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中堅社員のモチベーションが低下してしまう要因とは?企業にもたらす影響や対策についても解説

中堅社員のモチベーションが低下してしまう要因とは?企業にもたらす影響や対策についても解説
  1. 中堅社員とは管理職手前の社員のこと
  2. 中堅社員のモチベーションが低下する要因
  3. 中堅社員のモチベーション低下による企業への影響
  4. 中堅社員のモチベーション低下を防ぐ3つの施策
  5. まとめ

「中堅社員のモチベーション低下が起きているが、対策がわからない」「事業成長のためには、低下しているモチベーションを引き上げる必要がある」などの課題を抱える企業も少なくないでしょう。

中堅社員は会社への貢献度が高い存在であるものの、会社に長く在籍している分会社への不満も蓄積しやすく、突然パフォーマンスが低下するリスクも抱えています。

本記事では、中堅社員がモチベーション低下を引き起こすメカニズムと対処法を解説していきます。意欲の低下している中堅社員を再度活性化させる方法を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

中堅社員とは管理職手前の社員のこと

会社によって定義が異なることがありますが、一般的に中堅社員とは管理職手前の社員を指します。中堅社員は、一社会人として自律しており、先輩や上司の手厚いサポートがなくとも自身の業務をこなせるようになっているのはもちろん、しっかりと成果を出せる状態の社員です。

プレイヤーとして事業の中核を担っており、次期管理職候補でもある中堅社員のパフォーマンスが低下してしまうと、事業に大きな損失を与えるリスクがあります。
中堅社員にモチベーション低下などの問題が起きている場合は、早急に対処する必要があるでしょう。

中堅社員のモチベーションが低下する要因

中堅社員のモチベーションが低下する要因としては、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 評価制度が不明瞭
  2. キャリアパスが見えない
  3. 会社の目指す方向性が曖昧

まずは原因を知り、自社が同様の課題を抱えていないか確認することが大切です。
それぞれの詳細について解説します。

1.評価制度が不明瞭

中堅社員のモチベーションが低下する原因の1つ目は、評価制度が曖昧であることです。
何をどのように頑張れば、どのような評価になるのかを定める役目を持つ評価制度が不明瞭な場合、社員が高い成果を出しても、会社側はその頑張りを適切に評価できなくなります。

自身の目標を達成し、成果を出しているのにもかかわらず、なかなか評価が上がらなければ、社員に不満や不信感が募るのは当然です。また、何をどのように頑張れば評価が上がるのかわからなければ、仕事へのやりがいも見いだせなくなるでしょう。

中堅社員は、同時進行で部下の指導もしながら業務をおこなうのが一般的です。
ほかの社員よりも仕事量が多い状態で適切に評価されないとなると、その分不満も大きく溜まっていきます。その結果、「頑張ってもどうせ報われないので、ほどほどにこなせばいい」といったモチベーションの低下を引き起こしてしまいかねません。

2.キャリアパスが見えない

会社でのキャリアパスが見えないことによっても、中堅社員のモチベーションは低下していくでしょう。キャリアパスとは、会社内でどのようなスキルを持ち、役割をこなせば、どのような役職になっていけるのかを示したものです。

キャリアパスが用意されていることで、社員は目標に向かってまい進できるようになります。一方、キャリアパスがなければ、頑張る方向性や意義が見いだせず、自身の業務にやりがいを見いだしづらくなるでしょう。

若手社員ならば、自身の業務を習得し、1人で業務をこなすこと自体にやりがいを感じられるかもしれません。しかし、自身の役目をこなせるようになり何年も経つと、仕事を単調に感じやすくなります。日々同じ仕事を繰り返す中でも目標があれば、頑張るモチベーションは湧きますが、目標が持てずその先のステップアップが見えなければ、仕事を意欲的に頑張るのは難しくなってしまうでしょう。

キャリアパスがないことによって目標が持てず、自分がしていることへの意義を見いだせなくなることで、仕事に対する熱量が落ちていってしまうのです。

3.会社の目指す方向性が曖昧

キャリアパスだけでなく、会社の目指す方向性が不明瞭な場合も、中堅社員のモチベーション低下につながってしまうことがあります。

中堅社員の中には、ビジネスパーソンとして自らのキャリアプランを描いている人も少なくありません。会社がどのような方向性に向かっているのかが曖昧なままでは、自分の目指したい方向性と自社の方向性とがマッチしているのかの判断することが難しくなります。

自らが描くキャリアの道筋の中で今いる会社でのキャリアがどう結び付くのかがが見えなくなれば、頑張る意義も見いだせず、次第にモチベーションが低下していくのです。

会社全体の方向性が曖昧な場合は、事業展開や制度に一貫性を持たせづらくなり、現場の社員に「会社に振り回されている」といった不満を抱かせるリスクもあるでしょう。キャリアが見えないことだけでなく、そうしたストレスもモチベーションの低下につながります。

中堅社員のモチベーション低下による企業への影響

中堅社員のモチベーション低下によって企業に起こり得る問題としては、以下の3つが挙げられます。

  1. 優秀な人材の流出リスクが上がる
  2. 業績の低下を招く
  3. 企業の中長期的な成長を鈍化させる

企業側は、問題が深刻化する前に必要な対策を講じなければなりません。ここからは、中堅社員のモチベーション低下によって具体的にどのような問題が生じるのかを見ていきましょう。

1.優秀な人材の流出リスクが上がる

中堅社員のモチベーション低下は、ハイパフォーマンス人材の退職につながります。
仕事で成果を出している優秀な人材は、周囲よりも高いパフォーマンスを発揮している分、昇進や昇級といった形で見返りを求めるでしょう。

人事評価制度が適切に機能しておらず、成果を適切に評価されなければ、会社への不満は募っていきます。モチベーションが低下した状態が続くと、不明瞭な評価制度など原因となる事象が改善されない限り、「このまま会社に残っていても自分にとってよいことはないのでは?」と在籍する意義すら見いだしづらくなります。
そのような状況下で自社よりも好条件を提示する他社が現れると、他社への流失につながる可能性が高まるでしょう。

また、1人のモチベーションの低下や退職が、周囲にも伝染することがあります。1人また1人と仕事への熱量が冷めていく姿を見て、元々はモチベーションを保てていた人材もその影響を受け、同様に転職へと踏み切ってしまう人材が増えてしまうかもしれません。

2.業績の低下を招く

中堅社員のモチベーション低下は、業績の低下にもつながるでしょう。
これまで最前線で成果を残してきた優秀な人材が退職してしまうことは、会社の大きな財産を失うことを意味しています。

業績の維持・拡大には、人材の定着・成長が不可欠です。モチベーション低下によって退職する社員が増えると、会社業績を維持することも困難になります。また、部下を指導する立場にある中堅社員のモチベーションが低く、後継者の育成に十分なリソースが注がれていない場合、能力の高い人材は育ちづらくなってしまいます。人材の成長ができないことで、業績の成長までも停滞してしまう可能性が高いでしょう。

3.企業の中長期的な成長を鈍化させる

中堅社員のモチベーション低下は、ひいては企業の中長期的な成長の鈍化にもつながります。
優秀な中堅社員は管理職になり得る能力を有しており、幹部候補生としての側面も強いです。中堅社員が離職することで、企業としては将来の幹部候補生を失うことになり、幹部候補生の枯渇にもつながります。

幹部候補生が枯渇すれば、現在の幹部が組織から抜けた場合に後任を務められる社員がいなくなります。組織を統一したり、戦略を立案したりする役目を担う幹部が不足すれば、当然、経営に悪影響を及ぼすでしょう。

仮に中堅社員が他社に引き抜かれてしまった場合、自社の人的リソースが減り成長が鈍化する一方で、競合他社の人的リソースは増え、成長をも加速させてしまうことになります。
中堅社員の離職は新入社員の離職よりも企業に大きな影響を与えるため、問題がある場合には早急な対策が必要です。

中堅社員のモチベーション低下を防ぐ3つの施策

中堅社員のモチベーション低下を防ぐには、以下3つの施策が有効です。

  1. 評価基準を明確に整備する
  2. 能力モデルを明確化しキャリアパスを示す
  3. 管理職か専門職になるのか選択肢を設ける

一度下がってしまったモチベーションも、社員にとって働きやすい環境を整備できれば、再度高めることは十分に可能です。
それぞれの詳細について解説します。

1.評価基準を明確に整備する

中堅社員のモチベーション低下を防ぐためには、評価基準を明確にすることが重要です。
評価基準は「成果」と「能力」を軸に設計しましょう。成果評価では特定の期間内における業績・成果を評価し、能力評価では職務遂行に必要とされる知識や技能を評価します。
成果を出すためには、能力を高めて発揮することが重要です。成果を出す際の前提となる能力も評価対象とすることで、社員は能力の研鑽に意欲的になり、成果も出しやすくなります。

成果・能力の双方において明確な評価基準を設ければ、中堅社員は、どのくらい頑張って、どのような成果を残したら、どのような評価が得られるかを把握することが可能です。目標・課題が明らかになることで、自身が今後どのような成果を残し、どの能力を磨いていくべきかも認識できるようになり、仕事に対してのモチベーションも高まります。

評価基準が明瞭であれば、評価者ごとの評価のバラツキも防げるため、評価への納得感も高まるでしょう。そのこともモチベーションの向上に寄与すると共に、自社へのエンゲージメント向上にも期待できます。

2.能力モデルを明確化しキャリアパスを示す

中堅社員のモチベーション低下を防止するためには、能力モデルを明らかにしてキャリアパスを示すことも有効といえます。
能力モデルとは、各職務にはどのような能力が必要とされるのかを示したものです。

能力モデルを明確化して「役職Aに就くためには〇〇や△△の能力が必要」と示すことで、中堅社員は自身が目指すキャリアの実現にはどのような能力が必要なのかをしっかりと把握できるようになります。目指すべき方向性が定まることで、自身の理想に向かって努力するモチベーションも生まれやすくなるのです。

能力モデルを明らかにし能力も評価するようになると、社員一人ひとりの業務適性を見える化できるというメリットもあります。社員ごとに得手・不得手な業務は異なりますが、社員の適性に合わせたキャリアパスをいくつか示すことで、自身のキャリアに納得してもらいやすくなるはずです。納得感が高まれば、いっそうモチベーション高く業務や自己研鑽に取り組んでもらえることに期待できるでしょう。

3.管理職か専門職になるのか選択肢を設ける

中堅社員のモチベーション低下への対策としては、管理職と専門職(プレイヤー)のどちらになりたいか選択できるようにすることも有効です。
管理職にも適性があり、当然向き不向きがあります。なりたくない人や適性のない人が無理に管理職になっても、高いパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。

そのため、年数を重ねれば役職も上がる「年功序列型制度」ではなく、能力や適性、意思によって自身のジョブを選べる「ジョブ型人事制度」を構築することが大切です。専門職のまま活躍していける選択肢も用意するようにしましょう。
そもそも中堅社員が管理職に昇格するのは、会社側がより大きな成果を残してほしいためですが、プレイヤーとして活躍し続けることでも業績への貢献は十分に可能です。

したがって、プレイヤーとしての道を究めるキャリアパスを用意することも、業績を拡大していく上で有効な戦略なのです。複数の選択肢が用意されることで、中堅社員一人ひとりが自分の適正に合った道に進めるようになると共に、仕事への納得感も高まります。その結果、自身の仕事に対して熱心に取り組めるようになることが期待できます。

まとめ

中堅社員のモチベーション低下は、優秀な人材の流失や、パフォーマンス低下による業績のリスクを含んでいます。
実際に人材が流出してしまうと、企業の中長期的な成長は困難となるリスクが高まります。

中堅社員のモチベーションを維持し、高めていくためには、評価基準を明確にし、社員の頑張りが適切に報われる環境を構築することが大切です。加えて、能力モデルを明らかにして、成果だけでなく能力の向上にも意識を向けさせたり、管理職だけでなく専門職としてのキャリアパスを用意したりすることも有効でしょう。

中堅社員のモチベーション低下に課題を感じている場合には、本記事でご紹介した内容を実践してみてください。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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