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タレントマネジメントとは?概要や目的、導入するメリットについて解説

タレントマネジメントとは?概要や目的、導入するメリットについて解説
  1. タレントマネジメントとは?
  2. タレントマネジメントが注目されている理由
  3. タレントマネジメントのメリット
  4. タレントマネジメントを実践するステップ
  5. タレントマネジメントの実践を失敗しないための注意点
  6. タレントマネジメントの成功事例

タレントマネジメント(TM:Talent Management)という言葉を聞いたことがありますか?

人手不足がさまざまな業界で広がる中で、従業員のスキルや経験、能力などを管理して戦略的に人材配置や育成などの人事施策を行う仕組み・取組みとして注目されているのがタレントマネジメントです。

もともとは人材の流動性が激しい欧米で提唱されてきたものですが、近年では日本でも導入する企業が多くなっています。

今回は、タレントマネジメントの概要や実践するうえでのステップ、活用事例まで詳しく解説していきます。

タレントマネジメントとは?

タレントマネジメントとは、組織全体で戦略的な人材配置や人材開発を行うために、従業員の住所・年齢・学歴・職務履歴などの基本的情報に加えて、個人が持つ能力・資質・才能やスキル、経験などの情報を人事管理の一部として一元管理して、従業員と組織のパフォーマンスを最大限に発揮させることを目指した人材マネジメントです。

タレントマネジメントという考えは、1990年代にアメリカの大手コンサルティング会社マッキンゼー&カンパニー(McKinsey&Company)が「War for talent(人材育成競争)」というキーワードを掲げたことから、欧米の企業を中心に広まりました。

日本では2011年頃から急激に注目を集めるようになり、多様な人材が在籍する大手企業を中心に導入を進める会社が増え始めました。従来の終身雇用制や年功序列制が崩れはじめ、仕事に対する価値観の変化による人材の流動性が高くなったことで、今までとは違った人材戦略を必要とする企業が増えたことが背景としてあげられます。

タレントマネジメントを活用することで、企業にとっても様々なメリットを享受することができます。また従業員個人のキャリアアップにとっても、適正な職務遂行ができたり効率的なスキルアップができたりと、多くのメリットがあります。

タレントマネジメントが注目されている理由

タレントマネジメントへの企業の関心は年々高まっています。

日本では少子高齢化に伴う人材不足が深刻化しており、企業は限られた人材の中でも生産性を維持しながら効率的な経営を行っていく必要性に迫られています。

AIやさまざまなテクノロジーの普及や、コロナ禍のような社会の急変によって、今後も企業を取り巻く環境は変化していくでしょう。このような社会環境においては、特定の企業で通用すればよいのではなく、どこに行っても活躍できるスキルや能力をもったプロフェッショナル人材の確保・活用が重要です。

また、働き方の多様化や付加価値を生み出し続ける組織づくりには、ダイバーシティ推進による多様な人材の活用も、今後企業にとって重要な施策となります。専門性の高いプロフェッショナルな人材の確保が重要なことに加え、従業員一人一人の持つ能力を最大限に活かしていける職場環境を整備するために、タレントマネジメントは注目されているのです。

タレントマネジメントのメリット

ここでは、タレントマネジメントを実践するメリットをご紹介します。

中長期的な視点で人材開発を行う

タレントマネジメントは、従業員が持っているスキルや能力を可視化することで、弱点領域を明らかにすることができます。個人がもつ能力、スキルや経験に合わせ、キャリアアップにつながる効果的な研修や人材開発施策を行うことができるため、中長期的なキャリア開発を見据えた人材育成にとても有益です。

適切な人材配置を行う

学歴や職歴のような基礎情報のみでは、人材が潜在的に持っている能力や今後伸ばしていけるスキルなどを見極めることは難しいでしょう。
その人のもつ能力やスキルなどの総合的な情報を分析することで、どの分野で活躍できる人材なのかを適切に判断し、人財配置することができるようになります。

ある部署で成果を出せなかった人が、より適切な部門に配属されたことで飛躍的に成果をだすことができるようなケースはよくあります。

また、長期的なキャリアを考えて、人材の適性に合ったポジションを早くから経験させたり、必要なスキルを効率的に学ばせたりすることもできるのです。

タレントマネジメントを実践することで、企業の成長のために、従業員が潜在的にもっている能力を適切に把握し、育成して、十分に力を発揮できるポジションに配置することが可能となるでしょう。

従業員エンゲージメントの向上

仕事を通じたやりがいや将来性を感じられることで、従業員のエンゲージメントは向上するといわれています。

従業員一人ひとりの個性や能力に合った人材配置をすることで、存分に能力を発揮して活躍することが期待できます。その結果、自分の力が企業に貢献できていると実感できたり、仕事を通じて自身の成長にもつながると感じることができ、エンゲージメントの向上につながっていきます。

また、人材にあった適切なトレーニングや研修を受けさせることで、潜在的な能力を伸ばすことができたり、将来的なキャリアを具体的にイメージしやすくなったりもするでしょう。

効果的な人材育成を行っている企業は、採用でも好意的にとらえられることが多く、従業員が企業に貢献できていると実感できることで採用後の定着率もアップします。

組織全体の生産性の向上

近年、人材不足により企業経営に影響がでている会社も増えていますが、この課題は今後ますます深刻化していくことが予想されます。そのような中多くの企業にとっては、人手不足解消と併せて組織全体の生産性を向上させることが非常に重要な課題となります。限られた人材で企業を成長させていくためには、組織全体として効率的な経営を進め、成果を上げていかなくてはならないからです。

企業の生産性を向上させるためには、従業員それぞれのもっているスキルや能力を最大限にいかせる適切な人材配置を行うことが重要です。適材適所の人材配置により、限られた人員でも効率的に業務を遂行できたり、より生産的に仕事を進めたりすることが可能になります。

企業の求める人材を適切に見極めて採用することが重要であるとともに、将来的なキャリア形成を中長期的に考えた人材育成を行うことで、企業の将来的な生産性の維持・向上にも繋がるといえるでしょう。

タレントマネジメントを実践するステップ

タレントマネジメントの実践を失敗しないための注意点

タレントマネジメントのためにシステム導入を検討したり、様々な施策をを行っても、うまく機能せずに失敗してしまうこともあります。

タレントマネジメントの実践を成功させるためには、どのような点に注意して取り組めばよいのでしょうか。具体的にみていきましょう。

目的を明確にする

タレントマネジメントにより中長期的な人材育成や適正な人材配置、エンゲージメント向上などの効果が見込めますが、最大の目的は、経営戦略を人事面から支援し、経営目標を達成させることです。人事責任者は経営陣との対話を十分に行い、自社が抱える課題を洗い出し、その課題を改善するために人事面でどのような取組みが必要なのかを明らかにします。

タレントマネジメントの方針を社内に浸透させる

会社にとっての人材は、単なる働き手ではなく、重要な財産であると認識し、個人のタレントの活用や育成に対する方針を明確にし、人材に対する考え方をしっかりと共通の認識として社内に浸透させることが必要です。

タレントマネジメントを導入することで従業員が得られるメリットを明確に提示し、人材育成のための詳細なステップを示していくことで、従業員からの信頼と協力を得やすくなります。

タレントマネジメントの活用によってどのようなキャリア支援が可能となるのか、どのように一人ひとりが活躍しやすい環境整備をしていくのかなど、タレントマネジメント導入の目的や活用方法から効果までをわかりやすく社員に周知して理解を促すことが大切といえるでしょう。

また、運用マニュアルを整備することや、評価者となる役職者に向けてタレントマネジメントのレクチャーをする機会をもうけ、透明性と正確性の高い運用ができるように制度を整えることも大切です。

タレントマネジメントの成功事例

タレントマネジメントするメリットとしてする企業は年々増加しており、その施策内容は企業ごとにさまざまです。タレントマネジメントは目的に応じて応用が効くともいえるでしょう。

ここでは、国内企業でタレントマネジメントに成功している事例として、サントリーホールディングスの施策をご紹介します。

サントリーホールディングスは会社として「ダイバーシティ経営」を掲げており、多様な人材が各自の強みを活かして働ける環境整備を進めています。その一環としてタレントマネジメントを導入しました。

一人ひとりの活躍を支援する「全社員型タレントマネジメント」の先進企業ともいわれるサントリーホールディングスは、タレントマネジメントの活用により本人のキャリアに対する志向性や適性などを考慮して異動を積極的に促すことで、適材適所を実現しています。

一人ひとりの適性にあった人材配置を行い、与えられた役割や達成した成果に応じた実力主義の人事評価を導入することで、各自の努力を正当に評価できるようになり、従業員のモチベーションアップにも繋がりました。

また、中長期的なキャリアパスも可視化しやすくなり、企業へのエンゲージメント向上や定職率の向上にも効果がでた取り組みとなったのです。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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