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人事評価が低いとどうして社員が辞めてしまうのか?理由や対策・対処法を解説!

人事評価が低いとどうして社員が辞めてしまうのか?理由や対策・対処法を解説!
  1. 人事評価が低いと社員が辞める理由
  2. 人事評価の低さで社員が辞めないためにするべきこと
  3. 失敗しない人事評価制度の作り方・見直し方
  4. 現在の自社の状況を整理する
  5. 適切な評価手法と評価基準を選択する
  6. まとめ

「適切に評価をしたはずなのに、社員が辞めてしまった」「人事評価結果を伝えると、意欲を失う社員が一定数いる」といった課題を抱えていらっしゃいませんか。

人事評価の運用をおこなうことで、社員が仕事に意欲を持ち、パフォーマンスが高まると一般的には言われています。しかし、そのような期待とは裏腹に、人事評価をキッカケに社員が退職をしてしまったらどうでしょう。何のための人事評価なのか分からなくなってしまいますよね。

本記事では、人事評価が低いことで社員が辞める理由や、人事評価を理由とした退職を防ぐためにするべきことについて解説します。この記事を参考にすることで、人事評価でやる気を失ったり、退職に至ったりする社員の抑制が期待できます。ぜひ最後までご覧ください。

人事評価が低いと社員が辞める理由

人事評価が低いことで社員が辞める理由としては、以下が挙げられます。

  • 適切に評価されていないと感じるから
  • 上司のフィードバックの方法に問題があるから
  • 評価が低いと給与が上がらないから

それぞれの詳細について解説します。

適切に評価されていないと感じるから

人事評価が低いことを理由に社員が辞めてしまう原因のひとつは、社員の成果を適切に評価する仕組みが整っていないことです。

社員が設定した目標を達成、もしくは大幅に超えて達成したものの、それが評価に反映されなければ、社員は「自分の頑張りを適切に評価してくれない」と不満を抱きます。そうした感情は評価を受けるたびに強くなっていき、我慢の限界を超えたとき退職に至ってしまうのです。

社員のモチベーションを継続的に維持し、目標達成に向けて意欲的に取り組み続けてもらうためには、目標の達成度合いを評価し、給与や役職などの処遇に反映させる仕組みを整えることが重要です。

上司のフィードバックの方法に問題があるから

低い評価を伝える際のフィードバック方法に問題がある場合にも、社員が辞めてしまう可能性があります。

上司が評価を伝える際、主観的で理解しにくい内容を伝えてしまうと、部下はその評価となった理由が理解できず、多くの疑問や不信感を抱きます。

評価を伝える際に、部下の欠点や落ち度、失敗を強く責めるだけでフィードバックを終えてしまう場合も、部下の不満は募っていくでしょう。

無理難題ではない適切な目標を部下が達成できなかった場合には、部下自身の取り組み態度や能力に問題があるかもしれません。かといって、結果に対してネガティブなフィードバックを伝えるだけでは、部下は次回以降、前向きに取り組む意欲を失ってしまうリスクがあります。

評価への不信感やフィードバックへの不満を積み重ねるうちに、会社への信頼がなくなったり、勤続し続ける意義を失ってしまったりして、退職に至るのです。

評価が低いと給与が上がらないから

人事評価が低くて社員が辞めるその他の理由としては、評価が低く給与も上がらないことから仕事への意欲を失ってしまうことも挙げられます。

厚生労働省公表の「仕事を辞めた者の退職理由」によると、1年前の仕事を辞めた者の退職理由として、「正規→正規(元・正規社員で、正規社員として他社に転職した人)」の男性では「給与・報酬が少なかったから」という回答が最も多く見受けられました。

給与を上げてもモチベーションが高まるとは限りませんが、給与の額が低すぎたり、全く上がらなかったりすることも大きな退職理由となり得るでしょう。

参考サイト:仕事を辞めた者の退職理由 | 厚生労働省

人事評価の低さで社員が辞めないためにするべきこと

人事評価の低さを受けて社員が辞めないためには、次の事柄を実践することが大切です。

  • 評価エラーが発生していないか確認する
  • フィードバックの仕方に注意する
  • 日々のコミュニケーションを大切にする
  • 評価者に人事制度の基本的な考え方を浸透させる
  • 評価基準を見直す

ここからは、それぞれの詳細について解説します。

評価エラーが発生していないか確認する

人事評価の結果が低いことをキッカケとした退職を防ぐためには、評価をする際に評価エラーが発生していないかを確認することが大事です。

評価エラーとは、評価に評価者の主観や感情が入り込み、公正さに欠ける評価結果となってしまう心理現象のことを指します。

代表的な評価エラーとしては、次の3つが挙げられます。

  • 厳格化傾向
  • 寛大化傾向
  • ハロー効果

いずれも公正な人事評価基準が確立されておらず、評価の主観が入りこむ余地のある場合に生じます。

ここからは、それぞれの詳細について解説していきましょう。

厳格化傾向

厳格化傾向とは、不公平に通常よりも厳しい評価をつけてしまう心理現象のことです。

例えば、同じ成績を出したAさんとBさんがいたとしましょう。その際に、「頑張ってる感じのするAさんは高評価」「何となく印象の悪いBさんはいまいちな評価」といった具合に、評価者の主観により評価に差が出てしまうことを指します。

寛大化傾向

寛大化傾向とは、評価者にとって印象の良い人、好意を抱いている人に通常よりも甘い評価をしてしまう心理傾向のことです。

5年間一緒にチームのメンバーとして協力してきたAさんがいたとします。寛大化傾向が働いていると、仮にAさんが人事評価で低評価に値する大きな欠点を持っていたとしても、「誰にでも欠点はあるものだから、普通の評価にしておこう」と甘い評価をしてしまうのです。

ハロー効果

ハロー効果とは、被評価者に対する全体的な印象や、何か1つの目立った印象をもとに、評価者の総合的な評価を決定づけてしまう心理現象のことです。

たとえば、評価者が「明るく人付き合いが良い」と感じている被評価者(Aさん)がいたとしましょう。

その際に、ハロー効果が働いていると、評価者は「明るくて人付き合いが良いのはビジネスにおいて好評価。そんな一面を持っているAさんは、その他の側面においても優秀なはず」と判断します。

そのようなバイアスがかかってしまうと、もしAさんには本来はB評価が適切であったとしても、評価者はAさんに高評価をつけてしまうのです。

フィードバックの仕方に注意する

人事評価の低さで社員が辞めないためには、フィードバックの仕方に注意することも重要です。

フィードバックには、ネガティブフィードバックとポジティブフィードバックがあります。

ネガティブフィードバック 否定的な意見を伝えることで、本人の反骨精神を引き出そうとする
ポジティブフィードバック 肯定的な意見を伝えることで、本人の意欲向上を図る

ネガティブフィードバックには、否定的な意見を伝えることでハングリー精神を掻き立てられるというメリットがあります。

しかし、その度合いと伝え方には注意が必要です。批判の度合いが強すぎると、先述の通り、かえって大きくやる気を削いでしまうリスクがあります。

双方の手法における利点を享受するためには、これらをバランス良く使い分けていくことが大切です。

たとえば、ネガティブな意見とポジティブな意見を交互に伝えたり、既にネガティブな意見を伝えすぎている場合には、それをカバーするためにポジティブな意見を多く伝えたりすると良いでしょう。

いずれのフィードバックにおいても、事実をベースに伝えることが重要です。

日々のコミュニケーションを大切にする

人事評価の低さで社員が辞めないためには、部下との日々のコミュニケーションを大切にすることも重要です。

評価者が被評価者との関係性を深めることで、部下が低い評価を受けた場合にも、その評価をしっかりと受け止め、次回以降の仕事に向けて意欲を持って取り組むようになることが期待できるでしょう。

公正な評価基準を設計し、事実や論理に基づき評価をすれば、評価を受けた部下はその評価について納得感を得られるようになります。とはいえ、人には感情的な側面もあるため、正当な評価を受けたからといって、その評価をしっかりと受け止めきれるとは限りません。

挨拶や感謝を心がけたり、日ごろから部下の話をしっかりと聞くなどして、関係性を築き、部下に低い評価を少しでも前向きに受け止めてもらえる関係性を作っておくことが大切なのです。

上司との関係性が良ければ、「この人の期待に応えるために、次期以降はしっかりと成果を出そう」などといった動機が部下に芽生えやすくなります。

評価者に人事制度の基本的な考え方を浸透させる

人事評価の低さで社員が辞めないためには、評価者に対して人事制度の基本的な考え方を教育することも重要です。

そもそも人事制度とは、自社の経営目的の達成や社員の所属価値の向上を実現するために、合理的な理念・価値基準に基づき、人事管理をおこなうための仕組みを指します。

評価者の好みや感情、思いつきなどで、人事評価を下してはいけません。

こうした人事制度の基本的な考え方を、研修などを通して評価者に浸透させることで、評価者の主観に頼らない合理的な人事評価を実施してもらいやすくなります。

合理性の高い人事評価のもとでは、被評価者は評価に対する納得感が高まるため、人事評価を理由に退職するリスクを抑制することが可能です。

評価基準を見直す

人事評価の低さで社員が辞めないためには、主観ではなく客観的な評価基準で評価する仕組みを作ることも重要です。
そのためには、人事評価制度の見直し・新規作成が有効といえます。

人事評価制度を設計・再設計する際には、各評価基準、評価手法の性質について知り、自社に適したものを導入すると良いでしょう。

代表的な評価基準としては、以下が挙げられます。

成果評価 評価対象期間内において業績や実績に基づいて評価する
能力評価 業務に関するスキルや能力をもとに評価する

代表的な評価手法は次の通りです。

目標管理制度(MBO) 社員に個人目標を立ててもらい、その進捗や達成度合いによって評価を決める
コンピテンシー評価 自社において優秀な社員の行動特性(コンピテンシー)に基づき、評価をする
360度評価 上司や部下、同僚など複数の立場の人が、評価者を評価する

上記を参考に、人事評価制度を設計・再設計すると良いでしょう。

失敗しない人事評価制度の作り方・見直し方

失敗しない人事評価制度を設計する上で重要なポイントは、次の通りです。

  • 現在の自社の状況を整理する
  • 適切な評価手法と評価基準を選択する

それぞれの詳細について解説します。

現在の自社の状況を整理する

失敗しない人事評価制度を作るためには、現在の自社の状況を整理することが大切です。

まずは、現在の人事評価制度が自社にとって適切なのかを確認します。
社員がどのように感じているのかをアンケートなどを通して確認し、自社の人事評価制度における課題を明らかにしましょう。
自社の課題を認識した上で、課題の解決に適した人事評価制度を設計していきます。

たとえば、「周囲の会社が成果評価を導入しているから自社もそうしよう」という理由で、とりあえず成果評価を導入するのは良くありません。「自社の課題は〇〇だから、××という評価基準が適している」といった要領で評価制度を設計することが大事です。

適切な評価手法と評価基準を選択する

現在の自社における状況整理が終わったら、続いて自社に適した評価手法と評価基準の選択に移ります。

自社の課題解決に適している評価制度を作るためには、先述した代表的な評価基準・評価手法だけでなく、他社の事例を参考にするのも良いでしょう。

たとえば株式会社ココナラでは、人事評価を以下の5つの軸と11段階の等級制度で設計しています。

  • 裁量
  • コミット範囲
  • 育成責任
  • 業務レベル
  • ノウハウレベル

上記の軸をもとに社員を評価し、その水準によって「G1:指示を受けながら定常業務をこなせる」といった具合に、等級をつけていく制度です。

過去に自社と同じ課題を抱えていた会社の人事評価制度を参考にすることで、自社に適した人事評価制度を作りやすくなるでしょう。

参考サイト: 評価に「曖昧さ」は不要。5つの軸で11段階のグレードを定める、ココナラの等級制度 | SELECK

まとめ

人事評価が低いことで社員が辞める原因としては、社員の成果を適切に評価する仕組みが整っていないことや、上司のフィードバックの方法に問題があることなどが挙げられます。

人事評価で社員が辞めないためには、公正な人事評価制度を自社に適した形式で導入することが重要です。現在の自社の評価制度における課題を整理したり、評価制度の事例を参考にしたりすれば、自社の課題解決にフィットする評価制度を設計できるはずです。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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