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相対評価と絶対評価の違い|メリット・デメリットを踏まえてどちらを人事評価に導入すればいいのか解説!

相対評価と絶対評価の違い|メリット・デメリットを踏まえてどちらを人事評価に導入すればいいのか解説!
  1. 相対評価と絶対評価の定義
  2. 相対評価と絶対評価の大きな違い
  3. 人事制度で絶対評価が主流になってきている理由
  4. 絶対評価のメリット・デメリット
  5. 相対評価のメリット・デメリット
  6. 相対評価と絶対評価のどちらを人事評価に取り入れるべきか
  7. まとめ

評価制度を制定する際、相対評価と絶対評価のどちらを自社に導入すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。両者の違いを正確に認識できていない方も少なくないでしょう。

相対評価と絶対評価にはそれぞれの性質の違いや、メリット・デメリットが存在し、目的や状況に合わせて活用していくことが重要になります。

本記事では、相対評価と絶対評価の違いや各メリット・デメリット、現在の日本においてどちらが主流かなどを紹介していきます。

本記事を読むことで、相対評価と絶対評価に関する理解が深まるだけではなく、どちらを自社に導入すべきか参考にしてみましょう。

相対評価と絶対評価の定義

はじめに、相対評価と絶対評価がどのような評価方法であるか解説します。それぞれの特徴を正確に押さえましょう。

相対評価とはどのような評価か

相対評価とは集団内における相対的な位置づけによって、能力や成果を評価する方法です。相対評価では、ランク毎の人数の割合をあらかじめ決定します。たとえば、Aランク3名、Bランク8名、Cランク5名のようにランク毎の人数を決めておくのです。その上で、能力や成果に応じて評価対象者を各ランクへ分けます。つまり相対評価では、バランスよく評価を分布させることが可能です。従来の日本型評価システムに多く導入されてきた評価方法です。

絶対評価とはどのような評価か

絶対評価は、あらかじめ定められた目標への達成度を絶対的に評価する評価方法です。つまり、所属する組織のレベルや集団内ランクなどに関係なく、個人の成果や能力を絶対的に評価します。具体的には、事前に作成した目標への達成度と人事評価基準を照らし合わせることによって評価を行う方法です。近年の傾向として、社員の仕事に対するモチベーションアップを狙って絶対評価を導入する企業が増加しています。

相対評価と絶対評価の大きな違い

相対評価と絶対評価がどのような評価方法であるか、ご理解いただけたと思います。
次に、両者の主な違いを紹介します。

評価軸の違い

1つ目は評価軸の違いです。相対評価では「集団の中における順位付け」によって評価されるのに対し、絶対評価では「個人目標に対する達成度」で評価されます。つまり相対評価では、自分の目標を達成していても、他の社員がより優れた結果を出した場合には自分の評価は大きく下がってしまう可能性があります。しかし絶対評価では、自分の目標に対する達成度のみで評価されるため、他の社員の評価に影響されることはありません。このように、相対評価と絶対評価では評価軸が異なります。

各評価の人数が違う

2つ目は、各評価の人数が違う点です。前述の通り、相対評価では各評価に割り振られる人数があらかじめ決まっています。対して絶対評価では、各評価に割り振られる人数が決まっていません。なぜなら、個人目標の到達度によって評価されるためです。全員が最上位の評価に割り振られることもあれば、全員が最下位の評価に割り振られることもあります。つまり、相対評価では各評価の人数が固定化されているのに対し、絶対評価では各評価の人数が固定化されておらず流動的です。

人事制度で絶対評価が主流になってきている理由

近年、絶対評価を人事制度に取り入れる企業が増加しています。一体なぜ、相対評価ではなく絶対評価が主流となってきているのでしょうか?その理由を説明していきます。

評価の透明性が求められるから

1つ目の理由としては、人事評価に透明性を求める企業が増加していることが挙げられます。なぜなら、評価に透明性があるほうが、社員は人事制度に納得感を持てるためです。結果として、社員の仕事に対するモチベーション維持やパフォーマンス向上に繋がるでしょう。

一方で、相対評価を導入する企業においては、個人の目標を達成した場合でも他の社員の評価によって自分の評価が左右されてしまいます。自分の成果が評価に反映されなければ、仕事に対するモチベーションが低下する恐れがあります。

社員の一人ひとりのパフォーマンス向上や成長が重要視されているから

2つ目の理由は、社員一人ひとりのパーフォーマンス向上や成長が重要視されているからです。絶対評価を導入する企業において、社員は個人目標を達成するために努力を重ねるため、結果としてパフォーマンス向上が期待できます。また、各社員のパフォーマンス向上は組織としての生産性向上にも直結します。

社員の個人目標に能力開発の要素を盛り込むことによって、社員の能力開発の方向性を明確化することもできるでしょう。

絶対評価のメリット・デメリット

近年多くの企業で導入されている絶対評価の、メリット・デメリットを紹介します。

絶対評価のメリット

まずは、絶対評価のメリットを確認しましょう。

一人ひとりの評価が建設的で納得感が高い

ひとつ目のメリットは、一人ひとりの評価が建設的で納得感が高い点です。先述の通り、絶対評価では、社員の個人目標に対する達成度で評価されます。つまり、社員のパフォーマンスが評価に直結するため、評価制度に対する社員の納得度が高くなる傾向にあるのです。目標が達成できた理由、またできなかった理由も明確になりやすく、次への目標設定や対策にも役立ちます。評価制度に納得した状態で仕事に取り組むことができるので、仕事に対するモチベーション維持もしやすいでしょう。

個人の能力開発につながる

2つ目のメリットは、個人の能力開発につながる点です。個人目標の達成度を評価軸とするため、社員一人ひとりの強みや弱みを明確化しやすいからです。自分に足りない能力を自覚することが可能となるので、それを補うために尽力できるでしょう。したがって、絶対評価は個人の能力開発につながるといえます。

絶対評価のデメリット

次に、絶対評価のデメリットを紹介します。

評価設計が難しい

1つ目のデメリットは、評価設計が難しいことです。なぜなら、何を評価の軸に置き、評価基準をどのように設定し、どのように達成度を測定するのか詳細に決める必要があるためです。たとえば社員の個別目標の難易度に差がある場合、社員間で不公平感が生じる可能性もあります。社員が不公平さを感じてしまうと、仕事に対するモチベーションが低下することも考えられるでしょう。そのため、絶対評価において公平な評価設計をすることは難しいといえるのです。

評価者の主観で評価が左右されてしまう

2つ目のデメリットは、評価者の主観によって評価結果が左右される可能性があることです。特に結果を数値で表現することが難しい個人目標の場合は、評価者によって評価内容にバラツキが生じる可能性があります。たとえば評価が厳しい上司の部下になった場合など、結果を出しても正当に評価されないこともあるかもしれません。結果として、仕事に対するモチベーションを失うことも考えられます。そのため、評価者の主観で評価が左右されることは、絶対評価の大きなデメリットと言えるでしょう。これを回避するためには、評価基準を慎重に設定することが必要になります。

相対評価のメリット・デメリット

次に、相対評価のメリット・デメリットを紹介します。絶対評価のメリット・デメリットと比較することによって、自社にはどちらの評価方法が適切か見極めることが大切です。

相対評価のメリット

はじめに、相対評価のメリットを紹介します。

評価の標準化がしやすい

1つ目のメリットは、評価の標準化がしやすい点です。相対評価では各評価に割り振る人数があらかじめ決まっているため、評価者によって評価のバラツキが生じる可能性が低いです。また、個人の勤続年数や特性などを加味して評価する必要がないため、評価者の負担が少ない評価方法といえます。つまり相対評価は、誰が評価者になったとしても評価しやすい評価方法なのです。

社内の競争力を高められる

2つ目のメリットは、社内の競争力を高めることができる点です。相対評価は社内の順位付けによって自分の評価が決定するので、自然と社内競争が活発になると予想できます。社内競争が活発になるにつれて社員のスキルやパフォーマンスが向上し、結果として生産性の向上も期待できるでしょう。したがって、社内の競争力を高められることは、相対評価のメリットと言えます。

相対評価のデメリット

一方で、相対評価にもデメリットは存在します。ここでは、相対評価のデメリットを紹介します。

所属したチームや組織によって評価にばらつきが生まれる

1つ目は、所属するチームや組織によって評価にばらつきが生まれる点です。優秀な社員が多い組織であれば、自分が良い結果を残した場合でも、高い評価を獲得できない可能性があるからです。その一方、優秀な社員がいない組織であれば、最高評価を容易に獲得できてしまうことも考えられます。つまり、自分がどれだけ良い結果を残したとしても、最終的には他の社員の評価結果によって自分の評価が決定されるのです。結果として、仕事に対するモチベーションの維持が難しいケースもあるでしょう。

個人の努力や成長が評価されにくい

2つ目は、個人の努力や成長が評価されにくい点です。なぜなら、どれだけ努力して良い結果を残したとしても、他の社員の評価結果によって自分の評価が決定されるためです。評価される側としては、自分が残した結果が正当に評価されたか分からず、評価結果に不信感を抱く可能性もあります。結果として、仕事に対するモチベーションの維持が難しくなることも考えられるでしょう。そのため、個人の努力や成長が評価されにくい点は、相対評価のデメリットといえます。

相対評価と絶対評価のどちらを人事評価に取り入れるべきか

ここまで、相対評価と絶対評価のメリット・デメリットを確認してきました。結局、どちらを人事評価に取り入れるべきでしょうか?
ここでは、相対評価を取り入れたほうが良いケース、また絶対評価を取り入れたほうが良いケースを、それぞれ具体例をもとに紹介します。

社員のモチベーションアップを目指すなら絶対評価

社員のモチベーションアップを目指す場合には、絶対評価を取り入れるべきでしょう。絶対評価においては個人の成果が評価に反映されるため、自分の努力や成長が報われやすいからです。優れた成果を出せば出すほど評価されるため、仕事に対するモチベーションアップが期待できます。したがって、社員のモチベーションアップを目指したい場合は、絶対評価を取り入れましょう。

社内の競争力を高めるなら相対評価

一方で社内の競争力を高めたい場合には、相対評価を取り入れるべきでしょう。なぜなら、相対評価においては組織内の順位付けによって評価されるため、社内競争が活発になるからです。特に営業組織においては、社内競争を促進させることによって売上アップの効果が期待できます。社内競争が促進されると、組織としての生産性も向上するでしょう。

評価する部署ごとに使い分けることも可能

同じ会社内であっても、評価する部署ごとに相対評価と絶対評価を使い分けることも可能です。相対評価が向いている部署もあれば、絶対評価が向いている部署もあるでしょう。たとえば、数値目標が設定しやすい部署は絶対評価を取り入れ、数値目標が設定しにくい部署では相対評価を取り入れるといった具合です。同じ会社内においても、部署ごとに適切な評価方法は異なります。社員が納得感を持てる人事制度にするため、部署ごとに相対評価と絶対評価を使い分けることも検討しましょう。

まとめ

相対評価と絶対評価の違いをはじめ、それぞれのメリット・デメリットなどを紹介してきました。最後に、この記事の要点をおさらいしましょう。

  • 人事評価の透明性と個人のパフォーマンス向上が求められるため、近年は絶対評価が人気。
  • 社員のモチベーションをアップさせたいなら絶対評価。
  • 社員競争を促進させたいなら相対評価。
  • 部署ごとに、絶対評価と相対評価を使い分けることも可能。

それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、どちらを取り入れるべきか検討することが重要です。この記事を参考に、自分の組織に合った評価方法を取り入れ、より良い人事制度を作っていきましょう。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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