされてしまった選手本人には「お気の毒」としか言いようがないが、国際的なビジネスの世界でもこの種のことは決して珍しくない。
会計についていえば、今のところ、世界的な「統一ルール」はない。国際会計基準(IFRS)を普及させようという動きがあるものの、主として米国とわが国がこれに難色を示してきたため、未だ完全な「世界統一ルール」にはなっていない。現在、日本や米国では欧州諸国とは違う会計ルールが適用されている。国際スポーツの世界とは大違いだ。
ではわが国で使われている「会計ルール」はどうなっているのか? 実は、4つの異なる「会計ルール」が併存している! 驚くなかれ、これがわが国の会計の実態なのだ。例えて言えば、サッカーの試合で、Jリーグ、なでしこ、高校生では適用されるルールが違っている、と言うのに等しい。ちなみのあなたの会社では財務諸表を作成する際にこれら4つのうちのどのルールを採用しているのか、一度、調べてみたらどうだろう。面白いことが分かるかも知れない。