スキル管理とは?メリットやデメリット、具体的な方法について解説! - 株式会社スキルアカデミー

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スキル管理とは?メリットやデメリット、具体的な方法について解説!

スキル管理とは?メリットやデメリット、具体的な方法について解説!
  1. スキル管理とは?
  2. スキルの定義と種類
  3. スキル管理のメリット
  4. スキル管理のデメリット
  5. スキル管理の具体的な方法
  6. まとめ

「新規プロジェクトを立ち上げる際、誰をメンバーに入れたらよいかわからない」「社内にどのような能力を持っている人材がいるか把握できていない」「結局いつも同じ人に仕事が集中してしまう」といった課題を抱えている会社も多いのではないでしょうか。

日頃の業務を見るだけで、従業員の能力を把握し切るのはなかなか難しいでしょう。

しかし、従業員の能力を可視化できる「スキル管理」を用いることで、一人ひとりの能力を容易に判断できるようになります。

本記事では、スキル管理の概要やメリット、デメリット、具体的な管理方法についてご紹介します。この記事を読み、スキル管理の詳細を掴むことで、導入に向けてのスムーズな事前準備をおこなうための参考にしましょう。

スキル管理とは?

スキル管理とは、一人ひとりの従業員が持つスキルを見える化し、一元管理する仕組みのことを指します。

各従業員の資格やそのレベル、経歴といったスキル(能力)に関わる情報を、スキル管理システムやエクセルなどでまとめて管理する方法で、人材登用や、公正な人事評価、企業の現状に即した人材育成などをおこなうことを目的としています。

スキル管理とタレントマネジメント

スキル管理は、すべての従業員に最大限の能力を発揮してもらうための取り組みである「タレントマネジメント」の一環です。

スキルを軸に従業員を管理するタレントマネジメントでは、従業員の個々のスキルを可視化し、スキルに即した人事配置や教育をおこなうことで、十分なパフォーマンスの発揮が期待できます。
最適化された人材マネジメントができることから、昨今重要な人事タスクの一つとして注目を浴びています。

スキル管理とスキルマップ

スキル管理と関連性の高い「スキルマップ」という言葉があります。

スキルマップとは、従業員一人ひとりが持つスキルとそのレベルスキルを一覧にした表のことで、業務を行うにあたり必要なスキルを持ち合わせているかを見える化するためのツールです。一般的にスキルマップには、各従業員の名前と共に一人ひとりが有しているスキルと、そのスキルレベルが記載されています。

スキルマップの作成により、一人ひとりのスキルの違いを把握しやすくなったり、スムーズなスキルの確認ができるようになったりします。

自社における人材の特徴が掴めるようにもなるため、採用や研修の質を高めることも可能です。たとえば、全従業員のスキルの特徴から、会社全体で不足しているスキルが把握できたとします。その場合、不足スキルを補えるような採用や研修を実施すれば、自社の欠点をカバーできるようになるのです。

スキルの定義と種類

一口に「スキル」といっても、さまざまな種類があります。
ここでは、スキルの詳細についてご紹介します。混同されることのある「スキル」と「知識」の違いについても解説するので、確認してみてください。

スキルの種類

スキルには、ビジネス汎用スキルと専門スキルがあります。
(株)スキルアカデミーでは、ビジネス汎用スキルを、「表現力」「説得力」「仕事力」「会話力」「協働力」「複合」の6つのカテゴリー、計16項目で定義しています。

スキルの定義

スキル管理でスキルの項目や定義を決定する際には、上表を是非ご参考ください。

スキルと知識の違い

スキルと知識は、まったく異なる概念です。
知識は、頭で理解し覚えること、知っていることをします。「知識がある」と表現する際に指し示せる代表的なものとしては、数学や言語学といった学問が挙げられるでしょう。

一方でスキルは、自転車の運転法や言語(スピーキングやライティング)といった、繰り返し反復することによって体で覚える「知」のことを指します。

そのほか、スキルと知識には次のような違いがあります。

知識 スキル
特定の分野を深掘りした専門的な縦の「知」 さまざまな仕事で使われる汎用性の高い「横」の知
内容を詳細に言語化できる 言語化が難しい
獲得できる人が限られる 意欲があれば大半の人が獲得可能

スキル管理のメリット

スキル管理をおこなうメリットは、以下の通りです。

  • 組織と個人それぞれの強み・弱みを把握できる
  • スキル適性にもとづいた人材配置ができる
  • 公正な人事評価ができる
  • 不足スキルにもとづいた人材育成ができる

ここからは、スキル管理のメリットについて具体的にご紹介していきましょう。

組織と個人それぞれの強み・弱みを把握できる

スキル管理のメリットは、従業員のスキルが可視化されることで、組織と個人、それぞれの強みと弱みを把握できる点です。組織と個人の得意な点・不得意な点を掴むことで、企業や組織の実状に即した最適の人事施策を打ち出せたり、企業の特徴を客観的に伝えられたりします。

たとえば、特定のスキルを持った人材群が業績に対して、よい影響を与えていることが明らかになったとします。すると、そのスキルに長けた人材を新規採用したり、現在そのスキルを有していない従業員にスキル習得の育成施策をおこなったりできます。

企業における今後の方向性や課題を投資家などに伝える際も、主張の裏付けとしてスキル管理で得られたデータを役立てられます。

スキル適性にもとづいた人材配置ができる

スキル適性にもとづいた人材配置をおこなえることも、スキル管理におけるメリットのひとつです。主な理由としては、それぞれの業務に必要なスキルがある人材を、スキル管理表から探せるためです。

スキル管理表を作成しておけば、従業員一人ひとりが何に長けており、どのようなレベル感でこなせるのかを把握できるようになります。よって、各々のスキルを最大限に活かした人材の配置を、プロジェクトごとにおこなえるようになるのです。

新規部署や新規プロジェクト立ち上げ時など、するべきことが同時に多発するようなケースでも、各項目に必要な人材をスムーズに配置できます。それだけでも、立ち上げ時の負担を大幅に削減できます。

公正な人事評価ができる

公正な人事評価がおこなわれやすくなることも、スキル管理のメリットです。

スキル管理が浸透している会社では、スキルをベースに部下の能力を評価する風土が生まれます。必要なスキルの定義を明確化し、レベルの位置づけもおこなっていけば、公平・公正な評価ができるようになります。

主観によるバイアスなどによる人事評価のエラーが減ることで、評価に対する従業員の不満が起こりにくくなるといった効果もあるでしょう。

効果的・合理的な人材育成ができる

スキル管理により従業員のスキルを可視化できれば、会社全体に不足しているスキルを発見し、それにもとづいた合理的な人材育成が可能です。

ある特定のスキル不足が原因で目標到達度合いに悪影響を与えているのであれば、不足しているスキルを補強するための研修や講座、トレーニングなどを実施すればよいのです。

自社が抱えている課題がどこあるのかを事実にもとづいて判断ができない場合、あらゆる施策を講じても自社の実状に即さず、思ったような成果が得られないことも考えられるでしょう。
従業員の不足スキルを事実ベースで把握できるスキル管理においては、合理的な人材育成が可能になり、無駄な労力や予算を浪費するリスクも抑えられます。

スキル管理のデメリット

スキル管理にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。

  • 不満が生まれることもある
  • 準備に時間がかかる

ここからは、スキル管理のデメリットについてご紹介していきましょう。

不満が生まれることもある

各従業員のスキルレベルに応じた客観的評価が可能なスキル管理であっても、不満が生まれるリスクはあります。

「事実は〇〇だから、あなたの評価は△△です」と適正な評価を下しても受け止めてもらえないのは、評価を受ける側の自尊心やプライドなどが合理的な判断を遮断してしまうためです。

ネガティブな評価を伝える際には、ポジティブな要素や今後の業務への取り組み方などを含め前向きに伝えることで、被評価者に評価を受け入れてもらいやすくなるでしょう。

準備に時間がかかる

スキル管理制度の準備に時間がかかってしまうことも、スキル管理のデメリットです。

スキル管理を運用するには、スキルマップの作成や、スキル項目・スキルレベルの設定などをおこなう必要があります。したがって、ある程度の時間や労力を要するのは必然となります。本来の業務に加えてスキル管理の準備も並行しておこない、軌道にのせるまでには大変なことも多いでしょう。

各社員の能力を見える化し、評価やメンバー選定に役立つスキル管理ですが、上記のようなデメリットを解消する工夫も必要です。

スキル管理の具体的な方法

最後に、スキル管理の具体的な方法についてご紹介します。

スキル管理の目的を決める

まずは、スキル管理の目的を定めましょう。目的によって、職種・スキル・レベルが記載される「スキルマップ」の項目や運用の方向性も変わってくるため、目的を明らかにすることが重要です。

スキルマップの目的としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 適切な人材配置
  • 人材育成
  • 採用
  • 従業員のモチベーションアップ
  • 公平な人事評価

長期的なスパンで育成に取り組む

続いて、スキルマップのフォーマットを用意しましょう。

スキルマップフォーマットの一例としては、厚生労働省が公表している『職業能力評価シート』が挙げられます。

こうしたネット上で公表されているフォーマットを自社の状況に合わせてカスタマイズすることで、比較的負担を下げつつ質の高いスキルマップが作成できます。

スキルマップのフォーマットは業種や職種によって異なるため、自社の業種・職種に合致したものを選定するようにしましょう。

参考サイト:職業能力評価シートについて|厚生労働省

スキル項目を設定する

次に、自社がスキル管理で取り扱うスキルをリストアップし、それぞれの定義を明確にしましょう。

たとえば「言語化スキル」を定義する際には、「言語化スキルとは、曖昧な知識を過不足なく、誰でも同じイメージを持てるように表現するスキルのことである」のように、具体的に言語化するとよいでしょう。

スキル定義の別例としては、「グラフィック表現力とは、説得力を高めるため、膨大なデータや複雑・曖昧な概念を、図で表現するスキルのことである」といった定義などが挙げられます。

スキルレベルを設定する

スキルの定義が完了したら、保有スキルの高低の度合いを示す「スキルレベル」を設定しましょう。これは、各項目における従業員一人ひとりの能力差異を明確にするためです。

スキルレベルの定義例としては、下記表が挙げられます。

レベル0 1のレベルには達していない状態
レベル1 改善の余地が大きくあるものの、なんとかそのスキルを発揮できる
レベル2 平均的なレベルでそのスキルを発揮できる
レベル3 他の社員の手本となるレベルで、そのスキルを発揮できる
レベル4 他の社員を指導できるレベルで、そのスキルを発揮できる

「スキル」と類似の概念として「資格」という言葉が挙げられますが、これらは別です。
一般的に「資格」は、民間企業などが実施するテストを受験し合格することで得られるものです。(中には、TOEICのように合格・不合格の概念がない資格もあります)
一方、「スキル」は反復することによって体で覚える「知」のことを指します。
それぞれの例としては、以下のようなものが挙げられます。

スキルの例 言語化スキル、グラフィック表現力、ライティングスキル など
資格の例 簿記能力検定、ウェブデザイン技能検定、TOEIC など

資格は、いわば「知識」を獲得した証明のようなものといえるでしょう。スキルと資格はよく混ざってしまいがちな概念なので、区別して考える必要があります。

スキルデータを応用する

スキル管理で得られたスキルデータは、さまざまな場面で応用が可能です。従業員が持っているスキルや資格の情報を入社時点でデータ化しておき、数年後にどのようにスキルアップしたのかの推移を可視化することで、人事異動や人事評価などの参考資料にもできます。

まとめ

スキル管理によって従業員のスキルを可視化することで、人事施策の質を高められます。どの従業員が、どのようなスキルを、どのような習熟度で保有しているのかがわかるため、チーム編成をする際などに目標到達に向けて最適な人員選定ができるようになるでしょう。

スキルという客観的な情報にもとづく評価を人事評価に反映させれば、公正な人事評価もできるようになるはずです。
スキルマップを作成し、効果的なスキル管理をしていきましょう。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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