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管理職の育成を成功に導くには?直面しやすい課題やうまくいかない理由とあわせて解説します

管理職の育成を成功に導くには?直面しやすい課題やうまくいかない理由とあわせて解説します
  1. 管理職の育成に課題を感じている企業は少なくない
  2. 管理職育成で直面しやすい課題
  3. 管理職育成がうまくいかない理由
  4. 管理職育成を成功に導くコツ
  5. まとめ

「管理職候補がなかなか育たない」「どのように管理職の育成をおこなえばよいかわからない」といった課題を抱えていませんか。

管理職の育成は一般社員向けの育成とは大きく異なるため、実施しようにも何から始めればよいかわからない、という企業も少なくありません。とりあえず育成を開始したものの、効果を感じられないケースも多いようです。

本記事では、管理職の育成に課題を抱えている方に向けて、育成が難航してしまう理由をご紹介します。具体的にどのように育成していけば自社で活躍できる人材に育てられるのかも解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

管理職の育成に課題を感じている企業は少なくない

管理職の育成は企業の今後を大きく左右する重要事項であるため、全社をあげて有効な育成に取り組んでいくことが求められます。しかし多くの企業では、さまざまな理由から効率的かつ効果的な育成がなかなかできず、課題を感じているようです。

たとえば、JMAM 日本能率協会マネジメントセンターが2023年4月に、管理職と一般社員を対象におこなった「管理職の実態に関するアンケート調査」によると、部下(一般社員)の77.3%が「管理職になりたくない」と回答しました。これは、「管理職になりたい」という回答を大きく上回っています。

同センターが2018年におこなった別のアンケート調査では、「管理職になりたくない」と答えた部下は72.8%でした。このことから、管理職になりたくないと思っている部下の割合は、ここ数年で増えていることがわかります。

2023年4月の同調査にて、管理職に対してネガティブな気持ちを持っている「ネガティブ管理者」が、管理職という仕事へ抱いている印象の1位は「調整が多くて面倒(71.3%)」でした。2位に「プレーヤーとしての仕事のほうが面白い(71.3%)」、3位に「負荷に対し報酬が釣り合っていない(65.3%)」と続いています。

また、リクルートマネジメントソリューションズの「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022年」も、管理職に関わる問題の深刻さが浮き彫りになっています。
同調査で人事担当者と管理職層を対象に会社の組織課題について訊ねた結果、「次世代の経営を担う人材が育っていない」という回答が、人事担当者では2位、管理職層では1位でした。この「次世代の経営を担う人材が育っていない」と回答した割合は、人事担当者、管理職層共に6割を超えます。

出典:マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022年|リクルートマネジメントソリューションズ

種々の調査結果から、管理職の育成は思うように進んでいないことがうかがえます。企業では、こうした状況を踏まえた上で、適切な対策を講じていくことが必要です。

参考:【管理職の実態に関するアンケート調査】ポジティブな管理職を育てる鍵とは|JMAM

管理職育成で直面しやすい課題

多くの企業が管理職育成で直面しやすい課題としては、以下が挙げられるでしょう。

  • 管理職に求めるスキルの定義が難しい
  • 管理職に求める能力が多い
  • 管理職を育成する時間がない
  • どのような研修プログラムを組めばいいかわからない

各問題への理解を深めることで、的を射た対策を講じやすくなります。

管理職に求めるスキルの定義が難しい

管理職育成でぶつかりやすい課題の1つ目には、管理職に求めるスキルの定義が難しいことが挙げられます。
どのような条件を満たしていたら管理職として適正か、どのような人物を管理職候補として選出するべきかといった定義は困難です。また、どのスキルを持つ管理職に育てるかという育成の側面に関しても、基準を定めるのは難航するでしょう。

スキルの定義が曖昧なままでは、今後いかにして管理職に育てていけばよいかの指針もブレてしまいます。同じ企業内であっても、職務によって管理職に求めるスキルは異なります。同組織内で管理職に求めるスキルが統一されなければ、候補者の選出・育成の方向性は共に定まりません。

その結果、候補者のミスマッチや、育成内容・目標のブレなどが生じやすくなります。さらには、そうした問題を引き金に、候補者のモチベーション・エンゲージメントの低下、ひいては人材流出にもつながる可能性もあるのです。

管理職に求める能力が多い

管理職に必要とされる能力が多岐にわたることも、育成が難航する要因です。
管理職には、「マネジメント能力」や「人材育成能力」「決断力・判断力」「問題解決能力」「行動力」「コミュニケーション能力」「臨機応変に対応できる能力」など、実に多くの能力が求められます。

こうした幅広い能力をすべて身につけている人材というのはそもそも稀であり、全能力を指標として候補者を選出しようとすると、候補者が誰も見つからない…という事態に陥ります。

とはいえ、管理職育成の段階で上記に挙げたようなすべての能力を一から身につけさせようとしても、うまくはいかないでしょう。候補者が選出されてから、管理職に必要とされる能力を身につけさせるのでは遅いのです。
育成には相応の時間がかかるため、十分な余裕を持って計画的に育成を進めていく必要があります。

管理職を育成する時間がない

日々の仕事に追われ、管理職の育成に時間を割けないというのも、管理職の育成が行きづまってしまう原因です。管理職の育成は非常に重要な問題ですが、多くの企業では育成のための時間を設けるのが難しいという問題に直面します。

管理職育成においては、現管理職が育成する側の立場として主に携わっていくこととなりますが、現管理職が多忙のためにその時間をとれないことも少なくありません。とくに育成にあたる管理職がプレイングマネージャーである場合、その傾向は顕著です。
管理職の候補者となる人物は、やはり現場においても優秀な人材であり、当該候補者が管理職育成のために現場から離れると、現場の負担が大きくなってしまうという問題もあります。

時間的にも人員的にも管理職育成にリソースを割けなければ、当然うまくはいきません。

どのような研修プログラムを組めばいいかわからない

管理職育成において研修は最重要項目の1つですが、その研修プログラムをどのようなものにしたらよいのかわからず、行きづまってしまう企業も多いです。

管理職育成の研修プログラムでは、管理職に求められる能力をバランスよく身につけさせ、習得した能力を現場でしっかりと発揮できるようなカリキュラムを組まなければなりません。また、管理職としての意識づけや、行動転換の促進なども求められます。

育成にかけられる時間が少ない中で、そうしたウェイトの重い内容を効率的・効果的に研修プログラムに組み込むことは難しく、頭を抱える企業が少なくないのです。

管理職育成がうまくいかない理由

管理職育成が思うように進まない理由としては、以下の5つが挙げられます。

  • 業務が忙しく基礎を学ぶ時間がない
  • 管理職になる前にマネジメントの経験が不足している
  • 管理職を育成する仕組みが整っていない
  • どのような人材を育成するべきかが明確ではない
  • 受講する管理職の意識が低い

それぞれの詳細について解説します。

業務が忙しく基礎を学ぶ時間がない

日々の業務が忙しく、管理職候補者がマネジメントなどの基礎を学ぶ時間がとれないことで、管理職の育成が行きづまってしまうことがあります。

大半の企業では、人手不足などの影響で、業務に忙殺されています。そのような状況では、マネジメントの基礎を学ぶ時間を確保できず、育成の進捗が悪くなるのです。

先に挙げたリクルートマネジメントソリューションズの「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022年」においても、会社の組織課題として「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」という回答が高い割合を占めています。具体的な割合は、人事担当者の意見で60.7%、管理職層で62.0%でした。
管理職候補となるミドルマネジメント層の業務負担が大きく、マネジメントや経営に関する基礎を学ぶ時間がとれないことが、その原因として考えられます。

管理職育成においては、候補者に主体的に成長してもらうことも大切です。しかし、管理職になるための研修以外にやるべき業務が多すぎると、基礎をしっかりと学ぶ機会は失われてしまいます。基本を学ぶことなく独学での成長ばかりに委ねてしまうと、能力や成長速度に問題が生じる可能性が高まるでしょう。

参考:マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022年|リクルートマネジメントソリューションズ

管理職になる前にマネジメントの経験が不足している

マネジメントの実践経験が不足しているケースも、管理職候補者の育成・成長を鈍らせます。

管理職候補者は、プレイヤー時代にもマネジメントとしての下地を積んでおく必要があります。管理職になる前にマネジメントの経験がない候補者は、いざ管理職になった際にマネージャーとしての基本的なスキルが身についておらず、部下の人材育成・管理を適切におこなえません。

管理職になる前には、「プレ・マネジメント経験」(疑似的なマネジメント経験)が欠かせません。必要最低限の経験を積まずにただ研修を受けただけでは、いざ管理職になった際に実践で活かしづらくなります。

またマネジメント経験がない場合には、別の問題も生じるリスクがあります。候補者は管理職となる前には当然現場での業務を中心に動いていますが、マネジメント経験がなくプレイヤーとしての意識が強すぎると、自己主体となってしまう傾向があるのです。
そうしたケースでは、「自分はプレイヤー時代に人に頼らず成し遂げられたから、部下もそうするべき」などの意識から、部下へのサポートが十分になされないことも少なくありません。組織全体を俯瞰してみるスキルも鍛えられていないことから、形のみの管理職となってしまう可能性が高まります。

管理職を育成する仕組みが整っていない

管理職を育てる体制が整備されていない場合も、育成で行きづまりやすくなります。
社内で管理職を育成する仕組みが整っていなければ、育成の方向性もズレてしまい、社内からの理解や協力を得ることも難しくなります。育成体制がしっかりと整っていないがために、候補者のモチベーションやエンゲージメントが著しく低下してしまうこともあるでしょう。

管理職育成の仕組みがしっかりと整っていないまま育成に進んでしまうと、当然思うような成果も出ません。
「時間だけ大幅にかけたものの成果は何も出せていない」といった事態も起こり得ます。しかし、そもそも管理職を育成する仕組みが社内で整っていない企業は少なくないのが現状です。

どのような人材を育成するべきかが明確ではない

目指すゴールが曖昧な場合も、管理職の育成は思うように進まないでしょう。

自社の管理職に相応しい人材がどういう人か、またどのような管理職に育てあげるのか、というペルソナ像が明確化されていない企業も少なくありません。自社に必要な人材像が明確になっていなければ、育成のゴールが見えないことから、管理職育成の方向性や研修内容も大きくぶれてしまうでしょう。

候補者選定のミスマッチや方向性のブレ、社内での意識統一のズレなど育成の各種問題が重なると、育成を受ける候補者も都度振り回され、非常に疲弊します。本来自社が理想としている管理職人材の育成につながらず、最悪の場合は優秀な人材の損失・流出にもつながりかねません。

受講する管理職の意識が低い

育成される側の意識が低い場合も、管理職の育成はうまくいかないでしょう。

昨今は、管理職になることに前向きでない人も少なくありません。先述したように、JMAM 日本能率協会マネジメントセンターが2023年4月に、管理職と一般社員を対象におこなった「管理職の実態に関するアンケート調査」においても、部下(一般社員)の約7割が「管理職になりたくない」と回答しています。

企業側で「この人物こそ管理職候補に相応しい」と選定しても、当の本人に管理職になる意識やモチベーションが低かった場合は、どれほど効果的な研修をおこなっても成果は期待できないでしょう。

参考:マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022年|リクルートマネジメントソリューションズ

管理職育成を成功に導くコツ

ここまで解説してきた課題を解消し、管理職育成を成功に導くコツとしては、以下7つが挙げられます。。

  • 管理職自らが後継者候補を選定し育成をする仕組みを構築する
  • 管理職育成の目的・ゴール・人物像を明確化する
  • 目的・ゴールに沿って研修・サポート体制を構築する
  • 「卒業方式」ではなく「入学方式」を活用する
  • 管理職としての役割・責任範囲への理解を深める
  • 現場でのマネジメント実践をおこなう
  • 成果評価だけではなく能力評価もおこなう

こうした取り組みにより、方向性のブレや候補者のミスマッチなどを回避しやすくなり、育成が円滑に進みやすくなるでしょう。

管理職自らが後継者候補を選定し育成をする仕組みを構築する

管理職育成をおこなう際には、人事担当者などではなく管理職自らが候補者の選定をすることが大切です。
後継者となり得るスキルや特性、将来性などを加味し、管理職が候補者を選定・育成することで、現在の企業の状況やビジョンに根差した管理職の育成が期待できます。

仮に、現在の管理職の意見を入れず、下の役職の者がそのまま上に上がる仕組みであったり、管理職ではない人事担当者が候補者の選定をおこなったりするとします。その場合、管理職の能力を満たさない者が候補者となってしまうこともあるでしょう。また、企業の目指すビジョンとの乖離が大きくなる可能性も高まります。

そのような事態を避けるためにも、管理職自らが候補者選定と育成を担う仕組みを構築することが重要です。選定した候補者が管理職としての要件を満たしたら、また別の後継者候補を育成していきます。
管理職自身が次の役職に昇格する際には、上記のようにして自ら育てた後継者候補の中から実際の後継者を選定しましょう。

こうしたサイクルを回していくことで、しっかりと活躍できる管理職を安定的に生み出せるようになります。

管理職育成の目的・ゴール・人物像を明確化する

そもそもなぜ管理職を育成するのかを明らかにすることも、管理職育成を成功に導くために重要です。育成の目的やゴール、人物像を明確化することで方向性が定まり、社内一丸となって取り組みやすくなります。

ゴール設定や目標、目指すべき人物像がはっきりしていなければ、どのように進めていけばよいかが定まりません。管理職育成が成功だったかどうかの効果測定も難しくなります。
また、方向性が曖昧なままでは、社内で育成に関する共通認識を持てず、全社での意識統一も図れません。

企業の経営理念やビジョンも加味し、また社員からの意見も吸い上げた上で、以下のような内容を考えましょう。

  • そもそもなぜ管理職の育成が必要なのか
  • どうして今管理職育成をおこなう必要があるのか
  • どのような管理職が自社に必要なのか など

管理職の育成は企業の持続的な成長に欠かせない、経営課題の一つでもありますので、人事部や既存の管理職だけでなく、上層部・経営幹部らが中心となって検討を進めていくことが大切です。

目的・ゴールに沿って研修・サポート体制を構築する

研修内容が曖昧な場合は現場で活かしづらく、管理職育成の成功はあり得ません。しっかりと管理職育成の研修やサポート体制の仕組み構築をおこないましょう。

研修プログラムを構築する際には、決定した育成目的やゴールに向けた内容にします。目的・ゴールに向かうため、また理想とする人物像の育成のために必要な要素を洗い出すことがポイントです。

また、育成にあたってのサポート体制も整備していきましょう。
候補者個人のスキルや頑張りに頼るだけでは、育成はうまくいきません。育成にあたる人物だけでなく、部署や社内全体でサポートできるような仕組みをつくっていくことが大切です。組織単位で育成に励むことで、候補者も周囲からの期待を感じることができ、育成プログラムに対して高いモチベーションを保ったまま取り組めるようになります。

「卒業方式」ではなく「入学方式」を活用する

管理職育成の際には、エスカレーター式に職位が上がる「卒業方式」ではなく、能力を身につけた者だけが職位の上がる「入学方式」を採用しましょう。

人材育成における「卒業方式」とは、現状の職務で高い成果を上げた人を昇格させる方式です。
対して「入学方式」とは、能力を身につけた者のみが昇格していく方式です。この方式では、例えば係長の場合に、課長などの上位職位の能力を持った者だけがキャリアを高めていく仕組みです。

管理職育成においては、「卒業方式」ではなく「入学方式」がおすすめです。卒業方式では、その職位に必要な能力を持たないまま役職に就く者が多くなってしまい、組織の生産性も下がってしまいます。

要件を満たした者だけが役職に就ける「入学方式」を導入することで、管理職として適切な人物の育成ができ、企業の生産性向上にもつながるでしょう。

要件を満たした場合にのみ役職が上がる入学方式を成り立たせるには、能力の見える化が重要です。入学方式の導入に際しては、従業員の能力を可視化できる仕組みも整える必要があります。

管理職としての役割・責任範囲への理解を深める

管理職を育成する側・される側はもちろん、社内全体において管理職に求められる役割や責任範囲への理解を深めることも大事です。
管理職に求められる役割や責任範囲をこまかく定義し、その内容をしっかりと理解することで、どのように協力して支援していけばよいか、共通認識を持てるようになります。全社的に推し進めることで、育成の質やスピード感を高められるでしょう。

管理職に求められる役割の一例としては、以下が挙げられます。

  • 経営理念やビジョン・戦略の浸透
  • 目標設定・計画立案
  • 人材育成
  • チームビルディング
  • 業務の進捗管理
  • 社内や担当部門の問題・課題解決  など

上記で挙げた管理職の役割はもちろんのこと、どの職位にどこまでの権限・責任を付与するのかという責任範囲を明確に定義し、理解・意識することも重要です。

管理職は担当の部門や業務領域における最終責任者である、ということを社内全体の共通認識として持つようにしましょう。それにより、管理職育成への理解度を高められます。

現場でのマネジメント実践をおこなう

候補者には、管理職となる前に、現場でのマネジメント経験を積ませましょう。
先述したように、管理職となる前にメンバーをマネジメントした経験がなければ、いざ管理職となった際に有益な業務管理や人材育成、チームビルディングなどを実行することは困難です。現場でのマネジメント経験が不足していると、マネジメントスキルが身につかず、管理職となることへの意識も育ちません。

こうした問題への対処法としては、管理職育成の研修において現場でのマネジメント実践を組み込むことが有効です。また、候補者にはチームリーダーや課長補佐などの役割を与え、業務進捗管理、人材育成・管理、目標設定、計画立案などの計画を積ませることも有利に働くでしょう。プレイヤーとしては求められない業務を経験してもらうことで、一般社員とは異なる考え方や意識を育てていけます。

成果評価だけではなく能力評価もおこなう

管理職の育成をしていくには、成果評価だけではなく能力評価も導入し、従業員の能力に目を向けることも重要です。

管理職の育成過程においては、インプットとアウトプットのバランスに気をつけることが大切です。インプット・アウトプットのどちらにも偏り過ぎてはいけません。

管理職としての必要な知見や新たな認識を、経験を通してインプットした後には、それを現場でアウトプットし還元してもらう必要があります。

インプットは能力評価に、アウトプットは成果評価にそれぞれつながります。

知識のインプットばかりに注視してしまうと、知識詰め込み型の人間となってしまうでしょう。知識詰め込み型の人材は、知識や理屈ばかりで行動が伴わない、といった問題が生じます。そうした人材は社員からの信頼が得られなくなり、管理職としての適性はむしろ低くなってしまいます。

一方で、アウトプットだけを重視するのも問題です。アウトプットに偏ると、評価基準が成果にばかり偏ってしまい、目先の評価にとらわれやすくなります。目先のことしか考えられない状態では、長期的な育成は難しくなるでしょう。

インプットとアウトプットのバランスに気をつけることで、意識と言動・行動のバランスが取れるようになり、管理職としての成長や社員からの信頼にもつながります。また、候補者のモチベーション・エンゲージメントの向上にも期待でき、長期的な育成も叶うでしょう。

現職の管理職を育成しなければならない場合にはどうするべきか

ここまでは、新たに管理職を育成する場合について解説してきましたが、現職の管理職を育成しなければならない場合もあります。
具体的には、以下のようなケースで育成が必要となるでしょう。

【現職管理職の育成が必要なケースの一例】

  • リーダーシップの発揮の仕方がわからない、発揮できない
  • 部下の育成・教育がうまくできない
  • 仕事を適切に割り振ることができない
  • 担当部門の業務進捗管理がうまくできない
  • 他部門との連携・調整がうまくいかない
  • プレイヤーとしての自身とマネージャーとしての自身のバランスがとれていない など

上記のような状況に直面し、現職の管理職に対して育成が必要になった場合は、その対処法は主に以下3つのケースに分けられます。

再配置する 組織改編に伴って異動をおこなったり、部下の人員バランスをとる、など適材適所を試みる
現役職のまま育成する 管理職研修の実施や再度の育成し直しなどをおこなう
降格させる 現役職を退き、職位の低い役職に就くか、一般職に戻り育成し直す

どの方法を取るかは、企業の文化や状態・状況によります。
ケースバイケースを意識し、問題ごとに適切な対処法を検討していきましょう。

まとめ

管理職の育成に課題を感じている企業は少なくありません。
育成が難航する代表的な原因としては、そもそも管理職に求めるスキルの定義が難しいことや、どのような研修プログラムを組めばよいかわからないことなどが挙げられます。

管理職の育成には多くの障壁が伴いますが、育成の目的やゴールを明確にする、そのゴールに沿って研修を実施するなどにより、育成は円滑に進みやすくなるでしょう。
本記事でご紹介した内容も参考に、自社で取り組める施策をぜひ実践してみてください。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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