新しい会社員のかたち“プロフェッショナル”を目指して

はじめに & プロローグ

著者:佐久間 陽一郎

「はじめに」
米国の企業は好調なときでさえダウンサイジング(組織のスリム化)を行う。メガ・コンペティション(大競争)のためである。
 
日本の企業もこれからは、最後の最後まであなたの面倒を見てはくれないだろう。いつ「あなたは必要ない」と宣告されるか分かったものではない。しかも日本の企業には、誰に辞めてもらうかを決める合理的基準がないため、組織一律のリストラにならざるをえない。加えて、本質的には年功序列から脱却できないため、年をいくほど不利になる。運よく会社に残ったとしよう。今後、実質賃金は確実に下がっていく。そのために、一流の大学を出、一流の大企業に勤める若手「サラリーマン」が、市から低所得者として子供の幼稚園のための補助金を貰うようになるといった事態が起こってくる。本書でいう“*企業貧民”の誕生である。
 
企業貧民
会社に対する貢献の度合いが明瞭に測られるようになり、峻別され、大企業にいながらも低所得にあえぐサラリーマン。
 
本書は、このような状況下であなた自身でできる最善の対策として”新しい会社員”、つまり「プロフェッショナル」という生き方を提案する。と同時に、これから向かわんとする「知識社会」でのプロフェッショナルの姿を描く。本書でいうプロフェッショナルとは「自分自身の(知的)労働によって創造された価値を(社内外の)顧客に提供し、その対価として応分の報酬を得るひと」をいう。これからの企業では、成果主義によって給料が決められるようになる。そうならなければ、企業自体に競争力が生まれないからだ。この過程で「サラリーマン」は「プロフェッショナル」と「企業貧民」に峻別されていくはずだ。
 
本書は、広くサラリーマンを対象とする。あなたが営業職に就いているのであれば営業のプロフェッショナルに、研究員なら研究を事業に結びつけるプロフェッショナルに、銀行員であるなら資金運用のプロフェッショナルに、もしくは個人相手の資金運用コンサルタントに、人事部にいるならもちろん人事のプロフェッショナルになれと提言する。あなたが「企業貧民」と「プロフェッショナル」のどちらに属するようになるかは、あなたのこれからの対応にかかっている。
 
本書は一部ノウハウ本のような書き方をしている。しかし本質は「心の持ちよう」、すなわちメンタルモデルをいかに変えていくかという問いかけである。
 
故ケネディ大統領の就任演説の次の一節はあまりに有名である。
....."Ask not what your country can do for you,
......ask what you can do for your country."
(「国が自分に何をしてくれるかを問い給うな。自分が国に何ができるかを問いなさい」)
 
本書のメッセージに、この名文句を借りれば、
....."Ask not what your country and company can do for you,
......ask what you can do for yourself."
 
あなたの国も会社も、あなたをもはや守ってはくれないことが明白なのだから、「国や会社が自分に何をしてくれるか問うてもしかたがない」。国や会社に対する依拠の姿勢を敢然と排し、自分自身を見つめ直し、磨き直し、「自分が自分自身に何ができるかを考えよう」と提唱するものである。
 
1997年2月
佐久間陽一郎
佐久間コンサルティングオフィス
「目次」
改訂版に寄せて、少し長い「はじめに」を
この四半世紀の日本は何もしてこなかった!/スキルアカデミーを創業して/時代の変化がプロフェッショナル化を促進する/eブック『新しい会社員のかたち“プロフェッショナル”をめざして~「10年後の会社員」はこうなっている~』出版の背景

目次

はじめに

プロローグ 2005年の「プロフェッショナル」のある朝の風景
ネットワーク・コンピュータを起こす/英語によるプレゼンテーション資料の作成/自分専用のニュース番組を編集する/電子メールをチェック/マイクからのビデオ・メッセージに応える/複数の企業と契約するプロフェッショナル/プロフェッショナルが必要とする「3つのマネジメント」

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