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新入社員の育成に悩む企業は多い!具体的な課題と施策について徹底解説

新入社員の育成に悩む企業は多い!具体的な課題と施策について徹底解説
  1. 新入社員の育成に課題を抱える企業は多い
  2. 新入社員が入社後に抱える悩みとは
  3. 企業が新入社員の育成に抱える課題とは
  4. 新入社員が育たないことによる企業への影響
  5. 新入社員を効果的に育成する施策
  6. 企業と新入社員の双方が恩恵を受けられる関係を築くことが重要
  7. まとめ

「新入社員を採用しても、戦力化するまでに時間がかかる」「新人の自己成長に対する意識が希薄な印象を受ける」といった悩みを抱える企業は多いようです。

新人に適切な指導・育成ができれば、中長期的に企業に貢献をしてくれるようになりますが、それまでには少なからずのリソースを必要とします。そのことがネックとなり、育成にリソースを割けない企業も少なくありません。

本記事では、上記のような課題を抱えている方に向けて、新入社員の育成に関する企業情勢やよくある課題、効果的に育成するポイントについて解説します。ぜひ最後までお読みください。

新入社員の育成に課題を抱える企業は多い

企業側としては新入社員の即戦力化に期待して採用しますが、新入社員の育成に課題を感じている企業も少なくありません。
育成にリソースを割くことは企業にとって時間やコストの面で負担が大きく、育成に工数をかけずとも即戦力として活躍してもらい、早い段階で企業に利益を生む存在になってもらうことが理想という企業も多いでしょう。

実際に、株式会社ベネッセコーポレーションが実施した「2023年度新人研修に関する意識調査」では、47.3%の企業が新入社員研修の目的として「早期の戦力化」を求める傾向にあることがわかっています。また、新入社員研修に関して課題に感じている・悩んでいることの上位3つは、「自社への定着・早期離職を防ぐこと(34.7%)」「業務に必要なスキルや知識・マインドの習得(33.0%)」「研修で得たことを配属後に活かすこと(32.5%)」という結果でした。

一方で、新入社員は自身をどう育成してくれるのかを企業に期待します。それまで経験のない業務であれば、手取り足取り教えてもらうのが当然で、戦力として活躍できるようになるまでにはある程度の時間がかかるものと考える人が多いようです。

上記のように、育成する企業側と新入社員側とで、育成に関してのギャップが生まれている状態となっていますが、事業の持続成長のためにはその溝を埋めていくことが企業に求められます。

参考:「2023年度新人研修に関する意識調査」 | 株式会社ベネッセホールディングスのプレスリリース

新入社員が入社後に抱える悩みとは

先述のとおり、企業側は新入社員が早期に戦力化することに期待しており、少しでも育成のリソースを削りたい傾向にあります。
しかし、その背景で新入社員は、以下のような悩みを抱えることも少なくありません。

  • 自分の将来像が見えづらい
  • 放置されてしまう

新入社員が抱える問題に気づき必要な対策を講じていくことで、早期離職などの問題を防ぎやすくなるでしょう。

自分の将来像が見えづらい

新入社員の中には、自分がこの先どのような姿になっていくのかをイメージできずに悩む人が少なくありません。研修体系やキャリアパスの整備がされていないことなどが、自身の将来像をイメージできなくなる大きな要因でしょう。

新入社員は、企業が自分に対してどのような育成をしてくれるのかに関心を向ける傾向にあります。現に2022年の調査では、約58%の新入社員が「自分を成長させたい」と回答したとの結果が出ています。
また、自分が成長するために必要なものとして、「上司や先輩からの事後のフィードバック:53.8%」「上司や先輩からの事前のレクチャー:31.8%」「社内外の研修:10.3%」という声が上がりました。

つまり新入社員は、成長していくことに意欲的であるものの、成長の支援はあくまでも会社に委ねたいと考える人が多いようです。

単発の研修のみしかなく、研修体系が整っていない場合は、新入社員のそうした期待に応えられません。結果として、その企業に在籍する中で自分がどう成長していけるのかをイメージしにくくなってしまいます。

参考:「2023年 新入社員意識調査」 | 株式会社ラーニングエージェンシー

放置されてしまう

新入社員が抱える悩みとしては、育成・サポートが十分に受けられず、放置されていると感じているという問題も挙げられます。先輩社員や上司は、育成業務のほかにも自身のメインの仕事や雑務も担っており、忙殺されていることが少なくありません。そのような状況では、自分の仕事をこなすことに手一杯で、付きっきりで指導をすることが難しくなります。

一方で入社後間もない新入社員は、自身でできることは非常に少なく、育成担当者の支援なく業務をこなすことは難しいでしょう。懇切丁寧な指導がないことに対して新入社員は、「ほったらかしにされている」「適切な指導をしてくれない」といった悩みを抱いてしまうのです。

実際、株式会社リクルートマネジメントソリューションズの「新入社員意識調査2023」では、新入社員が上司に期待することとして「一人ひとりに丁寧に指導すること」を上げた人の割合が49.1%と約半数であることがわかっています。

上記調査結果から、放置されて自身にできることがないのは、自分よりも会社側に原因があると捉える人が多いということが読み取れるでしょう。そうした認識を持つ社員にとっては、指導をしてもらえないことは非常に大きな問題であり、自身の期待とのギャップに悩んでしまうのです。

参考:「新入社員意識調査2023」|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

企業が新入社員の育成に抱える課題とは

新入社員が育成に紐づいた課題を抱える一方で、先述のとおり企業も多くの課題に悩まされています。その中でも代表的なのが、新入社員と企業間の育成に関する認識のギャップです。

多くの企業が新人の育成に関して早期の戦力化を求めているのに対し、新入社員は丁寧に育ててほしいという期待を抱いて入社します。両者の認識が異なるため、新入社員が入社後、自主的・主体的に自己研鑽や業務習得に励まず、育成・指導されるのを受け身に待っていることに頭を悩ませる企業は多いようです。
反対に新入社員は、育成・指導されないことに大きな不満を抱く傾向にあります。

こうした問題の根本的な原因は、新入社員に対して採用と長期的な研修体系をセットで示せていないことにあるでしょう。どういう研修体系で、どのように成長できる環境なのかを採用とセットで示せれば、両者の育成に関する認識のギャップを埋めていけます。

新入社員が育たないことによる企業への影響

新入社員が育たなければ、企業は以下のような問題を抱えてしまうリスクがあります。

  • リクルーティングのハードルが上がってしまう
  • 優秀な人材が集まらず成長が鈍化する

自社が抱え得る問題をしっかりと理解し、対策を講じていくことが大切です。

リクルーティングのハードルが上がってしまう

新入社員が育たないことによって生じる企業の問題には、採用活動のハードルが上がってしまうことが挙げられるでしょう。先述のとおり、新入社員は会社に育成を強く求める傾向にあります。育成体系が充実していない会社では、入社後に不満が募りやすく、早期離職にいたってしまうリスクを避けられません。

社員の定着率が悪く、成長しづらい会社といったイメージがついてしまうと、採用ブランディングにも悪影響を及ぼし、応募が減ってしまうこともあるでしょう。その場合は、リクルーティングで苦労する場面が増えてしまいます。

また、新人育成の体制が整っていないと、採用する企業側も「教育が不要ですぐに活躍できる人材(優秀な人材)」を採用候補として掲げることになります。ただし、優秀な人材ほど他社からも人気で、しっかりと育成できる企業のほうが有利に採用活動を進められるのが現実です。育成の充実していない企業では、採用が難航するでしょう。理想が高い状態で採用活動を進めても思うように採用ができず、人材不足を解消できないまま年月が経ってしまうリスクもあるかもしれません。

優秀な人材が集まらず成長が鈍化する

育成体系が整っていないことで既存社員の定着率低下といった問題が起きると、仮に有望な社員を採用しても、入社後に思うような育成をしてもらえないことによって、その人材の勤続へのモチベーションが低下してしまう可能性も考えられます。

近年では転職活動が活発化している背景もあり、環境に対する不満が大きくなれば、短期間で離職してしまう可能性も否めません。その結果、人材不足によって事業の成長が大きく鈍化してしまう可能性もあるのです。

新入社員を効果的に育成する施策

新入社員に着実に成長していってもらうためには、企業側が育成施策を講じることが重要です。
具体的には以下のような施策を実施することをおすすめします。

  • キャリアパスと評価基準を明確にする
  • 能力モデルに基づいた研修制度を確立する

それぞれどのようなポイントを意識すればよいのか、詳細を見ていきましょう。

施策1|キャリアパスと評価基準を明確にする

新入社員を効果的に育成するには、明確なキャリアパスを設けるようにしましょう。キャリアパスとは、社員が組織内においてキャリアをステップアップしていくために必要な能力や経験、その他条件を示したものです。

会社が能力モデルを明確にして、どのような能力が身につけば評価され、どのような職務、職位に就けるのかを明文化することで、社員は頑張る方向性を明らかにできます。それにより、目標達成や成長に向けて、受け身ではなく能動的に研鑽に励むことにも期待できるでしょう。自身の将来像を描けるようになれば、「この会社に在籍していても先が見えない」といった漠然とした不安も大きく減らせるはずです。

曖昧な評価基準を、具体的かつ明確なものに刷新することも重要といえます。誰もが納得できるような評価レベルを設定し、何を基準にどのような成果・能力をどの程度評価するのかを明らかにしましょう。
評価基準の客観性が高ければ、被評価者は評価への納得感が高まり、自身のよい点や、改善が必要な点を把握しやすくなります。成長に向けて必要な行動を取ってもらいやすくもなるのです。

施策2|能力モデルに基づいた研修制度を確立する

新入社員の育成方法としては、能力モデルに基づいた研修制度の確立も重要です。能力モデルを明確化するだけでなく、そのモデルに沿って能力開発ができるよう、全社的に研修の仕組みを構築していきましょう。能力の習得を社員の自主性に任せきりにしてしまうのではなく、能力開発のために必要な育成を丁寧に実施していくことで、自社が期待する能力を着実に身につけてもらえるようになります。

先述のとおり、新入社員は将来に対して不安を抱きがちです。自分のイメージするキャリアパスの実現に向けて必要な能力を身につけていける環境を用意できれば、会社への安心感や信頼感を抱きやすくなり、自社への長期的な定着も期待できるでしょう。

企業と新入社員の双方が恩恵を受けられる関係を築くことが重要

記事の冒頭で、早期戦力化を求める企業と、手厚く指導や支援を受けたい新入社員との間に、大きなギャップがあると解説しました。
立場が異なれば期待する内容は当然変わってきます。企業は育成のリソースを極力抑えつつも早期戦略化を期待しますが、ただ一方的に求めるだけでは、新入社員はその期待に応える意欲が湧かないでしょう。

企業と新入社員のお互いが意見をぶつけ合うだけの状況は、生産的ではありません。相手の立場も理解した上で、双方が歩み寄っていくことが重要です。
企業は新入社員が成長し続けられる環境や意欲的に働き続けられる環境を提供すること、新入社員はその環境下で主体性高く成長して将来的に企業に貢献していくことが大切です。

短期的には企業の負担が大きくとも、新入社員をしっかりと成長させられれば、中長期的に見て多くの価値を還元してもらえるはずです。

まとめ

新入社員は「丁寧に指導をしてほしい」「しっかりとフィードバックしてほしい」「研修を実施してほしい」といった希望・期待を抱き、入社してきます。ご紹介した複数の調査結果からもわかるとおり、新入社員の多くがそうした期待を抱いており、成長自体には意欲的です。
そのため、企業側がその期待に応えられるようになれば、リクルーティングはスムーズに進み、入社後のスピーディーな成長も期待できるでしょう。

育成体系を充実させるためには、キャリアパスと評価基準を明らかにすること、能力モデルに基づいた研修制度を整備することが重要です。win-winでよい結果を生み出すには、まずは育成体系を整えることが重要となるため、整備できていない場合には育成体系の構築に取り組むことをお勧めします。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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