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人材育成で目標設定が重要な理由や意識するべき5つのポイント、目標例について解説!

人材育成で目標設定が重要な理由や意識するべき5つのポイント、目標例について解説!
  1. 人材育成において目標設定が重要な理由
  2. 人材育成につながる目標設計の5つのポイント
  3. 【職種別】人材育成における目標設定の具体例
  4. 人材育成の目標管理には目標管理シート活用が効果的
  5. まとめ

「社員のパフォーマンスが芳しくない」「社員が思うように成長してくれない」といった課題を抱えていらっしゃいませんか。

自社を成長させていくためには、社員の成長やパフォーマンス向上が必要不可欠です。しかし、社員の育成はなかなか思うように進まないものですよね。

そこで本記事では、社員を育成するために役立つ「目標」について、設定が必要な理由や意識するべきポイント、職種別の目標例などについて解説します。

こちらの記事を読み実践することで、社員がいっそう意欲的に業務に取り組むようになることでしょう。ぜひ最後までご覧ください。

人材育成において目標設定が重要な理由

人材育成において目標設定が重要な理由としては、以下の2つが挙げられます。

  • 社員が意欲的になる
  • 社員のエンゲージメントを高められる

それぞれの詳細についてご紹介していきましょう。

社員が意欲的になる

目標を設定することで、社員が業務に意欲を持って取り組むようになることが期待できます。

たとえば個人目標を設定すれば、設定した自身の目標を達成したいという気持ちが社員に芽生えるようになります。その結果、目標到達に向けて日々の業務に前向きな姿勢で取り組むようになるのです。目標を達成した暁には達成感や充実感を得られるため、次の目標に向けていっそう意欲的に取り組む効果も見込めるでしょう。

目標を追いかけるプロセスにおいても、社員は自身の課題と向き合う機会が増えます。そして、課題解決に向けて、本を読んで勉強するようになったり、先輩社員からのアドバイスを積極的に求めたりするようになります。

そうした過程でスキルのレベルアップや知識の強化が見込まれる点も、目標を設定する利点です。

社員のエンゲージメントを高められる

組織の目標を立てれば、社員は一丸となり目標達成に向けて歩むようになります。その過程を通して社員同士の連帯感や会社への帰属意識が向上するなど、「従業員エンゲージメント」(会社への貢献度や理解度)が向上していくことも期待できるでしょう。

各社員の組織へのエンゲージメントが高まれば、社員は組織の一員としての自覚が強くなり、協調性の向上も望めます。

人材育成につながる目標設計の5つのポイント

人材育成につながる目標設計をする上では、以下のポイント5つを意識することが重要です。

  • 行動指針を個人目標に盛り込む
  • 目標を社員の評価と関連づける
  • 社員一人ひとりの役割と責任範囲を明確化する
  • 目標の意義を教育する
  • 具体的な目標にする

それぞれの詳細についてご紹介していきましょう。

行動指針を個人目標に盛り込む

企業理念を反映させた指針である「行動指針」を社員に体言してもらいやすくするためには、個人目標に行動指針を盛り込むことが効果的です。行動指針の達成度合いを評価と連動させれば、行動指針の目標を形骸化しづらくもできるでしょう。

企業理念、行動指針、目標の意味は、以下の通りです。

  • 企業理念:企業の在り方について大切にしている考え方や価値観
  • 行動指針:企業理念を実現するためにどのような行動をとることが望ましいか明らかにしたもの
  • 目標:社員が成し遂げようと目指すゴール

ただし、これらは企業ごとに扱われ方・意味が変わることがあるため、注意しましょう。

行動指針を個人目標に組み込むことで、企業が望む価値観や人柄といった方向性に、社員が成長しやすくなります。

目標を社員の評価と関連づける

社員を成長させていくためには、個人目標を人事評価制度と連携させ、目標の達成度合いを社員の評価と関連づけることも効果的です。

人事評価制度とは、社員の能力や目標の到達度合いなどを評価し、報酬や等級などの待遇に反映させる制度を指します。

目標の達成度合いを評価に反映することで、被評価者の評価に対する納得感が高まり、不満が生まれづらくなります。達成することによって自身の評価も高まるため、達成に向けて仕事への意欲的な取り組みができるようになる点もメリットです。

たとえば、営業職での個人目標を「売り上げ150万円」に設定するとしましょう。その際には、「売り上げ150万円達成でA評価」「売り上げ130万円でB評価」といった具合に、目標と人事評価を連動させるのです。

社員一人ひとりの役割と責任範囲を明確化する

人材育成につながる目標を設計する上では、具体的な目標数値を決定する前に、組織内における社員一人ひとりの役割と責任(成果責任)を明らかにすることも重要です。

仮に求められる役割が曖昧であった場合、社員は期中にどのような行動をすれば会社から評価されるのか掴みづらくなってしまいます。そんな迷いなどから、仕事のパフォーマンスが低下するリスクもあるでしょう。

その点、役割が明確であれば、社員は自身に課せられた役目の遂行に向けて、迷わず意欲的に取り組むことが期待できます。

また、責任範囲が曖昧な場合トラブル時などに責任転嫁が起こりやすくなるのに対し、責任範囲が明確であれば、ミスが生じた際も他人に責任を転嫁できません。結果として、自身の役目に責任を持って果たそうとする効果が見込めるでしょう。

目標の意義を教育する

人材を育成する上では、目標達成の意義を社員に教育することも重要です。

企業目標や部署目標にはどのような意義があるのかを教育し、目標に対する理解を深めることで、社員に「目標達成に貢献したい」という想いを抱いてもらいやすくなります。

目標を達成するメリットが曖昧であれば、社員はなぜその目標を達成しなければならないのか理解できません。目標を追う上で受け身となり、自発的な行動が減ってしまうリスクもあるでしょう。

また、会社の方針やノルマを理由に社員に目標を押しつけるだけでは、仕事への意欲が低下してしまうおそれもあります。

社員に目標の意義を教育し、目標達成の価値を理解してもらうことで、そうしたリスクを払拭できると共に、目標達成に向けた意欲的な取り組みもできるようになります。

具体的な目標にする

人材を育成する上では、以下の4点を明確にした目標を設定することも重要です。

  • 業績指標:何が
  • 達成水準:どうなっている
  • 達成期限:いつまでに
  • アクションプラン:どのようにして

ある部門の部長の目標を例に考えてみましょう。

例:「本部の戦略にもとづいて、××事業実現のために必要なコストの試算をし、スケジュールを明記する。そして、競合A、B社と同等レベルの具体的な施策を盛り込んだ〇〇部の戦略を、6月までに策定する」

上記のように目標設定が難しいといわれる定性的な目標であっても、業績指標、達成水準、達成期限を明確にすることで、質の高い目標を設計できます。

目標が曖昧であると目標を達成できたかどうかを判断しづらくなり、評価時に評価者と被評価者の間で齟齬が生まれやすくなってしまいます。そうしたリスクを払拭するためにも、具体的な目標を立てるようにしましょう。

【職種別】人材育成における目標設定の具体例

業績指標、達成水準、達成期限、アクションプランを反映させた目標設定の具体例について、職種別にご紹介していきます。

管理職の目標例

「プレイヤー」としての側面よりも「マネージャー」としての側面が強くなる管理職においては、部署目標の達成や部下のスキルアップ、生産性の改善などを成し遂げることが重要な役目です。

管理職の目標を設定する上では、部署の売り上げや、部下の業務に対する支援度合い、残業時間の短縮度合いなどを指標とすると良いでしょう。

部署 目標例
労務部 1月までに、労務管理をExcelから人事管理システムに移行し、業務時間を2割削減する
営業部 部下の商談に月15件同行し、今期中に部署で500万円の売り上げを達成する
全部署 残業過多な社員の業務内容を見直すことで、部署の平均残業時間を月20時間以内に抑える

マーケティング職の目標例

マーケティング職の役割は、Webサイトや各種広告などを活用して、良質な顧客を集めることです。そのため、WebサイトのPV数やメールの開封率、獲得リード数、コンバージョン率などの目標が適しています。

目標例1 自社ブランドサイトに月に10件の新規記事を掲載し、今期中に自然検索のトラフィック数を前期比30%向上させる
目標例2 自社のTwitterアカウントで毎日投稿することで、今期中にツイートへの平均エンゲージメント率を前期比5%向上させる
目標例3 展示会で50人と名刺交換をすることで、5月中に3件の商談を獲得する

総務職の目標例

総務部には、経費の削減や業務の効率化を図るために、社内の無駄を発見し削減することが求められます。そのため、光熱費や消耗品の購入費、残業時間の短縮などが指標として適しています。

目標例1 備品の使用量や購入先を見直すことで、今期中に消耗品のコストを前期比10%削減する
目標例2 光熱費の使用状況を把握し、省エネ性に長けた電球に変更したり、電力会社を見直したりすることで、今期中に光熱費を前期比5%削減する
目標例3 ノー残業デーを月4回設けることで、社内の平均残業時間を月10時間以内に抑える

エンジニア職の目標例

エンジニアには、高品質なシステムを開発するスキルや、納期内に仕上げる能力などが求められます。

そのため、納期内に納品できた割合や、バグ・エラーの発生件数などを目標として設定すると良いでしょう。開発スキルをアップデートすることも重要であるため、勉強会への参加件数などを目標として取り扱うのも効果的です。

目標例1 余裕を持った計画でスケジュールを立て、今期中の納期遅れの発生率を1%未満にする
目標例2 ダブルチェックを徹底することで、今期中のアプリケーションの不良件数を5件以下にする
目標例3 月1回、最新のPython情勢をテーマにした社内勉強会を開催し、最新の知識を得る

営業職の目標例

営業職は、数値で成果を表現しやすい点が特徴的です。営業職の指標としては、成約率や受注額、新規顧客の獲得件数などが挙げられます。最終的な成果だけでなく、訪問件数やアポイントメント数といった中間目標を組み込むことで、最終的な目標を達成しやすくなるでしょう。

目標例1 週2回上司とプレゼンテーションのロールプレイングをし、5月までに商談の成約率を前期比5%向上させる
目標例2 1日に100件の電話をかけることで、週に10件の商談アポイントメントをとり、3月までに計100万円の受注をする
目標例3 月100件訪問し、4月までに新規顧客からの受注を5件獲得する

事務職の目標例

営業職のようにわかりやすい指標がない事務職においても、数字を用いた目標を設定しましょう。目標が明確になることで、目標到達の可否が掴みやすくなり、目標達成に向けて意欲的な取り組みができるようになります。

事務職は、作業時間の短縮やミスの軽減など数を減らす方向性で目標を立てると、目標を立てやすくなるでしょう。

目標例1 事務作業の速い社員に助言を求め、現在平均1件60分かかっている書類作成を、5月までに質を落とさず1件45分でできるようにする
目標例2 自身が不在の際にも代わりの人がスムーズに対応できるよう、3月までに自身が担当している事務処理のマニュアルを整備する
目標例3 作業ごとにチェックシートを作成することで、9月までに作業ミスを5%未満に抑える

人材育成の目標管理には目標管理シート活用が効果的

目標を決めた後には、目標管理シートで目標を管理していきましょう。

その期の最初や前期の最後に決めた目標は、日々の業務に忙殺されるなかで忘れてしまっている可能性があります。目標を形骸化させず達成率を高めるため、目標管理シートで目標の進捗確認をしましょう。

目標管理シートには、次のような項目を記載します。

  • 目標:設定した個人目標や部署目標
  • 評価基準:設定した目標を評価する際の基準
  • 結果:期末の結果や週ごと・月ごとの結果
  • 評価:最終的な評価

「3月までに新規顧客を10件開拓する」を目標としている営業担当者の評価基準には、次のようなものが挙げられるでしょう。

評価点 評価基準
150(S) 設定した目標を大きく上回って達成した
例:15件開拓
100(A) 設定した目標通りに達成した
例:10件開拓
50(B) 目標達成に向けて必要な行動をしたが、目標には届かなかった
例:7件
0(C) 目標達成に向けた必要な行動をとらず、目標にまったく届かなかった
例:3件

まとめ

社員一人ひとりの個人目標を設定することで、社員は目標に向けて意欲的に取り組み、会社へのエンゲージメント向上が見込まれます。

企業ごとに目標設定の考え方や手法は異なりますが、今回ご紹介した内容のなかで自社においても活用できそうなものがあるはずです。特に以下のポイントを意識した目標は、いかなる組織においても有用でしょう。

  • 業績指標:何が
  • 達成水準:どうなっている
  • 達成期限:いつまでに
  • アクションプラン:どのようにして

少なくともこの点を意識した目標を設定することで、社員が目標達成に向けてモチベーション高く業務に取り組むようになると共に、目標達成率も高まるでしょう。ぜひ、活用してみてください。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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