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組織開発コンサルティングを導入するメリットと企業を選ぶ時のポイントを解説!
2023/6/16
- 組織開発コンサルティングとは?
- 組織開発コンサルティング会社に依頼できる内容
- 組織開発コンサルティング会社に依頼するべき3つの理由
- 組織開発をコンサルティング会社に依頼する2つのデメリット
- 組織開発コンサルティング会社を選ぶポイント
- まとめ
企業に対するコンサルティングサービスはさまざまな種類があるものの、組織開発コンサルティングというサービスの存在を知っている人はまだ少ないかもしれません。
組織開発コンサルティングは、組織の風土改革や社内環境の改善、社内での変革を実施する際に、組織開発という広範囲な枠組みの中で中長期的な支援を行ってくれるものです。
今回は、組織開発コンサルティングとはどのようなものなのか、メリット・デメリットの紹介から、コンサルティング会社を選ぶ時のポイントまで詳しく解説していきます。
組織開発コンサルティングとは?
組織開発は、直訳すると「Organization Developmect」と呼ばれ、1950年代の終わりにアメリカで生まれ、欧米を中心に発展してきた手法です。
日本では、終身雇用制度から成果主義へ移行する会社が増えてきたり、雇用形態や従業員属性の多様化によって職場環境や社員同士のコミュニケーションも変化したりしています。変化に伴うさまざまな問題解決のために、組織開発が注目されるようになってきました。
組織開発は、組織に所属している当事者が組織力の向上を目指して行う取り組みのことを指しており、組織開発によって社員のモチベーションアップや組織全体の生産性向上、活性化が期待できます。
これらの組織開発を進める上での課題を解決していくのが組織開発コンサルティングです。
人事評価制度構築や組織改革など、企業の人材領域全般の課題解決を行う人事コンサルティングも、組織開発コンサルティングの一種とされることもあります。
組織開発を行っていくには、企業内の当事者だけで進めていくと取り進めに時間がかかってしまったり、効率的な対応を取りにくかったりすることも多くあります。外部の専門家にコンサティングを依頼することで、客観的で効率的な施策をスムーズに行うことが可能になるのです。
人材開発と組織開発の違い
「人材開発」と「組織開発」は似たような言葉として使用されますが、違いはどのようなものなのでしょうか。
「人材開発」とは、会社や組織に属している人の能力やパフォーマンスの向上を目指す取り組みのことを指しており、さまざまな研修や教育を行うことで、仕事における能力を高めていきます。
「組織開発」は、対象となるものが「人」ではなく、人同士の「関係性」や「相互作用」が対象となります。社員同士の繋がりや関係性を含めた組織全体の構造を開発していくことになるため、対個人への対応とは異なりさまざまな調整が必要となってくるのです。
組織全体の改革を行うには、人材そのものの知識や技術が向上するだけでなく、組織を広い視点から俯瞰的にとらえ、人間同士やグループ同士といった関係性のまとまりとしてみることが必要なのです。
しかし、最近は人材開発と組織開発の境目が明確ではなくなってきており、それぞれの要素を取り扱いながら施策を実施することも増えています。
組織開発コンサルティング会社に依頼できる内容
組織開発をコンサルティング会社に依頼する際に、どのような内容を依頼できるのでしょうか。
組織風土の見直しと定着
組織風土や社風といわれるものは、企業の中にいる人の間ではなかなか客観的な味方ができず、自分達は当たり前と思っていることが思わぬ問題として発展してしまうケースもあります。
企業の使命や理念、行動指針などをまとめて「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」と呼び、持続的な企業の成長に向けて、MVVの策定は非常に注目されています。
MVVの策定や組織風土・カルチャーの見直しと、それらに伴う新しい組織開発の取り組みは、企業全体を客観的にみられて、他社や業界知識の知見をもっている外部の専門家に依頼するメリットが多いでしょう。
また、組織開発は定着させることが非常に重要で、組織開発後に社内に定着するまでの期間は、定期的な研修や成果の定点観察も必要となってきます。
外部の専門家に依頼することで、導入からその後の社内への定着への支援までを継続的に行ってくれるため、スムーズな組織開発が可能になるといえるでしょう。
マネジメント層への研修
組織開発コンサルティングでは、組織開発に伴う変革に必要なマインドやスキルについてマネジメント層への研修も実施できます。
自社内だけでの取り組みでは、マネジメント層への浸透から全社内へ展開が難しいケースも多々ありますが、専門家の適切な研修によってより効率的な取り組みができるようになります。
多様なモデルやフレームワークに熟知した専門家により研修を策定してもらうことで、マネジメント層への理解をスムーズに促せるのです。
また、一般企業では難しいような研修による効果測定まで行ってもらえることもあります。
組織運営の強化を図るためにも、専門家によるマネジメント層への研修は非常に効果的といえるでしょう。
評価制度の見直し
現在の企業の評価制度を見直し、他社事例と比較しながら最適な評価制度を策定するサポートもしてもらえます。評価制度を見直すことによって、従業員のモチベーションを向上させたり、人材育成を促進させたりといったメリットもあるでしょう。
企業文化や業界によってどのような評価制度を導入したらよいか、自社内での問題点や課題を総合的に勘案した適切な評価制度の提案は、さまざまな知見を持った専門家だからこそ可能ともいえます。
社員のモチベーション向上や離職率の低下につながるような、人材育成に直結する評価制度の見直しは、組織開発の重要項目でありコンサルへの依頼は企業の成長にとって効果的だといえるでしょう。
組織開発コンサルティング会社に依頼するべき3つの理由
組織開発をコンサルティング会社に依頼するメリットとしてはどのようなことがあげられるのでしょうか。本章では3つご紹介していきます。
多様なモデルがあり自社に何がマッチしているのかを判別しにくい
組織開発には多様なモデルがあるため、自社内だけで組織開発を行おうとすると、自社にはどのようなモデルがマッチしているのかを判別しにくくなってしまいます。
自社にあった最適なモデルを判別するだけでなく、運用に乗せるとなると専門的なスキルが求められるのです。
そのため、客観的な目で社内の状況を把握し、多くの他社事例などの取り組みを元に最適なモデルを判別してくれる専門家にお願いすることは、効率的な組織開発の重要なポイントといえるでしょう。
大きな組織開発を行う場合やるべきことが多く工数不足になる
大規模な組織開発を行う場合、検討するべきことややるべきことが非常に多く、工数不足になります。
とくに、人事部をはじめとしたコーポレート部門の人員が多くない会社になると、すべてを自社でまかなっていてはスピード感に欠け、組織開発を実現するまでに多くの時間を要してしまうでしょう。
外部のコンサルティング会社に依頼することで、工数不足で組織開発に取り組めないといった問題を解決できるのです。
客観的な視点も必要になる
組織開発においては、客観的な視点も必要となります。
組織内にいると気づけないことも、第三者が介入することで気づきを得られるケースも多くあります。
また、自社内だけで組織開発を進めようとすると、社内の事情によって人間関係や関係各所への配慮等、考慮すべき事項が増えてしまうといった問題もあるかもしれません。
社内事情に関わらず、客観的な視点で企業の現状を見て、最適な組織開発を提案してくれる専門家の存在は組織開発の成功に重要な役割といえるでしょう。
さまざまな業界の知見をもっているコンサルティング会社であれば、各企業や組織に合った最適な要件整理の実施や施策の提案をしてもらえるのです。
組織開発をコンサルティング会社に依頼する2つのデメリット
組織開発をコンサルティング会社に依頼するメリットをみてきましたが、知っておかないとコンサルティングの利用自体がデメリットとなってしまうこともあります。
今回は2つのデメリットをご紹介していきます。
社内に知見がたまらない
組織開発を外部に委託することで、社内に知見やノウハウがたまらなくなってしまいます。
多くの案件に対応してきた知見を活かせるメリットがあげられる反面、コンサルティング会社にすべて任せてしまったために、自社内に知見や今後につながるノウハウが蓄積されなくなってしまうともいえます。
コンサルティングの支援がなくなった時に自社で運用を回せなくなってしまう可能性があるため、業務の委託終了後も自走できるような仕組みをしっかりと確認し、整理しておくことが重要です。
また、組織開発に伴う支援は短期間ではなく中長期的な計画のもとで依頼を検討するとよいでしょう。
予想よりもコストがかかることもある
外部のコンサルティング会社を利用する場合、報酬という費用が発生します。
費用に合った効果が得られれば良いですが、費用対効果をしっかりと検証しておかないと、お金をかけたのに効果が得られないといった事態にもなりかねません。
課題解決事項の多さや内容によって費用が変動するため、希望している組織開発が予算の範囲で依頼できるのかを事前にしっかりと検討しておくことが重要です。
そして、検討事項が追加で次々と発生したりするようなことがあると、予想よりもどんどんコストがかかってしまう可能性もあります。
コンサルティング会社に依頼する際には、自社の規模とコンサルティング費用が見合っているか、コンサルティングの費用の条件などについてもしっかりと確認し、検討するようにしましょう。
組織開発コンサルティング会社を選ぶポイント
組織開発コンサルティング会社といっても、得意分野や専門領域は会社や担当者によっても異なります。
コンサルティングを活用して効率的に課題解決するためには、どのようなポイントでコンサルティング会社を選んだらよいのでしょうか。
自社の課題とマッチしたサービスを提供しているか
コンサルティング会社の提供しているサービスが、自社の課題とマッチしているのかを必ずチェックする必要があります。
組織開発コンサルティング会社の中でも、企業によって得意ジャンルが異なるので、自社の課題とマッチしていない場合には期待している支援内容ではなくなってしまう可能性があります。
自社の改善したい課題を十分に検討し、依頼する目的を提示する必要があるのです。
効果的なコンサルティングを受けるためには、自社の課題解決につながるように、解決にマッチしたコンサル会社を選ぶことが重要だといえるでしょう。
実績やノウハウが豊富にあるのか
コンサルティング会社ごとに得意分野や実績は実にさまざまです。
今までの実績や、どのようなノウハウを持った人がコンサルティングをしてくれるのかを、事前にしっかりとチェックすることが重要です。
コンサルティング会社の企業規模や今までの実績だけではなく、クライアントにどのような成果をもたらしてくれるのかといった視点も重視する必要があるでしょう。
今までの実績として、自社と近い悩みを持つクライアントがいたのか、課題解決のためにどのような指標を用いているのか、どのような効果が得られたのかといった具体的な実績まできちんと調べることが大切です。
組織開発コンサルティングは中長期的に依頼する案件が多くなり、担当者とのやりとりも多く発生することから、コンサルティングを行う人との相性が良いかどうかも事前にしっかりと確認しておくことをおすすめします。
まとめ
組織開発による企業の課題解決や成長戦略においては、自社内だけで取り進めるよりも、専門家によるコンサルティングを受けることでスムーズな導入やその後の社内への定着を効率的に行えます。
自社の課題感に合わせて適切なコンサルティング会社を選択し、上手に活用しながら自社の組織や風土改革を実践していくことで、短期的な効果だけでなく長期に渡って企業の成長に繋げられるのです。
組織開発コンサルティングへの依頼についてお悩みの方は、ぜひ今回の記事を参考にして依頼を検討してみてください。
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- 前田 正彦(まえだ まさひこ)
- 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。