第5世代のテクノロジーマネジメント

第2部第3章、第4章

著者:古田 健二

価格 ¥1,200(税別)

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「はじめに」
これまでのところでテクノロジーマネジメントの基本的な考え方とか流などを理解できたと思うが、実際に何を、どうしたら良いかが分からなければ動けない。そこで今回の部分においては、この点について幅広い視点から検討・議論している。たとえばこれまで設計部門や生産技術部門で経験を積み、実績を上げてきた皆さんが技術企画部長になったとしよう。これから何をどのようにしたら良いのだろうか?部下にどのような指示を出して、どのような検討をさせたらよいのであろうか?そのような際に参考になる視点が今回議論することである。テクノロジーマネジメントの全般に関することであるが、今回の対象ページ数の8割以上をP(制度・仕組み)、R(経営資源)、O(組織・体制)に関することに割いてところが本書の特徴である。

まずは戦略に関することから始まるが、多くの経営戦略書にあるような戦略の考え方に関することのみではなく、技術戦略の上位概念にあたる経営戦略・事業戦略などと技術戦略の連記を強化するための強化へ向けての取組み、手法などについて述べている。具体的には、コア技術やプラットホーム技術の定義の仕方や、整理の仕方、さらにはそれらの連携強化に向けてのロードマップの考え方、作成の仕方などについて議論している。また競合優位に決定的な影響力をもつ戦略技術が実現技術から商品化技術に展開しているということについても議論しているが、この点については中国企業等との競争で苦労している現在の日本企業にとっては重要な視点である。

また日本企業の取組みが非常に遅れているP(制度・仕組み)に関しては、その全体像に触れた上で、特にテーママネジメント、全社プロジェクト制度、横断的技術共有化制度などについて重点的に説明している。

この中においてもテーママネジメントには多くのページを割いている。というのはテーママネジメントがテクノロジーマネジメントの中核をなすものであるし、現在の日本企業が直面しているグローバルな競争状況からの脱却を図るためのキーワードである“市場創造型の開発”を進めるためのテーママネジメント手法である“ステージゲート法”は言葉先行で適切に活用できている企業は少ない。この理由、背景などを振り返ったうえで、適切な活用法などについても触れているので参考になることと思う。

R(経営資源)については人的経営資源を中心に展開しているが、経営貢献能力を基本的な個人の(知的)能力と仕事に対する情熱(やる気)の積で考えるという視点を提起しているがこの考え方は新鮮であると思う。この二つの要因に分けて考えることにより貢献能力の向上へ向けた取り組みも、狙いがはっきりし具体的に考えやすくなる。このように考えることにより日本企業の取組みが個人の(知的)能力の向上策に偏っていて、総合的な貢献能力に占めるウエイトが非常に大きく経営上重要な要因である活性化への取組みが軽視されているということに気が付くし、比較的容易に取り組める活性化策についても紹介している。

さらにO(組織・体制面)からの取組み、すなわち研究開発組織のあり方、研究所などの研究開発機関についての考え方についても問題の提起とその解決へ向けてのアプローチを紹介している。たとえば無自覚に使っている“研究所”という名称や、具体的な“○○研究所”という固有名詞の問題などについての議論もしてある。同時に現在課題となっている市場動向/課題/ニーズを反映しかつ技術の進化をも両立させるという第5世代のテクノロジーマネジメントに向けての研究開発組織構造のあり方についても議論している。

最後にCTO制度についても触れているが、これも多くの日本企業でCTOが存在していると言われていながら真のCTOの活動ができているかというと、筆者がコンサルティング活動を通じてコンタクトした多くの企業においては名前だけのCTOであり、アクセサリーになってしまっている。現在の日本企業が置かれている経営環境を考えると真のCTOの存在は非常に重要になっているので、具体的な組織構造の問題ではないが意思決定機構、体制の問題としてこの問題についても触れておいた。

最後に論理的・客観的な経営判断が求められている現在の経営環境においては、そのベースとなるマネジメント指標が重要である。これは経営の見える化にもつながるもので、企業の求める価値創造活動の方向性を示す指標でもある。テクノロジーマネジメントは企業価値増大に向けた技術面からの活動であるという基本を考えると、経営貢献の評価、事業価値の評価の評価などと不可分のものであるが、各種の指標が検討されているのでこの点についても、基本的な考え方から各種の具体的な指標の例についても紹介してある。

ここまでに書いてきたように、企業における技術関連部門の日常活動の参考になることを幅広くカバーしているので是非参考にしていただきたい。
「目次」
第3章■テクノロジーマネジメントの諸施策
1 技術戦略面からのアプローチ
① 技術戦略の内容
② 経営戦略・事業戦略と技術戦略
③ コア技術とプラットホーム技術
④ 技術ロードマップ
⑤ 技術力強化へのアプローチ
⑥ 技術戦略の内容の変化
2 制度・仕組みからのアプローチ
① 研究開発マネジメント制度全体像
② テーママネジメント
③ プロジェクトマネジメント
④ 効率向上へ向けた研究開発マネジメント制度 
1) 横断的技術共有化制度 
2) 技術監査制度
⑤ スピードアップ
1) スピードについての考え方
2) 資源の集中的投入
3) 要素技術準備の重要性
3 経営資源面からのアプローチ
① 研究開発費
1) 研究開発費の考え方
2) 研究開発費の流し方
② 研究開発活動におけるヒューマンリソースマネジメント
1) 技術者人事
2) CapabilityとAbility
3) 研究者・技術者の活性化
4) 研究者・技術者のセグメンテーションとキャリアパス
5) 研究者・技術者の評価
6) 表彰・報償制度
7) ローテーション
8) 教育・研修
4 組織・体制面からのアプローチ
① 研究開発活動の機能分解
② 研究開発組織構成の考え方
③ 研究開発組織名称の考え方
④ 研究開発組織内部構成・体制の考え方
⑤ コーポレートラボの位置付け
⑥ 市場開発力強化と技術開発力深化の両立へ向けて
⑦ CTOの意味・役割と技術企画機能

第4章■研究開発活動の生産性および貢献度評価
1 研究開発活動生産性の評価
2 研究開発活動の貢献度評価
3 テクノロジーマネジメント指標

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