効果的なリーダー育成方法とは?7つのステップと4つのポイント - 株式会社スキルアカデミー

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効果的なリーダー育成方法とは?7つのステップと4つのポイント

効果的なリーダー育成方法とは?7つのステップと4つのポイント
  1. リーダー育成とは?
  2. リーダー育成をおこなうことで期待できること
  3. リーダー育成を行う際に直面しやすい課題
  4. リーダー育成が上手くいかない理由
  5. リーダー育成を行う7つのステップ
  6. リーダー育成をおこなう際のポイント
  7. まとめ

企業成長に欠かせない施策の1つとして「リーダー育成」が挙げられます。
しかし、「事業拡大のためにリーダーが必要だが、人材が不足している」「育成しようとしても思うように成長してくれない」といった課題を抱える企業も少なくありません。

経営会議などでリーダー育成の大切さが話題に上がることは多いものの、具体的にどのように育成をしていくのかまでは話が進まないことも多いのではないでしょうか。

本記事では、リーダーを育成していくための方法について具体的に解説していきます。メリットやよくある課題なども紹介していますので、リーダー育成の意義がピンとこない方や、行き詰まっている方にとって参考になるはずです。ぜひ最後までお読みください。


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リーダー育成とは?

リーダー育成とは、企業の将来を担う経営幹部の育成をおこなうことです。昨今、少子高齢化による人材不足や、グローバル化社会での競争激化を受け、社内における早期からのリーダー育成が求められています。

売り手市場がますます進む現代においては、従来のように必要に応じて外部から人材を確保することが難しくなっています。特に中小企業においては、その傾向が顕著でしょう。そのため、社内で候補となり得る人材を早くに選出し、しっかりと育成していくことが欠かせません。

企業同士での競争が激化する中、求められるスキルもいっそう高くなっています。時代の変化に対応するためには、次世代のリーダーに必要な役割やスキルは何なのかを理解した上で、育てていくことが大切です。

企業におけるリーダーの役割

リーダーに求められる役割は、企業の進むべき方向性を示し、社内全体が共通の目標に向かっていけるよう引っ張っていくことです。また、従業員個々人の力を引き出し、企業成長につなげる役割も担います。

リーダーが企業に及ぼす影響は非常に大きいものです。リーダーの能力次第で従業員のパフォーマンスや業績も大きく左右されるため、企業には実力あるリーダーの育成が求められます。

リーダーと類似する役割として「マネージャー」が挙げられますが、双方には以下の違いがあります。

  • リーダー:社内で先頭に立ち、組織全体を同じ方向性へと導く役割がある
  • マネージャー:組織のパフォーマンスを最大化するために、目標達成に向けて人・業務を管理する役割がある

共通する部分もありますが、基本的には異なる役割を担うため、リーダーとマネージャーとで分けて育成していくことが大切です。

リーダー育成をおこなうことで期待できること

リーダーを育てることで得られる主なメリットは、以下の3つです。

  • 経営戦略やビジョンに根差した人材の育成ができる
  • 従業員のモチベーション向上・従業員定着につながる
  • 自社の人材育成の体制が確立できる

こうしたメリットが積み重なることで、ひいては業績の拡大にも期待できるでしょう。

ここからは、それぞれの詳細について解説します。

経営戦略やビジョンに根差した人材の育成ができる

リーダー育成をおこなうことで、経営視野を持つ人材の育成が叶います。

リーダー候補者は、企業の次世代を担う「幹部候補生」です。そうした役目を持つ候補者をしっかりと教育していくことで、経営戦略やビジョンに深い理解を持った人材の育成が可能となります。

リーダー候補者には、主に会社経営に関するあらゆることを学んでもらいます。たとえば、自社の経営戦略やビジョン、経営方針、経営ノウハウなどが、教育の内容です。また、広い視野から企業全体を見て、自発的に仕事を進めていけるようなトレーニングもおこなっていきます。こうした取り組みを通じて、経営戦略・ビジョンに根差した経営視野を持った幹部候補が育っていくのです。

従業員のモチベーション向上・従業員定着につながる

リーダー育成をおこなうことで、従業員全体のモチベーション向上や、離職率の低下・定着率の向上にもつながります。

候補者はリーダー育成を受けることで会社から期待されていると感じられるようになり、モチベーションやエンゲージメントが上昇します。
また、リーダー候補者をしっかりと教育することは、候補者以外の従業員にも良い影響をもたらすでしょう。
身近な人物がリーダー候補者になることで、周囲の従業員は「この企業で頑張っていると、自分にもその機会が訪れるかもしれない」「より裁量が大きくやりがいのある仕事を任されるかもしれない」といった今後の展望を抱けるようになります。さらには、「この会社では一人ひとりをしっかりと見て判断してくれる」といった会社への信頼感も高まるでしょう。

そうした要素の積み重ねにより、リーダー候補者と同様に周囲の従業員においても、モチベーションやエンゲージメントの向上が期待できます。モチベーションやエンゲージメントの上昇は、離職率の低下・従業員定着にもつながるでしょう。リーダー育成によって社内に活気が生まれる効果も高まるはずです。

自社の人材育成の体制が確立できる

リーダー育成をおこなうことで、育成ノウハウが溜まり、自社における育成体制の確立も見込めるでしょう。

リーダーの育成を通じて、人材育成のノウハウが蓄積されていきます。試行錯誤しながらリーダー育成を進めていくことは、会社全体の学びや発展にもつながります。自社に合った育成の方法に気づけるようになり、そこから派生して自社に適した評価方法の発見や、評価内容を待遇に結びつけるような人材育成体制の確立にも期待ができるでしょう。

リーダー育成を皮切りに自社の人材育成体制が確立できれば、今後さらにスムーズな育成が叶うようになります。


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リーダー育成を行う際に直面しやすい課題

リーダーの育成は成功すれば大きなメリットを得られるものの、実際に育成を進めていく中ではさまざまな課題に直面します。
具体的には次のような課題にぶつかることが多いでしょう。

  • リーダー育成の優先順位が低い
  • リーダー育成体制が整っていない
  • 現場への負担が大きい
  • リーダーになることへの意欲が低い

それぞれの課題への理解を深め一つひとつ丁寧に対処していけば、育成で成果を得られやすくなります。

課題①|リーダー育成の優先順位が低い

リーダーの育成を実施する際には、育成が中途半端にならないように注意が必要です。

リーダーが学ぶべきことは非常に多岐にわたります。時間やリソースが大きくかかってしまうことから、リーダー育成が後回しになってしまうことも少なくありません。

短期的な利益や目標を追うのは得意であるものの、長期的な利益や目標に目を向けるのが苦手な企業も見受けられます。そうした企業では、成果が出るまでに時間がかかるリーダー育成のような課題に対する優先順位が低くなってしまう傾向にあるようです。

しかし、目先の売上や利益にばかり気を取られてリーダー育成が後回しになってしまうと、当然リーダーは育ちません。

リーダーを育成する際には、「長期的な視点を持って取り組むことで、企業に大きなメリットをもたらす」ということを理解することが大切です。

課題②|リーダー育成体制が整っていない

リーダーの育成体制を十分に整備できていない場合も、育成は失敗しやすくなるでしょう。

昨今は売り手市場が加速し、慢性的な人手不足が企業における課題の一つとなっています。特に中小企業においてはその傾向が顕著です。

人手が不足している企業では、そもそもリーダー育成の体制や環境が整っていないことが少なくありません。先述したようにリソースに余裕のない企業ではリーダー育成が後回しとなってしまい、育成体制の構築がなかなか進みづらいのです。

育成体制だけでなく、評価制度の整備が不十分な場合も多いでしょう。育成が成功するか否かは、評価制度が適切かも大きく関係してきます。しっかりとリーダーを成長させていくためには、モチベーション高く仕事に取り組んでもらわなければなりません。そのため、現行の評価制度を見直し、改善をおこなっていくことも必要です。

評価制度の導入や見直しをする際には、公平性・納得感が高く、自社にマッチした人事評価制度を構築するようにしましょう。評価者ごとに評価のバラツキが多いなどの問題がある評価制度は、従業員のモチベーションを高めるどころか下げてしまうリスクもあります。

課題③|現場への負担が大きい

育成の実施によって現場に過度な負担がかかってしまうことも、リーダー育成においてよくある課題です。

リーダーに育て上げるには、経営の知識やリーダーシップなどを身につけさせなければなりません。そのためには、研修などを受講してもらう必要があり、リーダー候補者を現場から離す機会も増えてきます。

しかしながらリーダー候補となる人財は、現場においても力を発揮できている人が多いです。その人財が現場から離れてしまうことで、ほかの従業員に業務のしわ寄せがいきやすくなります。また、リーダー候補者の仕事を引き継ぐ者がいないといった問題も生じてくるでしょう。

そうした現場への負担は、リーダー育成の遅延や育成計画の頓挫につながってしまいます。

課題④|リーダーになることへの意欲が低い

リーダー候補者自身のリーダーになることへの意欲が低い、というのもよく見られる課題の一つです。

多様な働き方がひろがっている情勢もあり、昨今ではリーダーになりたいと思う人ばかりでは ありません。リーダーは責任の重い役割であるため、引き受けるハードルも高くなってしまいます。

リーダーになる意欲を高めるためには、従業員自身にどのようなキャリアを目指したいか考える機会を与えるとともに自社でのキャリアパスを明確にすることや、責任や職務の重さに応じた評価・報酬・待遇を得られる仕組みを構築することが重要です。


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リーダー育成が上手くいかない理由

リーダーの育成が難航する企業には、以下のような特徴があります。

  • 手段が目的になってしまっている
  • 要件が明確に定まっていない
  • 育成と評価が紐づいていない

こうした問題はリーダー育成が失敗する理由となるため、早期対策が必要です。

手段が目的になってしまっている

リーダーの育成が上手くいかない理由には、手段の目的化が挙げられます。

「育成」という「手段」が「目的」となり、策定したトレーニングプランを実行することだけで満足してしまっているケースでは、育成を成功させ候補者を実際にリーダーに就かせることは難しいでしょう。

リーダー育成は、自社のビジョンや方針に即したリーダーを育て上げ、企業成長につなげるための手段にすぎません。何のためにリーダー育成を行うのかをあらかじめ明らかにし、目的が達成できたかどうかをどのように評価するのか、ということまできちんと設定しておくことが大切です。

要件が明確に定まっていない

リーダー要件が曖昧なことも、育成の失敗につながりやすい要因の1つです。

企業の理想とするリーダーの要件が明確に定まっていなければ、選出する候補者のブレや、育成の方向性のズレが生じてしまいやすくなります。自社が求めているリーダー像(ペルソナ)が定まっていなければ、適切な候補者の選出もおこなえなくなるのです。

また、「何のためにリーダー育成をおこなうのか」が明らかになっていなければ、育成そのものの意義が曖昧になってしまいます。仮に要件が定まっていても、それが社内に浸透していなければ育成方法にブレが生じてしまい、効果は見込めません。

リーダーを着実に成長させていくためには、選出する候補者属性や育成の意義を明確化することが大切です。

育成と評価が紐づいていない

育成の内容と評価が結びついていないケースでも、効果的なリーダー育成は難しくなります。

リーダー候補者のモチベーションを上げ、成長にしっかりと向き合ってもらうためには、正当で納得感のある評価が欠かせません。そのためには、リーダーに求められる行動を明らかにし、それに結びつく評価項目の設定が必要です。

加えて、リーダーとしての業務や責任に応じた評価・待遇を得られるような仕組みづくりも求められます。リーダーという役割に見合った報酬が得られなければ、候補者はなかなか現れず、育成は進まなくなってしまうでしょう。

リーダー育成を行う7つのステップ

リーダー育成は、以下の7ステップに基づいておこなうのが効果的です。

  1. ゴール設定
  2. 要件・役割の明確化
  3. 組織内の人材把握・候補者選抜
  4. リーダー育成計画の策定・整備
  5. 認識の共有・周知
  6. リーダー育成トレーニングの実施
  7. リーダー育成の評価・改善

順序立てて実施することで、先述してきた各種問題を防ぎやすくなると共に、効率的・効果的に育成を進められるようになります。
具体的にどのようなことに気をつければ良いのか、見ていきましょう。

ステップ①|ゴール設定

まずは育成のゴール・目的を明らかにしましょう。

先述したようにリーダーの育成には多くの時間やリソースがかかるため、現場など周囲の関係者からの長期にわたる協力が不可欠です。

現場の協力を得るためには、「リーダー育成のゴールは何なのか」「育成にはどのくらいの時間がかかるのか」「なぜリーダー育成が必要なのか」といった、理由やゴールの明確化が重要です。明確なゴールを設定することで育成に対して共通認識を持てるようになり、全社的に同じ方向に向かって協力し合えるようになります。


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ステップ②|要件・役割の明確化

ゴールの設定を終えた後は、要件・役割を明確にします。

「自社にとってどのようなリーダーが必要か」「どういうリーダーに育て上げるか」「自社がリーダーに求めている役割は何なのか」など、各種要件を明らかにしていきましょう。

その際には、企業ビジョンや経営方針も考慮した上で、自社にはどのようなリーダーが必要か、またそのリーダーにはどのようなスキル・能力・経験が求められるのかを決定していくことが大切です。

リーダーに求められるスキルには、以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • リーダーシップ力:先見性、判断力、ビジョン設定力、ビジョン浸透力、熱意
  • マネジメント力:実行力、推進力、戦略・戦術設計力、課題解決力
  • 経営に関する知識:人事・労務、財務・会計、組織運営、情報セキュリティ、コンプライアンス

また、リーダーに期待する役割も明確化し、育成に向けた戦略を策定していくことも欠かせません。

ステップ③|組織内の人材把握・候補者選抜

リーダーに求める役割やスキル、目的など要件を明らかにしたら、組織内の人材把握・候補者の選抜をしていきます。

リーダー候補には、現在の評価やスキルだけでなく、将来に向けた意欲など「未来のポテンシャル」も含めて考えることが大切です。基本的に、リーダー候補者を選抜する際には、現在のリーダー格の人物が後継者となり得る者を推薦します。

しかし、それだけでは、潜在的な能力が見過ごされてしまう可能性も否定できません。

潜在的な可能性を秘めた人材を見抜くには、推薦のみに留まらず、「ロングリスト・ショートリスト方式」で候補者を選抜すると良いでしょう。ロングリスト・ショートリスト方式とは、広い条件で候補者を羅列した後、分析や戦略に沿って絞りこんでいく手法です。それにより、企業の成長のために本当に必要なリーダー像を明らかにできます。

ステップ④|リーダー育成計画の策定・整備

リーダー候補者が選抜されたら、リーダー育成計画の詳細を策定し、育成に向けた業務や制度の調整などをおこなっていきましょう。

計画を立てる際には、リーダー育成の目的にコミットした育成方法を盛り込むことが大切です。一例としては、「Off-JT」や「ストレッチアサインメント」が挙げられます。

Off-JTは、従業員に、社外で実施されるセミナーや研修に参加してもらう手法です。Off-JTでは、日常業務からは学びづらい内容を学べると共に、参加者同士の交流を通じて新たな知見やアイデアを得られます。

ストレッチアサインメントは、難易度の高い業務をあえて経験してもらうことで、成長を期待する手法です。配置異動で子会社の社長を任せたり、新規事業の立ち上げに参加してもらったりすることで、育成に役立ちます。

また、人材育成の計画と並行して、育成と紐づいた人事評価制度の構築・見直しなども必要です。育成と評価・待遇が根拠を持ってしっかりと結びつくような仕組みづくりをしていきましょう。

ステップ⑤|認識の共有・周知

育成計画の策定や人事評価制度の整備ができたら、社内でリーダー育成の実施についての共有・周知をおこなっていきます。

リーダー育成の目的・要件・方法・内容などを社内全体に周知することによって、認識の統一を図ることが目的です。現場の理解を深め、従業員全員が同一の認識を持って取り組めるようにすることで、リーダー育成はスムーズに進みやすくなります。

周知の際には、リーダー候補者が属している部署や現場への浸透を特に丁寧におこなうようにしましょう。周囲にしっかりと把握・理解してもらうことで、十分な支援を受けやすくなり、リーダー育成の実施を効果的・効率的におこないやすくなります。

ステップ⑥|リーダー育成トレーニングの実施

ここまでの準備が整ったら、定めた育成計画にもとづき、実際にリーダー育成を進めていきます。

リーダー育成には非常に時間がかかるため、すぐに成果を求めようとしないことが大切です。根気強く、長期的な視野を持っておこなっていきましょう。

また、リーダー個々人の成長・成果にコミットしたプログラムであることも重要です。

リーダー育成の目的が企業発展のためであっても、候補者にとってメリットがなければ意欲的に取り組んでもらえず、成長は見込めません。

基本的には自社内で育成を進めていきますが、ときには異業種の同じ立場の人物と交流を図る機会を設けることも育成に有効です。自身とは異なる価値観や考え方に触れることで、より広い視野を持って業務に取り組めるようになります。

ステップ⑦|リーダー育成の評価・改善

トレーニングプランの実施を始めたら、定期的に振り返る機会を設けていきましょう。

リーダー育成を始めたらそこで終了ではありません。リーダー育成をおこないながら、都度その内容を分析・評価し、必要であれば改善することが大切です。育成計画をじっくりと煮詰めた上でも想定通りにいかないことは多発するため、振り返る機会もしっかりと設け、改善していきましょう。

具体的には、育成計画に対するリーダー候補者の成長・成果を分析・評価し、リーダー適正がどのくらい高まっているのかなどを都度測定・判断していきます。その結果問題が見つかれば、改善施策の考案・実施が必要です。

加えて、リーダー候補者本人へのフィードバックも欠かせません。本人に良い点や改善点を伝えることで、より成長しやすくなります。

リーダー育成は長期にわたるため、その中で企業の状況が変わることも考えられます。現行の育成計画のまま進めて良いのか、都度見直しを図りましょう。必要に応じてより状況にフィットした育成環境や人材育成戦略を再構築した上で、評価・改善をおこなっていくことが大切です。

リーダー育成をおこなう際のポイント

リーダー育成をおこなう際には、以下のポイントを意識することも大切です。

  • 企業全体の課題としてリーダー育成に取り組む
  • リーダー育成の目的を明確化する
  • 候補者には幅広い業務・役割を経験させる
  • 中長期的なスパンで取り組む

最後に、それぞれの詳細について解説します。

ポイント①|企業全体の課題としてリーダー育成に取り組む

リーダー育成は企業において必要不可欠な取り組みと心得、組織全体の課題として優先的に進めていくことが大切です。

前項のリーダー育成の課題として挙げたように、企業においてリーダーを育てていくことの優先順位は低くなりがちです。また、リーダー育成を人事部任せにしていては、成功は難しくなります。

そのため、リーダー育成は企業課題の1つと捉え、上層部自らが以下の事項をしっかりと社内に示すことが大切です。

  • リーダー育成の重要性
  • 目的は何か
  • 育成計画はどのようなものか
  • 現場にはどのような影響が出るのか など

上記のような事柄を現場の従業員にも開示することで、当事者意識が芽生え、企業全体で取り組んでいきやすくなります。

リーダー候補者にはキャリア自律を促し、現場で主体性高く動いてもらうことも必要ですが、リーダー候補者1人に孤軍奮闘させるのは好ましくありません。
候補者の相談相手となるメンターを付けるなど、社内全体で育成に取り組んでいきましょう。

企業内でベクトルの統一を図り、同じ方向を向いて進めていくことで、育成は効率的かつ効果的におこなえるようになります。

ポイント②|リーダー育成の目的を明確化する

リーダー育成を効果的に推し進めていくためには、育成の目的を明確にすることも大事です。

なぜリーダー育成が必要なのか、なぜ「今」必要なのか、何のためにおこなうのかを明らかにし、それらを社内に浸透させましょう。

併せて、リーダー育成の実施によりどのようなメリットが期待できるのかを具体的に描くことも重要です。リーダー育成は長期戦であるため、全社的に長期間にわたって取り組んでいく必要があります。そのためには、達成によって得られるメリットを全員が認識し、その実現に向けて前進しているという感覚を持つことが大切です。

また、大きな目的だけでなく、段階的に小さな目的・目標も具体的に定め、一つひとつクリアしていくことも求められます。それにより、前進している感覚を得られやすく、軌道修正もしやすくなるでしょう。

ポイント③|候補者には幅広い業務・役割を経験させる

リーダーの候補者にはさまざまな業務や役割を経験させ、リーダーになることへの意欲の向上を図っていくこともポイントです。

その際には、先にも紹介した「ストレッチアサインメント」を活用すると良いでしょう。ストレッチアサインメントとは、実力以上のポジションに就かせ、難易度の高い経験を積ませる手法です。リーダー候補者が、多様な業務を経験することで多角的な視野や経営視野を持てるようになり、スキル・意欲の向上が期待できます。

具体的な内容としては、新規事業の立ち上げや人員のアサイン、配置異動といった難易度の高い業務を任せると良いでしょう。

経営・管理側の視点が求められるようなハードルの高い業務をこなす中で、リーダーに必要なスキルの成長を促せます。

リーダー育成の期間中は、1つの業務に留まらず、幅広い役割・業務を経験してもらうようにしましょう。

ポイント④|中長期的なスパンで取り組む

リーダー育成は短期で効果の出るものではないことを認識し、中長期的な視野を持って取り組んでいくことも必要不可欠です。

育成を急いで短期間に集中して教育を詰め込んでしまうと、「ピアジェ効果」によりリーダー候補者の成長が急に止まってしまうこともあります。ピアジェ効果とは、能力を伸ばすことを強要することで、ある時点で成長がピタリと止まってしまう現象のことです。この心理現象は、他者からの過度な要求に応える中で、主体性や意欲が低下し引き起こされるといわれています。

そのため、育成計画は短期間に詰め込みすぎず中長期的に立て、ゆとりを持たせて進めていくことが大切です。

育成期間が長期にわたることで、リーダー候補者の意欲・モチベーションを保てなくなることもあるかもしれません。この問題の対処法としては、育成期間中も成長や成果がしっかりと評価されるような仕組みづくりをしていくことが有効です。育成中にリーダー候補者へのケアを丁寧におこなっていくことも欠かせません。

リーダー育成には非常に時間を要するため、すぐに成果を求めるのではなく、長期的なスパンで取り組んでいくことが大切です。


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まとめ

リーダーの育成を成功できれば、経営戦略やビジョンを深く理解した人材の育成や、従業員のモチベーション向上が期待できます。自社への理解が深まり、愛着が高まることで、従業員の定着や離職率の軽減も見込まれます。

ただし、リーダー育成を実施していくにあたっては、多くの問題にぶつかるものです。育成の優先順位が低いことや、育成体制が整っていないことなどから、育成が頓挫してしまうことも少なくありません。

しっかりとリーダーを育成していくためには、本記事で紹介した7つのステップにのっとって育成を実施していくことが大切です。適切なやり方で育成ができれば、自社のリーダー育成に関する課題を解決できるようになるでしょう。ぜひ実践してみてください。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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