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嘱託社員とは?契約社員・正社員との違いや活躍してもらうコツについて解説!

嘱託社員とは?契約社員・正社員との違いや活躍してもらうコツについて解説!
  1. 嘱託社員とは
  2. 嘱託社員と関連のある国の制度
  3. 嘱託社員のメリット
  4. 嘱託社員のデメリット
  5. 嘱託社員の待遇について
  6. 嘱託社員の解雇について
  7. 嘱託社員に活躍してもらうコツ
  8. まとめ

「定年退職を控えている社員の今後の処遇に困っている」「60歳以上のシニア層から応募が来たけれども対応に困っている」といった問題を抱えていらっしゃいませんか。

そこで本記事では、60歳以上のシニア人材である「嘱託社員」について、雇用するメリットやその他の雇用形態との違い、関連のある法律、雇用後に社員に活躍してもらうコツなどについてご紹介します。本記事を読むことで、嘱託社員に関する不明点が解消されるでしょう。

嘱託社員とは

嘱託社員とは、企業と有期雇用契約を結んでいる非正規雇用社員のことで、一般的には定年退職後に以前在籍していた企業と再雇用の契約を結び、再度勤務する社員のことを指します。定年前とは別の企業で雇用されるケースもあります。「嘱託社員」という言葉は法律上の定義がある概念ではなく、60歳以上のシニア層の社員を指して使われる俗称です。

同一の企業での再雇用後は、役職は後進に譲り、業務は以前と同様の内容を担当することが多くなります。定年前よりも業務の負担や責任が減ることなどから、給与は定年前に比べ減額となることが一般的です。

業務委託との違い

嘱託社員と業務委託の違いは、雇用契約を結んでいるかどうかにあります。嘱託社員は会社と雇用契約を結びますが、業務委託の受託者は会社と雇用契約を締結しません。

業務委託では、会社が一部の業務を外部の企業や個人事業主に発注し、依頼業務の遂行や成果物に対して、会社が業務委託の受託者に報酬を支払います。

契約社員との違い

嘱託社員は契約社員と同様の「有期雇用労働者」であるため、雇用形態においては嘱託社員と契約社員に違いはありません。ただし、雇用期間と無期労働契約への転換ルールは異なります。

嘱託社員 契約社員
雇用期間 最長5年 基本は最長3年(3年経過後に契約更新)
無期労働契約への
転換
企業が「第二種計画認定・変更申請」をすることで、無期転換ルールの適用外に 通算の労働期間が5年を超えたタイミングで、期間の定めのない無期労働契約への転換を申し込む権利が発生

参考:無期転換ルールの継続雇用の高齢者に関する特例について|厚生労働省

契約社員は、法律上の定めはありませんが、フルタイムの勤務になるケースがほとんどです。一方で、嘱託社員はフルタイムで雇用されることもあれば、年齢や体力的な配慮から勤務時間や労働日数が短く調整されたうえで雇用されることもあります。

正社員との違い

正社員と嘱託社員の最たる違いは、契約期間に定めがあるかないかです。契約期間に定めがある契約社員は「有期雇用労働者」であり、契約期間に定めがない正社員は「無期契約労働者」です。厚生労働省の資料では、正社員は以下のように定義されています。

一般的に正社員は、以下の条件に該当します。

(1)労働契約の期間の定めがない
(2)所定労働時間がフルタイムである
(3)直接雇用である”

引用:勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて|厚生労働省

ただし、昨今では、短時間正社員制度を導入する企業が増加していることから、上記(2)に該当しない正社員も増えてきました。また、前述のとおり嘱託社員は、正社員と同様に短時間勤務となることもあり、正社員と同じく直接雇用でもあります。

そのため、嘱託社員と正社員の違いは、労働契約期間が定まっているか否かの違いであるといえるでしょう。

パートとの違い

嘱託社員とパートの違いは、雇用期間と無期労働契約への転換ルールが異なります。雇用期間と無期労働契約への転換ルールについては、前述の契約社員の表内容と同一です。

雇用形態においてパートの扱いは契約社員と同じ「有期雇用労働者」であり、嘱託社員との対比においてパートは先述した契約社員と同じ立ち位置であるためです。

しかし、契約社員とパートは労働時間の長さに違いがあります。契約社員はフルタイムで働くことがほとんどですが、パートはそれよりも短時間の勤務であることが一般的です。

嘱託社員と関連のある国の制度

嘱託社員と関連のある国の制度としては、以下の二つが挙げられます。

  • 高年齢雇用継続給付
  • 高年齢者雇用安定法/li>

これらは、少子高齢化に伴う人口減少が進む中で経済社会の活力を維持するため、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的とした国の取り組みです。

それぞれの詳細についてご紹介していきましょう。

高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付は、労働者の給与の減少を補う国の措置です。嘱託社員の収入減をカバーし、シニア層の就職・雇用を促進するのが国の狙いです。

高年齢雇用継続給付の支給対象期間において、以下要件を満たしていれば支給対象月に対象労働者は国から給付金が支給されます。

  1. 支給対象月の初日から末日まで被保険者であること
  2. 支給対象月中に支払われた賃金が、60歳到達時等の賃金月額の75%未満に低下していること。
  3. 支給対象月中に支払われた賃金額が、支給限度額(※)未満であること。
  4. 申請後、算出された基本給付金の額が、最低限度額(※)を超えていること。
  5. 支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付または介護休業給付の支給対象となっていないこと。

(※)この金額は、「毎月勤労統計」の平均定期給与額により毎年8月1日に改定されます。

引用元:Q&A~高年齢雇用継続給付~|厚生労働省

支給対象期間は、以下のとおりです。

  1. 60歳到達日の属する月から、65歳に到達する日の属する月までの間
  2. 60歳到達時に受給資格を満たしていない場合は、受給資格を満たした日の属する月から、65歳に到達する日の属する月までの間
  3. 60歳到達時に被保険者でなかった者は、新たに被保険者資格を取得した日または受給資格を満たした日の属する月から、65歳に到達する日の属する月までの間

引用元:Q&A~高年齢雇用継続給付~|厚生労働省

なお、高年齢雇用継続給付には「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があり、上記以外にもそれぞれに細やかな要件があります。

高年齢者雇用安定法

高年齢者雇用安定法は、高年齢者の雇用を促進するための法律です。

高年齢者雇用安定法によって、企業には65歳までの雇用確保が義務づけられています。また、企業は「高年齢者雇用確保措置」として次に挙げる取り組みのうち、いずれかの措置を講じることが努力義務として国から求められています。

(1)70歳までの定年の引上げ
(2)定年制の廃止
(3)70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

引用元:高年齢者雇用安定法 改正の概要|厚生労働省

定年退職後の社員を嘱託社員として迎え入れる企業が増加しているのには、こうした法律的な背景もあるのです。

嘱託社員のメリット

ここからは、嘱託社員を雇用するメリットの詳細についてご紹介していきましょう。

企業側のメリット1:ベテラン社員の知見を活かせる

元々自社に勤めていた社員を嘱託社員として再雇用する場合、定年退職前に自社の業界や職種で培ってきたスキルや知識を引き続き発揮してもらえます。その場合は、当該職種に精通していることから新たに育成コストが発生することもありません。人材不足が深刻化する中で、ベテラン社員に再度活躍してもらえるのは大きなメリットとなります。

企業側のメリット2:人件費抑制が期待できる

嘱託社員を雇用すれば、人件費抑制が期待できます。勤務時間の減少や仕事の責任緩和などにより、嘱託社員の給与は正社員と比べて安くなる傾向があるためです。

若手を新規採用する場合は、研修や教育が必要になることや在籍年数と共に人件費が膨れ上がっていくことから、多大な人件費や人的コストが発生します。しかし、嘱託社員は業務経験が豊富であり給与も定年前より下がることから、人件費や人的コストを低減しつつも高い生産性を発揮してもらえます。

従業員側のメリット1:職場に馴染みやすい

長く慣れ親しんだ職場で嘱託社員が再度勤務する場合、職場に馴染みやすいというメリットがあります。新しい企業で勤務する場合、企業ごとに異なる文化に適応することや人間関係を構築することに多くの時間や労力が発生するでしょう。しかし、再雇用先が同じ職場であれば、嘱託社員はそのような負担を減らせます。

従業員側のメリット2:業務の負担が減る

嘱託社員は多くの場合それまでの役職を退くことから、部下や部門の管理責任から解放されます。また、企業側に体力面の配慮をしてもらいやすいため、勤務日数や勤務時間を減らしやすくなります。

業務の負担が減ることで、定年退職前よりものびのびと働け、ワークライフバランスの充実した生活を送りやすくなるでしょう。

嘱託社員のデメリット

嘱託社員としての再雇用は、企業側・従業員側の双方にデメリットをもたらすこともあります。

企業側のデメリット1:更新手続きに時間をとられる

嘱託社員の更新にあたり、更新の手続きに労力や時間がかかるのは、企業側のデメリットです。1年単位で雇用契約を結び更新していくことが一般的ですが、更新の度に更新に関わる事務手続きや管理をしたり、労働条件の交渉をしたりする必要があります。

企業側のデメリット2:革新的なアイデアは生まれづらい

嘱託社員は、革新的なアイデアが生まれづらいというデメリットもあります。

長く経験を積んできたベテラン社員は、良くも悪くも思考や業務の型を持っています。そのため、環境の変化に合わせて既存の知見を捨て、柔軟に新しいアイデアを閃いたり、新しく何かに挑戦したりすることは苦手な傾向があるかもしれません。

また、かつては上司だった嘱託社員の発言力や影響力が再雇用後もそのまま引き継がれる場合、若い世代の活躍が制限されるリスクもあります。その場合、会社や業務に変革をもたらす斬新なアイデアが若手から生まれづらくなってしまう可能性があります。

従業員側のデメリット1:給与の低下が生じる

役職の降格や勤務日数・勤務時間の短縮などの理由により、嘱託社員の給与は定年前と比べ低下します。給与が定年前と比較して4割〜6割前後まで落ちることが多いため、その点を負担に感じる嘱託社員が少なくないようです。

従業員側のデメリット2:モチベーションが下がる

嘱託社員として勤務することで、定年退職前よりモチベーションが下がるケースもあります。役職を降りるということは、以前の部下が上司や同僚になることを意味します。そのため、かつての部下が上司・同僚になることで不満を感じる可能性があるのです。また、減額された給料に納得できない場合も、仕事のモチベーション低下を招くでしょう。

嘱託社員の待遇について

嘱託社員の雇用形態は、「有期雇用契約」に該当します。企業が嘱託社員を雇用する際の待遇は次のとおりです。

雇用形態 有期雇用契約(嘱託社員)
雇用期間 最長5年。1年単位で65歳まで更新を行うことが多い
給与・賞与 定年退職前より4〜6割減。賞与の有無は企業による
有給休暇 定年退職日と再雇用開始日に空白期間がないケースでは、定年退職前から通算した勤続年数に応じて付与される
労働保険
(労災保険・雇用保険)
以下の2要素を満たす場合は、手続き不要で継続加入

・「1週間の所定労働時間が20時間以上」
・「31日以上の雇用見込みがある場合」

ただし、給与が低下する場合は、当該従業員が「高年齢雇用継続給付金」の給付対象となる可能性あり。

厚生年金・健康保険 以下2項目とも通常の正社員と比べて4分の3以上になる場合は加入が必要
・1週間の所定労働時間
・1カ月の所定労働日数

嘱託社員の解雇について

嘱託社員は有期の雇用契約を結んでいるため、やむを得ない理由がなければ解雇ができません。しかし、契約期間の終了後であれば契約期間満了として雇用関係を終了できます。

ただし、再雇用の嘱託社員の場合は高齢者雇用安定法によって、65歳までは雇用の継続が必要となります。仮に65歳未満で契約の更新の拒絶をすると、高齢者雇用安定法に反することになるため注意が必要です。

嘱託社員に活躍してもらうコツ

最後に、嘱託社員に意欲的に活躍してもらうコツについてご紹介します。

知見の豊富な業務に携わってもらう

嘱託社員に活躍してもらうためには、知見の豊富な業務に携わってもらうことが有効です。嘱託社員が自分の強みを活かせる業務に取り組むことで、やり甲斐を感じてもらいやすくなります。また、知見が活かせる業務であれば、仕事の要領を分かっていることから生産性高く仕事をしてもらえます。

若手の育成を担ってもらう

嘱託社員に活躍してもらううえでは、若手の育成を担ってもらうことも効果的です。それまで嘱託社員が長く培ってきたスキルや知見を後進の社員に継承することで、仕事にやり甲斐を感じてもらいやすくなるでしょう。

積極的に若手のサポートに携わってもらうためには、嘱託社員自身に育成の意義を理解してもらうことが大切です。本人の了承なく押しつける形になると、モチベーションが下がるだけでなく後輩との関係性にも支障をきたす恐れがあります。そのため、会社が期待する役割や振る舞いを本人にしっかり伝え、納得してもらえるように努めましょう。また、育成に対する期待やねぎらいを伝えることも、仕事に意欲的に取り組んでもらううえで効果的です。

まとめ

嘱託社員とは、定年退職後も企業と再雇用の契約を結び再度勤務する社員のことです。
定年前よりも低い人件費でベテランに再度活躍してもらえることから、企業側に大きなメリットがあります。その反面、給与低下や役職降格などの理由によって嘱託社員のモチベーション低下が起こりやすいため、企業としてさまざまなサポートをしていくことが重要となるでしょう。

記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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