フィードバック面談とは?目的から失敗しないコツまで解説 - 株式会社スキルアカデミー

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フィードバック面談とは?目的から失敗しないコツまで解説

フィードバック面談とは?目的から失敗しないコツまで解説
  1. フィードバック面談とは?
  2. フィードバック面談のメリット
  3. フィードバック面談のデメリット
  4. フィードバック面談の流れ
  5. フィードバック面談の質問例
  6. フィードバック面談で失敗しないコツ
  7. まとめ

「部下に評価を伝えても納得している様子がない」「評価を伝えたらパフォーマンスが低下した」といった問題が社内の各部署で生じていませんか。評価を伝えても伝えなくても従業員から不満の声が上がるようでは、人事部としては八方ふさがりになったように感じるかもしれません。

しかし、「フィードバック面談」であれば、部下の評価に対する納得感を高め、より意欲的に働いてもらうことが可能です。そこで本記事では、フィードバック面談の特徴やメリット、失敗しないコツについて紹介します。この記事を読むことで、フィードバック面談の詳細が掴め、導入に向けてスムーズな事前準備ができるようになります。

フィードバック面談とは?

フィードバック面談とは、上司が部下に人事評価の結果を伝え、双方で評価や課題、良い点などについて面談を設けて話し合うことを指します。フィードバック面談の目的は、部下の評価への納得感を高め、部下の成長を促すことです。

フィードバック面談の実施と人事評価の納得度には、一定の相関性があることが調査でわかっています。株式会社O:が2021年に行った「上司・部下の評価コミュニケーションの実態調査」では、フィードバック面談を実施したグループと、実施しなかったグループでは人事評価の納得率が以下の通り異なりました。

フィードバック面談の有無と人事評価の納得度の関連性

出典:上司・部下の評価コミュニケーションの実態調査|株式会社O:

また、同調査において、フィードバック面談に納得したグループと納得しなかったグループでは、以下のような違いが見られました。

評価の納得度とフィードバック面談の話題の関連性

出典:上司・部下の評価コミュニケーションの実態調査|株式会社O:

とくに顕著な有意差が見られたのは、「プラス評価の根拠について詳細な説明があった:差分34.7%」「今後の成長課題について対話をした:差分23.5%」などの承認や未来の対話に関する項目でした。

一方で、「マイナス評価の証拠について詳細な説明があった(差分6.9%)」や「自己評価とギャップがあった部分について対話を行った(差分8.9%)」においては、他の項目と比べて納得の有無に大きな差分がありませんでした。

これらの結果から、フィードバック面談で承認や未来の内容について話すことで、評価に納得してもらいやすくなることがわかります。

フィードバック面談のメリット

ここからは、フィードバック面談を実施することで得られる、代表的な3つのメリットについて詳細に紹介していきましょう。

対象者の課題が明確になり成長する

フィードバック面談を実施することで、部下の成長を促進させることが可能です。

フィードバック面談の場で、客観的な視点と豊富な知見を持つ上司と、評価やその期の業務内容について一緒に振り返ることで、部下はそれまで気づけなかった自身の問題に気づけるようになります。そして、面談中にその課題の解決策について自分で考える機会が与えられることから、業務について深く考えるキッカケを得られます。

こうした経験を通して、自身の課題や解決策について考える力が鍛えられ、部下の自走力を向上させる効果が見込まれるのです。

上司が一方的に助言や指摘をするのではなく、部下が自分で答えにたどり着けるようにヒントを小出しにしていくことで、その効果はいっそう高まるでしょう。

対象者のモチベーションが上がる

フィードバック面談の実施によって、対象者のモチベーションを向上させることも可能です。

評価について詳しく話し合うフィードバック面談では、部下はどのような基準でどのように評価されており、自分はこれから先どう行動すれば良いかを把握できるようになります。その結果、仕事の方向性が明確になり、部下は仕事に意欲的に取り組みやすくなるのです。

また、フィードバック面談では部下と直接評価について話し合う必要性があることから、上司は客観的で論理的な評価をするようになります。そのため、部下の日々の頑張りが適切に評価されやすいことも、部下のモチベーション向上が見込まれる理由の一つです。

評価に対する納得感が上がる

前述の通り、フィードバック面談では評価に対する納得感が高まります。フィードバック面談によって評価に納得してもらいやすくなるのは、上司が口頭で評価理由について詳細に説明し、都度部下からの不明点などにも受け答えすることで、評価への理解が高まるためです。

また、足りない点だけでなく良い点についても説明があるため、公正に評価をされていると感じやすくなります。そのことも評価を受け止めやすい理由の一つです。

フィードバック面談のデメリット

フィードバック面談にはメリットだけでなくデメリットもあります。ここからは、その点についても紹介していきましょう。

制度導入に手間がかかる

フィードバック面談を実施するまでの準備に手間のかかることがデメリットです。

フィードバック面談を行う前段階として、人事評価制度の導入や見直しが必要になります。フィードバック面談では評価内容について詳細に話し合うことから、細やかな評価基準を作成し、社内で統一しておく必要があります。

人事評価制度自体がすでに存在する場合であっても評価基準に曖昧な点が多ければ、部下に納得してもらいづらくなるため、評価基準の見直しが必要です。

制度導入の前準備に、このような労力のかかる点がデメリットとなります。

かえってモチベーションを下げるリスクがある

フィードバック面談によって、かえって部下のモチベーションを下げてしまうことがあります。

フィードバック面談を実施する上では前段階として人事評価制度の導入が必要になりますが、人事評価制度の導入によって評価基準が明確化されます。これにより公正な評価ができるようになるものの、公正な評価をしても悪い評価を受ける人は一定数存在します。

低評価を受けるのは気持ちが良いことではないため、たとえ公正な評価結果であっても納得してもらえない可能性があります。その場合、部下のモチベーションが低下する恐れもあるでしょう。

ただし、前述の調査結果の通り、良い点の賞賛や今後どうすればより良い評価を受けられるのかなどについて前向きに話し合うことで、部下のモチベーションを高めやすくなります。

フィードバック面談の流れ

フィードバック面談を実施する際の流れは、以下の通りです。

STEP1:事前準備
STEP2:フィードバック面談の実施
STEP3:今後の目標設定

STEP1:事前準備

上司は、フィードバック面談の実施に向けてまずは事前準備をします。フィードバック面談の事前準備の工程は、以下の通りです。

  1. 人事考課シートを用意する
  2. 従業員に自己評価を記入してもらう
  3. 直属の上司が評価を書き込む
  4. 役職の高い人へと順に回して、各役職者による評価を行う

最初に、従業員の重要な評価基準となる人事考課シートを用意しましょう。人事考課シートとは各従業員の評価を記載する評価シートです。

つづいて、従業員に自己評価をしてもらいましょう。従業員に自己評価をしてもらう理由は、その期の自身の業務姿勢や成果を振り返ってもらうことや、面談時に評価のすりあわせをしやすくすることにあります。部下自身が一度自己の評価について整理をできていなければ、面談の場で納得できない場合にうまく言語化できず、不明点や不満が解消されない可能性もあります。

部下に自己評価を記入してもらった後は、直属の上司に評価を書き込んでもらいましょう。その後は、役職者の高い人へと人事考課シートを順に回していき、一人の部下に対して多角的に評価を行います。

各役職者による評価が終了したら、面談を実施する上司にその評価内容を読み込み、理解してもらうことが大切です。各役職者の評価内容に腑に落ちない箇所がある場合は、その評価を部下に直接伝えても納得してもらえない可能性が高いため、不明点がある際には評価者に確認し明らかにしておきましょう。

STEP2:フィードバック面談の実施

フィードバック面談の事前準備が終わったら、いよいよ面談実施に移ります。面談は以下の流れで行います。

  1. 緊張をほぐすためのアイスブレイクをする
  2. 面談の趣旨や大まかな流れを伝える
  3. 部下が自らの評価について説明する
  4. 上司が評価に関する説明を行う
  5. 質問・相談・意見交換をする

まずは、本題に入る前にアイスブレイクを実施します。上司と部下双方の緊張をほぐし、双方が本音で話し合いやすくなる空気感を作り出すことが目的です。最近興味のあることや今朝の出来事など軽い話題で構いません。

ある程度場が和んだら、面談の趣旨や流れを部下に伝えます。面談の目的や意義を双方で共有しておくと脱線しづらくなり、本来の目的に沿った面談を行いやすくなります。

その後、部下自身に評価に関して説明をしてもらった後、上司から評価に関する説明をします。その際には、前述の調査結果の内容に基づき、部下の課題だけでなく、良い点の詳細など前向きな話題にも触れることを忘れないようにしましょう。一通り説明が終わり、最後にお互いに不明点や相談ごとなどがないかを確認したら、評価に関する話し合いは終了です。

STEP3:今後の目標設定

評価に関する話し合いが終わったら、今後の仕事に対する目標設定を行いましょう。

目標設定の際には、上司が一方的に理想を押しつけるのではなく、基本は部下自身に目標を立ててもらうことが大切です。納得感のある目標ほど、部下が意欲的に仕事に取り組みやすくなり、自分で課題や解決策を考える練習にもなります。

ただし、知見が豊富で部下の仕事の姿勢や能力を把握している上司からのアドバイスは、より質の高い目標設定をする上で必要な側面もあるため、適度に助言を行うようにしましょう。また、目標達成後の人事考課への具体的な影響や部下の活躍に期待していることなどを伝え、部下が良いスタートを切れるよう、前向きな話題で目標設定を終えることが大切です。

面談を通して、上司は部下を否定しないように注意しましょう。部下が前向きな気持ちで面談を終え、次期に向けて意欲的に業務へ取り組むためには、今の部下を受け止め支える気持ちが重要になるためです。

フィードバック面談の質問例

フィードバック面談では、部下の考えをしっかりと聞き出すために、上司から積極的に質問を行うことが大事です。質問は、部下の性格や状況などを踏まえた上で工夫する必要があります。

たとえば、以下のような例が挙げられます。

コミュニケーションが苦手な従業員 「イエス」「ノー」の二択で答えられる質問から始めて、徐々に話を深められる質問に移っていく
目標未達の部下 目標を達成するために具体的にどのような方法や行動をとったのかを深掘りし、課題点を洗い出す
目標到達の部下 目標の難易度が適切であったのかの確認。次期以降も再現性高く目標達成できるよう成功要因を深掘りする
不満を言わなかった社員 何か疑問に思っていることがないかを入念に確認する

部下の個性は一人ひとり異なり、積極的に自分から意見を述べたり悩みを打ち解けてくれたりする人ばかりではありません。慎重に質問を重ねた上でようやく考えを伝えてくれるケースもあるでしょう。そのため、部下ごとに質問方法や内容を変えることが大切です。

いずれの場合でも、上司は詰問調の質問は避けるようにしましょう。部下が非難されているように感じたり圧迫感を覚えたりすると、部下は本音で話しづらくなります。相づちや共感の言葉によって部下の心情に寄り添うことで、率直な意見を言ってもらいやすくなります。

フィードバック面談で失敗しないコツ

フィードバック面談では前向きな話題に触れることで、部下の評価への納得感を高められますが、それ以外にも重要なポイントがあります。最後に、その詳細について紹介します。

論理的に評価を伝える

フィードバック面談で失敗しないためには、論理的に評価を伝えるようにしましょう。

評価者の主観に頼った評価は、部下が納得感を得づらくなります。評価者の主観を避け、数字などの客観的な事実に基づいて評価をすることで、評価に納得してもらいやすくなります。人事考課シートで定められている項目や評価ポイントに基づき、適切な評価を行いましょう。

コミュニケーション能力など数値化の難しい定性的な項目については、勤務中の具体例を例示することで評価の説得力を高められます。

部下の話をしっかり聴く

フィードバック面談で失敗しないためには、部下の話をしっかりと聴くようにしましょう。
部下の話を聴こうとせず、上司から部下へ一方的なフィードバックをしてしまうと、部下が萎縮し部下から本音を聞き出せなくなります。

部下の話をヒアリングする際には、途中で話を遮って否定をしないことが大切です。部下は「このようなことを話しても良いのだろうか」など不安を抱えながら相談しているかもしれません。そうした部下に対して否定的な発言をしてしまうと、部下が率直な気持ちを伝えにくくなり、面談後に消化不良な点や不満を残してしまうリスクがあります。

部下が話しやすいように、優しく質問をしたり相づちをしたりすることで、部下は安心して相談ごとや悩みごとを打ち明けられるようになります。

日頃から密なコミュニケーションをとっておく

フィードバック面談で失敗しないためには、日頃から密なコミュニケーションをとっておくことも大事です。

普段からコミュニケーションをとれていないと、「自分のことを一面的にしか見ていないのでは」「自分のことを理解してくれていないのでは」と評価に不信感を抱かれやすくなります。その結果、たとえ論理的に評価を伝えても、評価を素直に聞き入れてくれない可能性があるのです。

日頃から趣味や苦手なことなど業務以外の雑談をして距離を縮めておくことで、フィードバック面談の内容を受け止めてもらいやすくなります。ただし、プライベートの話題を好まない社員もいるため、干渉をしすぎないことも重要です。そういった社員には、日頃から賞賛やねぎらいの気持ちなどを伝えることで、面談時に悪い評価を告げた際にも意見を受け止めてもらいやすくなるでしょう。

まとめ

フィードバック面談は、部下の人事評価の結果や、今後の動向を話し合う面談のことを指します。フィードバック面談を行うことで、部下の評価への納得感を高め、部下の成長を促す効果が期待できます。

ただし、やみくもに面談を実施しても思うような効果が得られないどころか、逆効果となるリスクもあります。そのため、フィードバック面談を実施する際には、しっかりと事前準備をし、面談時には部下の承認や傾聴することを心がけるようにしましょう。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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