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離職率が高いのはなぜ?その理由と対策を徹底解説!
2024/1/31
「離職率が高く、職場に活気がない」「離職率が高くなる原因やその対処法がわからない」と頭を悩ませている企業や人事担当者もいることでしょう。
離職率が高ければ、結果として人手不足に陥り、業務も回りづらくなります。また、一人ひとりの負担が増えることで、従業員が疲弊し、労働生産性も低下してしまうでしょう。
本記事では、離職率の高い企業に見られる特徴や、離職率を下げるための対策について解説します。また、離職率が高くても改善が不要であるケースについてもご紹介しますので、併せて、ぜひ最後までお読みください。
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従業員が離職をしてしまう大きな理由
エン転職が1万人のユーザーを対象に実施したアンケートでは、退職をした際に会社に報告した理由として、以下の5つがTOP5に挙がりました。
- 新しい職種にチャレンジしたいため
- 別の業界にチャレンジしたいため
- 結婚など家庭の事情のため
- 給与が低いため
- 職場の人間関係が悪いため
別の仕事に挑戦したいと企業に伝えた人が最も多く、次いで、家庭の事情、会社・職場への不満を理由として挙げた人が多い、という結果でした。
しかし、退職経験がある人の中で、退職理由を報告した際に本当の理由を伝えた人は57%で、残りの43%は本心を伝えなかったことも、同アンケートにてわかっています。
本当の退職理由のトップ5は、以下のとおりです。
- 職場の人間関係が悪い
- 給与が低い
- 会社の将来性に不安を感じた
- 社風・風土が合わない
- 評価・人事制度に不満があった
このことから、実際に従業員が離職に至る要因は、別の仕事へのチャレンジなどの前向きな理由ではないことが窺えます。
職場の人間関係や処遇、会社の将来性など、会社に対するネガティブな理由が退職の要因となっているのです。企業には、本当の退職理由をしっかりと把握・理解した上で、必要な対策を講じていくことが求められるでしょう。
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離職率が高い企業の特徴6つ
離職率が高い企業では、以下6つの特徴が見受けられることが多いです。
- 人事評価がブラックボックス化して公平な評価を受けられない
- キャリアパスが明確でない
- 従業員エンゲージメントが低い
- 人材育成をする体制が整っていない
- 労働時間が長い
- 職場の雰囲気が悪い
それぞれの特徴が離職率の高さに関連する理由を解説します。
人事評価がブラックボックス化して公平な評価を受けられない
離職率が高い企業の特徴の1つとして、人事評価がブラックボックス化しており、公平な評価を受けられないことが挙げられます。
企業によっては、人事評価の基準が明確ではなく、経営陣や上司の一存によって従業員の評価が決まってしまうことがあります。
そうしたケースでは、「自分のほうが成果を出しているし、能力も高いのに、なぜあの人のほうが評価が高いのか」と疑問や不満を抱える従業員が出てきてしまうのです。
実際に成果を出している優秀な人材であればあるほどその傾向にあり、離職の要因となってしまいます。
キャリアパスが明確でない
離職率の高い企業では、社内でのキャリアパスが用意されていないことも珍しくありません。キャリアパスが明確でなければ、従業員は「この会社で頑張ったら自分がどのようになれるのか」を把握しづらくなります。たとえば、どのようなスキルを身につけ、どのような成果を出せば昇進できるのかがわからない…といった状態に陥るのです。
そのため、この会社で頑張っていこうという気持ちが湧きづらく、またその気持ちが高まることも期待できません。そうした状態の従業員は、他社から今よりも好条件のオファーをもらうと、転職してしまう可能性が高いです。
従業員エンゲージメントが低い
離職率が高い企業は、従業員エンゲージメントが低いという特徴もあります。
従業員エンゲージメントとは、従業員が会社に共感し、「この会社に貢献したい」と思う意欲を指す概念です。会社への信頼や愛着の度合いを測る指標として活用されます。
従業員エンゲージメントが低い職場では、会社のために頑張る気持ちよりも、やらされている感覚を抱えやすく、仕事へのやりがいも低くなる傾向にあります。仕事へのやりがいが低いと、不満やストレスを感じやすく、最悪の場合は退職に至ることもあるのです。
実際、エン・ジャパンの調査においても、退職のきっかけとして「やりがい・達成感のなさ」が上位にランクインしています。
参考:8,600名に聞いた「退職のきっかけ」調査。転職理由は「給与」「やりがいのなさ」「企業の将来性」。―『エン転職』ユーザーアンケート調査 結果発表―|エン・ジャパン
人材育成をする体制が整っていない
離職率が高い企業では、人材を育成する体制に問題を抱えていることもあります。プロフェッショナルな人材だけではなく、ポテンシャル人材の採用をおこなっている会社も少なくないでしょう。
ポテンシャル人材は将来活躍する見込みはあるものの、実務経験・能力が十分にないため、即戦力としての活躍はあまり期待できません。そのために育成をしていく必要がありますが、育成体制が整っていなければ、業務をできるようになるまでに時間がかかってしまい、業務で活躍しづらくなります。
成長ができなければ、スキルが身につかず、評価もされなくなるでしょう。それにより、従業員のモチベーションが下がってしまい、最悪の場合は離職に至ってしまうのです。
労働時間が長い
長時間労働を強いられるケースにおいても、従業員の離職率は高まってしまうでしょう。
労働時間が長いと、ワークライフバランスを保ちにくくなってしまいます。生活と仕事のオン・オフが曖昧で、十分な休息が取れなければ、従業員は次第に疲弊していき、活力も失われていくものです。それにより、仕事へのモチベーションも低下し、退職に至ってしまいやすくなります。
職場の雰囲気が悪い
職場の人間関係が悪いことも、離職率に影響を与える要因の1つです。
実際に、エン・ジャパンの調査「本当の退職理由」では、退職の理由として「職場の人間関係が悪い」が、数ある退職理由の中でも5番目に多い理由となっていました。
職場の人間関係が悪いと、気軽に相談できなかったり、業務上の意思疎通をしづらくなったりします。コミュニケーションにおいて摩擦が生じる機会も増えるでしょう。
そうした仕事のやりづらさや職場での居心地の悪さは、ストレスやモチベーションの低下につながり、最終的には退職に至ってしまうことがあるのです。
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離職率を下げるための対策
離職率を下げるには、次のような対策を講じていくとよいでしょう。
- 成果責任と能力モデルを明確化し公平な人事制度を構築する
- 会社が求める能力を明示しキャリアパスを明確にする
- 心理的安全性を高める
- 組織の指揮命令系統を整理する
公平な人事制度の構築やキャリアパスの用意によって、従業員の自社で働くことへの意欲が高まり、離職に至りづらくなります。
成果責任と能力モデルを明確化し公平な人事制度を構築する
離職率を下げるためには、公平な人事制度を構築していくことが大切です。
公正な人事評価制度とは、評価基準が具体的かつ明瞭で、評価者ごとの評価のバラツキが少なくなるように設計されたものを指します。
先述のとおり、従業員は「なぜこの評価なのか、評価基準がわからない」「私のほうが成果を出しているのに、Aさんのほうが評価が高いのは納得いかない」といったことに不満を抱きやすいです。評価基準が具体的かつ明瞭であれば、評価への理解度が高まり、評価のバラツキが少なければ納得感が高まります。
公正な人事制度を形作るには、「成果」と「能力」の両軸を評価する制度を構築することがポイントです。仕事で成し遂げた実績や成果を評価しつつも、能力にも焦点を当てて評価をおこなうことで、従業員のパフォーマンスをより適切に評価しやすくなります。
能力については、評価基準が曖昧になりやすいため、具体的な基準を定義するようにしましょう。
会社が求める能力を明示しキャリアパスを明確にする
離職率を下げるための対策としては、会社が従業員に何を求めているのかを明らかにし、明確なキャリアパスを用意することも重要です。そのためには、人材育成計画を作成することが有効でしょう。
人材育成計画とは、従業員が抱える能力上の課題を解決するためにつくられる計画です。従業員にはどのような課題があり、どういう育成施策を講じることで、どういった能力を伸ばせるのか、理想像は何か、役職ごとに求められる能力などが明文化されます。
人材育成計画は、従業員を成長させることに焦点を当てたプランですが、従業員に会社が求める能力、どのような道を歩んでいけるのかを明示する側面もあります。したがって、人材育成計画は、キャリアパスとして活用することもできます。
役職ごとに求める能力とキャリアパスが明確になれば、従業員は自身が今の役職に留まっている理由や、キャリアアップしていくために必要な行動を把握しやすくなります。結果、業務や自身の課題を解決していくことに前向きになり、モチベーションの向上にも期待できます。
心理的安全性を高める
離職率を下げるには、心理的安全性を高めることもポイントです。
職場の人間関係が悪かったり、エンゲージメントが低かったりすることで離職につながると先述しましたが、これらは心理的安全性が担保されていないこととも結びつきがあります。心理的安全性とは、従業員が組織において自分の意見を気軽に発信できる状態を指します。職場に当てはめると、立場や関係性を気にせずに自由に発言できる状態といえるでしょう。
心理的安全性が低い職場は、上司と部下とが本音で話し合えることが少なく、情報共有がなされていなかったり、他人のミスを責めるような文化があったり、という傾向が見られます。
そうした環境に身を置くうちに、職場の人間関係は悪くなり、自社への愛着心も低下していきます。「こんなことを言ったら怒られるだろうか」「ミスしたくない、ミスを責められるのが怖い」という気持ちが先行し、重要な情報の伝達やミスの発見が遅れてしまうこともあるでしょう。
一方で、心理的安全性が高い職場では、他者に対して肯定的に接する人が多く、互いを支え、高め合おうとします。結果として組織のパフォーマンスは高まり、離職率の低下にもつながります。
以上のことから、心理的安全性を高めていくことは非常に重要といえるでしょう。心理的安全性を高めるには、従業員の言動に対して肯定的な意見を多くする、1on1などコミュニケーション機会を増やし関係構築に努める、部下の自主性を尊重する、などが有効です。
組織の指揮命令系統を整理する
離職率を下げるには、組織の指揮命令系統を整えることも効果的です。
副部長や部長代理といった曖昧な役職をつくってしまうと、役職ごとの成果責任や仕事内容が不明確となり、指揮命令系統も曖昧になってしまいます。
そうした環境下では、成果を出さずに、もしくは自身の職務を全うせずに好待遇を得る、いわばフリーライダーと呼ばれる人材を生みやすい環境になるでしょう。たとえば、本来は部長がやるはずの仕事を副部長に任せてしまうケースなどが該当します。
仕事を任せられた副部長は、本来やるべきではない業務をおこなうことになるため、無駄な残業時間が増加してしまう、といった問題も避けられません。残業時間の増加は従業員を疲弊させ、パフォーマンスの低下を招きます。
上記のような問題を引き起こさないために、副部長や部長代理といった曖昧な役職を排除し、フリーライダーを生みにくい環境をつくることが重要です。無駄な残業時間を減らし、労働生産性を高められます。
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【注意】離職率が低いことが必ずしも良いことではない
ここまで、離職率が高いことをネガティブな要素として解説してきましたが、離職率が低いことが必ずしも良いことではない点には注意が必要です。離職率が低くても、場合によっては改善が必要なこともあります。
「従業員が感じる居心地のよさ」が増すほど定着する従業員は増えますが、それが「会社の業績」に直結しないこともあるためです。
従業員の居心地がよかったとしても、ぬるま湯組織となってしまっていては、結局のところ指揮命令系統も曖昧になり、フリーライダーを多く生み出してしまうでしょう。そうなると、従業員の離職率は低かったとしても、会社の業績や成長は鈍化してしまうリスクがあります。
目を向けるべきは離職率の高低ではなく、現在の組織状況で業績が好調なのか、持続的に成長していけそうか、です。業績に懸念がある場合は、人事評価制度やキャリアパス、労働環境、職場の人間関係に問題がないかを確認し、問題があれば改善していきましょう。
企業の目指す方向性と制度の方向性をマッチさせることが重要
離職率を改善するか否か、社内のどの層の離職率を改善させるかについても慎重に検討する必要があります。
たとえば、「プロフェッショナルな人材を育てる」といった方針を持つ企業では、プロフェッショナルではない「アマチュア従業員」の離職率に着目し、改善する必要はないでしょう。
一方で、プロフェッショナルな人材の離職率が高ければ、早急な改善が求められます。
離職率を改善するには、先ほど解説したように、小手先ではなく企業の制度を大きく変えていくことが欠かせません。そのため、離職率だけに着目するのではなく、「企業の目指す方向性と現在の制度がマッチしているのか」といった視点で、組織や人事の課題を解決していくことが重要です。
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まとめ
人事評価がブラックボックス化している、キャリアパスが明確ではない、従業員エンゲージメントが低い、といった状況下で、従業員は不満が募り、退職に至りやすくなります。
離職率を下げるには、公正な人事評価制度を構築したり、人材育成計画を立ててキャリアパスを明確にしたりすることが有効です。
ただし、離職率が高いからといって、すぐに離職率の改善が必要とは限りません。まずは自社の状況を分析し、離職率の高さが業績に悪影響を与えているのかを判断することが大切です。離職率低下に向けた対策が必要な場合には、本記事でご紹介した各種対策を実践してみてください。
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記事監修
- 前田 正彦(まえだ まさひこ)
- 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。