戦略的な人材育成を叶えるためのフレームワーク活用法と5つのSTEP - 株式会社スキルアカデミー

スキルアカデミーのサービス

人事コンテンツ

戦略的な人材育成を叶えるためのフレームワーク活用法と5つのSTEP

戦略的な人材育成を叶えるためのフレームワーク活用法と5つのSTEP
  1. 人材育成はフレームワークの活用がおすすめ
  2. 【課題別】人材育成のフレームワーク一覧
  3. フレームワークを活用した人材育成の5つのSTEP
  4. 人材育成のフレームワークを導入する際の注意点

「事業拡大に伴って人員が増えているが、人材の質に課題がある」「人材育成で成果が出ていない」などの課題・悩みを抱えている企業もあることでしょう。

多くの企業がさまざまな人材育成施策を講じていますが、戦略を持たずに育成を実施しているために思うような成果が出ない…ということも少なくないようです。

本記事では、戦略的な人材育成を実現するために役立つフレームワーク活用法や、5つの活用ステップなどについてご紹介します。
人材の質や育成に課題を感じている方・企業は、ぜひ最後までご覧ください。

人材育成はフレームワークの活用がおすすめ

自社が望む人材に社員を成長させていくためには、人材育成のフレームワークを活用することが有用です。

人材育成のフレームワークとは、学者らにより提唱された、人材育成の輪郭・枠組みを明らかにするツールを指します。

膨大なデータ分析で成功パターンをモデル化したフレームワークを活用することにより、自社に必要なスキル・施策の分析、整理ができます。また、人材育成の方向性を決定する際にも効果的です。

フレームワークにはさまざまなものがありますが、目的に応じて正しく使い分けていくことで、人材育成の知見がなくても質の高い施策を実施しやすくなります。また、考えるべき内容が定型化されたフレームワークを活用すれば、ゼロベースから物事を考える必要がなくなるため、人材育成施策を効率的に考案できるようにもなるでしょう。

人材育成のフレームワークが効果的な活用シーン

人材育成のフレームワークが効果的な活用シーンとしては、以下が挙げられます。

  • 理想の組織や人材像を策定する際に活用する
  • 理想の人材像に向けて必要なスキルを特定する際に活用する
  • スキルを獲得するための施策を決める際に活用する
  • 目標を設定する際に活用する
  • 育成施策の評価を決める際に活用する

それぞれの詳細について見ていきましょう。
なお、本章でご紹介する各フレームワークの詳細は、別の章で解説します。まずは大枠の活用シーンをご確認ください。

理想の組織や人材像を策定する際に活用する

人材育成のフレームワークは、理想の組織や人材像を策定する際に有用です。

人材育成計画を策定していく中で、まずは自社における理想の組織や人材要件を定めていく必要がありますが、その際に以下のようなフレームワークを活用できます。

  • ありたい組織の特定:「ビジョン・ミッション・バリュー」「GRPIモデル」
  • 人材要件を定める:「MUST・WANT・BETTER・NEGATIVE」「氷山モデル」「コンピテンシーモデル」

これらは直接的に人材育成をおこなうためのフレームワークではありません。しかし、人材育成の前提となる自社の理想像の整理や理想と現実の間にあるギャップの分析などに役立てられます。

理想の人材像に向けて必要なスキルを特定する際に活用する

人材育成のフレームワークは、理想の組織・人材像を築く上で必要なスキルを特定する際にも有用です。

「カッツ理論」「氷山モデル」「HPI」などのフレームワークを用いることで、現在の組織や社内メンバーがすでに備えている能力・スキル、備えていない能力・スキルの特定ができます。また、理想と現実の間にあるギャップの把握も可能です。

理想の人物像が保有しているスキルと、既存社員が保有しているスキルとのギャップとを特定することで、どのようなスキルを重点的に育成していけばよいのかが明確になります。それにより、育成施策をより正しく、また無駄なく講じていきやすくなるのです。

スキルを獲得するための施策を決める際に活用する

人材育成のフレームワークは、スキル獲得に向けた施策を決定する際にも活用可能です。

理想と現状のギャップを埋めるためには、必要なスキルを明確化する必要があります。そのスキルを明確化し、施策を決めていく際には、「思考の6段階モデル」「氷山モデル」「HPI」などのフレームワークが効果的です。

こうしたフレームワークを活用し、スキルを習得する際のステップや手段を洗い出すことで、スキル獲得に向けた具体的な施策を決定しやすくなります。

目標を設定する際に活用する

MBOなどの運用において目標設定をする際も、フレームワークの活用が有益です。

目標設定に活用できるフレームワークには、「SMARTの法則」「GROWモデル」「ベーシック法」「PDCA」があります。

目標設定は、人材育成とは別のものと考えている人も少なくありません。しかし、目標設定の質は人材の成長にも大きく関連するため、その質を高めることも重要です。

質の高い目標を立てることで、社員は何に向けてエネルギーを注げばよいのかが明確になったり、仕事に対する内発的動機づけが強化されます。内発的動機づけとは、内面に沸き起こった感情に動機づけられることで、物事に対して意欲的に取り組むようになる心理的状態を指します。

上記のようなメリットが得られるため、目標を設定する際にもフレームワークを積極的に活用していくことが大切です。

育成施策の評価を決める際に活用する

研修などの育成施策の評価をしていく際にも、フレームワークは役立ちます。

育成施策に関する評価をおこなう上で主に活用されるフレームワークは、「カークパトリックモデル」です。

研修施策は実施後の成果が見えにくいものであるため、その研修効果がどの程度優位性のある施策だったかを測りにくいといったデメリットもあります。その点、カークパトリックモデルのような効果測定に役立つフレームワークを活用すれば、育成施策の評価をしっかりとおこなえるようになるのです。

【課題別】人材育成のフレームワーク一覧

人材育成のフレームワークには、次のようなものがあります。

  • HPI(Human Performance improvement)
  • 氷山モデル
  • カッツ理論
  • 70:20:10フレームワーク
  • 思考の6段階モデル
  • SMARTの法則

これらの使い方を、課題別に解説していきます。

HPI(Human Performance improvement)

HPIは、人材のパフォーマンス向上を目的としたフレームワークです。このフレームワークは、組織の課題解決を人材の視点から捉えており、ATD (Association for Talent Development)により定義づけられている概念です。

HPIでは、人材の理想的な姿と現状のパフォーマンスとの間にあるギャップを洗い出し、根本的な原因分析をおこないます。実際の場面ではより精緻な分析をおこなう必要がありますが、平易な例としては次のようにしてギャップを見つけ出すことが基本です。

現状 理想の姿 ギャップ
売り上げ 1000万円 3000万円 2000万円
営業利益 300万円 600万円 300万円

その後、現状とのギャップを埋めるために必要かつ適切な介入策を検討・選択・実行し、実行結果を評価測定していきます。

  • 例:小型案件の提案が多く受注スケールが小さいため、より大きな金額が動く大型案件にも提案していく

HPIのメリットは、人事と企業全体の戦略がより密接になることで、目標達成のためのアプローチの質がより高くなっていく点です。その結果、パフォーマンスの向上も見込まれるでしょう。

HPIのデメリット・注意点は、組織内で変化への抵抗や戸惑いも想定され、効果があらわれるまでに時間がかかる可能性もある点です。企業トップや人事部門の責任者などがHPIを十分に理解する必要があるため、そのための教育や訓練にかかるコストも生じるでしょう

氷山モデル

氷山モデルとは、「表面に見えている部分は物事全体のほんの一部に過ぎず、大半の部分は見えずに隠れている」ということを意味する思考のフレームです。物事の見えない部分を洗い出し、潜んでいる課題を発見する上で役立てられます。

前項で先述してきた話になぞらえると、施策や育成における理想的な業績・成果が「見える部分」であり、自社の現状(スキルや能力など)が「見えない部分」に該当するでしょう。

具体的には、以下のような着眼点で、自社の人材と業績・成果の相関性を調査します。

  • 「業績の高い」「モチベーションが高い」「業務に適性のある」人材の行動や思考パターンは何か
  • 「業績の低い」「モチベーションが低い」「業務に適性のない」人材の行動や思考パターンは何か

調査により判明した分析結果をもとに、組織の人材育成戦略を策定していきます。

カッツ理論

カッツ理論(カッツモデル)は、役職ごとに必要とされるスキルの割合を示す「モデル図」を作成するために用いられます。1950年代にアメリカの経済学者であるロバート・L・カッツ氏によって提唱されて以来、人材育成や組織開発の指針として活用されてきました。

カッツ理論は、3つの階層と3つのスキルから構成されています。

役職レベル 階層 スキル
上位 トップマネジメント

会長・社長・副社長などの経営層、CEO、COO。
経営方針の決定、組織のマネジメントを担う

コンセプチュアルスキル

あらゆる事象の本質を理解し判断する能力。
ロジカルシンキングやクリティカルシンキングなど

中位 ミドルマネジメント

部長、課長、支店長、工場長などの管理者層。
トップマネジメントにより策定された方針や意思決定を、ロワーマネジメントに伝達し、業務を促す

ヒューマンスキル

良好な対人関係を構築し維持する能力。
リーダーシップやコミュニティ力

下位 ロワーマネジメント

係長、主任などの監督者層以下。
ミドルマネジメントの指示を受けて、現場で具体的な活動をおこなう階層

テクニカルスキル

業務を遂行するために必要な知識や技術。
営業職:商品知識や提案力、市場知識
技術職:機械操作技術や工具の扱い方、専門資格

カッツ理論の活用により、階層ごとにどのようなスキルを保有するべきかや、どのような研修をおこなえばよいのかを把握しやすくなります。

70:20:10フレームワーク

70:20:10フレームワークとは、ロミンガーの法則ともいい、人材の能力開発において意識すべき比率を表した法則です。人が成長するためには、「7割:経験」「2割:薫陶(くんとう)」「1割:研修」の比率で影響するとされています。この比率は、米国の人事コンサルタント会社のロミンガー社が、成果の出ている組織の特徴を精査した際に判明しました。

経験・薫陶・研修には、次のようなものが該当します。

  • 経験(7割):仕事を通じて得られる経験
  • 薫陶(2割):上司や先輩、同僚からのアドバイスの言葉やコーチング
  • 研修(1割):研修やロールプレイング

この法則(比率)に基づいて自社の人材施策を整理することで、各種施策を人材育成につながる配分で割り当てられるようになるでしょう。

たとえば、実地での業務経験9割、上司からのアドバイス1割、研修0割で人材育成施策が構成されているとします。その場合、「7:2:1」の比率になるよう、それぞれの比率を調整することが重要です。

思考の6段階モデル

思考の6段階モデルは、教育学者のベンジャミン・ブルーム氏によって提唱されました。思考の6段階モデルは、知識の習得から創造的な問題解決までの過程を6つの段階に分類し、それぞれの段階における能力を高める訓練が必要とする考えです。このモデルに沿って教育方法を考案することで、人の思考性質に適した育成施策を講じられるようになります。

  • Lv.1 記憶:言葉や事実、方法などを知識として保有している
  • Lv.2 理解:内容の解釈や説明能力
  • Lv.3 応用:知識を別の形で活用する能力
  • Lv.4 分析:全体の要素を1つ1つ分解し理解する能力
  • Lv.5 評価:内容を分析し、批評する能力
  • Lv.6 創造:Lv.1~Lv.5までの能力を活かし新しいものを作り出す能力

思考の6段階モデルを活用し施策を考案することで、効率的な人材育成ができるようになるはずです。

たとえば、Lv1では実地やeラーニングでの講義・講座、Lv2ではワークショップなどの施策が挙げられるでしょう。

SMARTの法則

SMARTの法則は、5つの要素に従って目標を設計するフレームであり、目標の達成度合いを高めるために有用です。ジョージ・T・ドラン氏によって提唱されて以来、ビジネスにおいて幅広く活用されてきました。。

  • Specific:具体性
  • Measurable:測定可能性
  • Achievable:実現可能性
  • Relevant:関連性
  • Time-bound:期限性

たとえば、「6月までに新規案件を5件獲得する」といった具合に、目標を具体的に設定します。実現可能性・現実性の要件にも注意が必要です。過去に実績がないのにもかかわらず、やみくもに「6月までに新規案件を100件獲得する」などといった目標を立てるのは不適切といえます。

SMARTの法則によって設計された目標は、期限や取り組み内容が明確であることから、モチベーション高く行動を継続しやすく、評価にも活用しやすいという特徴があります。

カークパトリックモデル

カークパトリックモデルは、教育や研修の効果測定に活用される理論であり、人材育成施策の実施前後での変化を評価する上で有用です。アメリカの経営学者ドナルド・カークパトリック氏によって提唱された理論であり、ビジネスに留まらず政府や軍などにおいても活用されてきました。

カークパトリックモデルでは、施策の効果を「反応」「学習」「行動」「結果」の4段階で表します。

レベル1:反応 受講者の反応(満足度や評価)はどうだったか
レベル2:学習 その施策で知識やスキルはどの程度身についたのか
レベル3:行動 研修によって実際に行動は変化したのか
レベル4:結果 組織全体に利益をもたらしたのか

このモデルに基づいて各施策を判断することで、どのような効果を出しているのかを評価できるようになります。問題があった際には、レベルごとに対策を検討していくことで、的を射た対策を講じやすくなるでしょう。

フレームワークを活用した人材育成の5つのSTEP

フレームワークを活用し人材育成をおこなう際には、次のステップに沿って進めていくとよいでしょう。

  1. 人材育成方針を策定する
  2. 人材育成方針と現状のギャップを把握し課題を明確にする
  3. 課題を解決するために使用するフレームワークを選定する
  4. 人材育成計画を策定する
  5. 運用を開始する

それぞれの詳細について解説していきます。

STEP1|人材育成方針を策定する

人材育成の施策を実施する前には、まず人材育成方針を策定しましょう。

どのような施策を講じるか決定する前に、どのような人材を育てるべきなのかなどの方針が策定されていなければ、施策に一貫性を保つことが難しくなってしまいます。その結果、本来育てるべき人材を育てられなくなってしまう可能性もあるでしょう。

人材育成の全体像は、次のとおりです。

  • 現状把握→方針策定→実行

まずは、事業戦略の方向性や現在の人的資本など自社の現状を、インタビューやアンケートといった調査により把握します。その後、ビジネスの観点から、事業戦略や競合優位性、自社のビジョンなどを明確にし、人材育成の方向性を固めていきましょう。
育成方針の策定が終わったら、計画に基づいて施策を実行し、状況に合わせて適宜改善をしていきます。

人材を効率的かつ効果的に育成するためには、上記順序に沿って育成施策を検討していくことが重要ですが、この通りにおこなえていない企業は少なくないようです。

『人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)』|労働政策研究・研修機構(JILPT)によると、人材育成方針が「明確である」と回答した企業は15.8%ほどしかありません。実際に人材育成の方向性を定められている企業は少ないのがわかります。

参考サイト:『人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)』|労働政策研究・研修機構(JILPT)

STEP2|人材育成方針と現状のギャップを把握し課題を明確にする

人材育成方針(自社の理想)と現状のギャップを把握し、課題を明確にしていきましょう。

自社の理想を実現するには、目指すべき状態に対して現状不足しているスキルを特定し、どのようなスキルを育成していくのかを明確にすることが大切です。
その際、「役職や職務ごとに抽出する」「自社の人材育成施策の強みや弱みを抽出する」という2点に注意しましょう。細かく分類し分析していくことで、自社における現状把握の精度が高まり、的を射た施策を講じやすくなります。
現状何ができていないかだけでなく、何ができているのかといった視点も持つことで、自社の競争優位性に気づけ、より戦略的に事業や人材育成をおこなっていきやすくなるでしょう。

STEP3|課題を解決するために使用するフレームワークを選定する

育成が必要なスキルや課題の把握が終わったら、その課題の解決に向けて適したフレームワークを選定し、各課題に対処していきましょう。

たとえば、全社的に目標の進捗度合いや達成度合いが悪く、自社の目標設定に課題があることが判明したと仮定します。

その際にはSMARTの法則を活用し、次のように目標を変更・設計していくとよいでしょう。

  • 従来の目標設定:売り上げ目標の達成を目指し、とにかく数を追う。
  • SMARTの法則:6月までに案件を10件獲得する。これまでのデータから1件獲得するためには100件の架電が必要なので、6月までに少なくとも1,000件の架電をする。

このように、抽象的だった目標を、過去の実績やデータに基づいて、期限や数値を具体的な目標に変更します。それにより目標設定の質が高まり、目標達成に近づくことが期待できます。

STEP4|人材育成計画を策定する

ここまでのステップで人材育成における課題の発見などが終わったら、どの課題をどのような施策で解決するか、計画に落とし込んでいきましょう。

人材育成方針で定めた育成対象の役職・役割に対して、それぞれどのようなスキルを身につけることで、どのようなキャリアパスを歩んでいけるのかを明確にしていきます。>

たとえば、IT分野での開発プロジェクトチームの責任者である「プロジェクトマネージャー(PM)」へのキャリアパスを考えるとします。PMに必要なスキルとしては、「プロジェクト管理技術」「リスク管理」「品質管理」「コミュニケーション能力」などが挙げられるでしょう。これら必要なスキルの習得・研鑽をPM昇格の要件とすることで、システム開発を担うエンジニアに対し、PMへのキャリアパスを設けられます。

また、そのキャリアパスを叶えることを目的とした支援施策の策定も重要です。教材や研修、ワークショップなどの提供を通して、各種能力の育成を支援していくことで、社員がキャリアパスに向かって前進しやすくなります。ひいては、モチベーションや社内エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。

STEP5|運用を開始する

人材育成計画まで策定できたら、実際に運用を開始しましょう。

運用においては、実際に実施している育成施策の進捗が順調に進んでいるのか、課題が出てきていないのかを定期的に振り返ることが大切です。

育成施策が完了した際には、それが効果を出しているのか、うまく育成できていない課題はあるのかなど最終的な評価をしていきましょう。そして、評価をもとに次回以降の育成計画をブラッシュアップしていくことも重要です。

人材育成のフレームワークを導入する際の注意点

人材育成にフレームワークを活用することで、育成施策の質を向上させやすくなりますが、使い方によっては思うような効果が得られないこともあります。

具体的には、以下のような点に注意しましょう。

  • フレームワークを活用することを目的にしない
  • 活用後も定期的な振り返りをおこなう

それぞれの詳細について解説します。

フレームワークを活用することを目的にしない

フレームワークの活用自体が目的になってしまうと、失敗につながりやすくなります。

フレームワークは、あくまでも人材育成計画を達成するために、思考や情報の整理に使用するツールです。その使用に固執してしまうと思考が偏ってしまい、柔軟さが失われてしまうことがあります。柔軟な発想ができなくなると、課題解決に役立つクリエイティブなアイデアを思いつきづらくなってしまう可能性も考えられるでしょう。

また、フレームワークは、そのフレームどおりに情報をただ埋めていくだけで、課題の発見や解決が半自動的にできるわけではないことにも注意が必要です。

フレームワークを効果的に活用し成果を出すためには、活用によって情報の整理をしつつも、その情報をもとに別の視点から思考するようにもしましょう。

活用後も定期的な振り返りをおこなう

フレームワークを活用して施策を策定した後には、定期的な振り返りをおこなう必要があります。

フレームワークに基づいて作成したものは、必ずしも正解であるとは限りません。むしろ、実際に運用してみないと見えてこない課題も多いため、初めて作成したものは完ぺきではないと捉えるのが適切でしょう。

「振り返りにこそ価値がある」と割り切って、初回の作成時から100%のクオリティを追い求めてしまわないようにすることが大切です。100%のクオリティを最初から追求してしまうと、作成に多大な時間がかかり、人材育成の遂行に対する推進力の低下にもつながってしまうかもしれません。

フレームワークを活用する際には、まずは70〜80%程度の出来を想定し、その後、運用していく中でブラッシュアップしていくようにしましょう。

組織・人事プロフェッショナル養成講座を配信中!

人事制度を学んだことがない方向けに、企業における人事の役割を体系的に学べる講座をオンデマンド型で配信しております。

  • 全10回の講座でどこよりも「深く」「幅広く」学べる
  • 合計約900ページにも及ぶ資料をプレゼント
  • オンラインでいつでもどこでも受講可能!
  • 講師への質問が可能!

本講座では、人事に配属されたばかりの新人の方はもちろん、今の人事のやり方が正しいか今一つ自信が持てない経営者、人事責任者、人事コンサルタントを対象に、企業における人事精度を一から学ぶことができます。

講座のカリキュラムを見てみる

記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

関連記事

関連セミナー