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人事評価制度を見直しするポイントは?目的や課題に沿った対策を解説

人事評価制度を見直しするポイントは?目的や課題に沿った対策を解説
  1. 人事評価制度の目的
  2. 人事評価制度における課題
  3. 人事評価制度を見直すことで期待できる効果
  4. 【課題別】人事評価制度を見直す際のチェックポイントと対策
  5. 人事評価制度見直しの事例
  6. まとめ

人事評価制度は、企業の課題解決や成長、人材育成に有効である一方、運用を間違えたりブレがあったりすると、逆効果となってしまうこともあります。
「人事評価制度を運用しても、理想的な人材が育たない」「定着率も上がらない」といった課題を抱えている企業も少なくないことでしょう。

昔からの評価制度を慣行として運用している場合など、公平性や整合性、内容面に問題があることに気づかないまま運用を続けているケースも多く見受けられます。人事評価制度に粗がある状態では、期待するようなメリットは得られません。

本記事では、人事評価制度に課題を感じる企業に向けて、人事評価制度を見直し、正しく機能するための方法を解説します。ぜひ参考にしてみてください。

人事評価制度の目的

人事評価制度を正しく運用するためには、そもそも人事評価制度は何のために運用されるのか、といった目的を理解することが必要不可欠です。

人事評価制度では、社員の能力や企業への貢献度を評価し、報酬・昇格・昇給といった処遇に反映させます。その主な目的は、「組織の経営ビジョン実現の促進」「適切な人材配置と処遇の決定」「効率的な人材育成」の3つです。

人事評価のベースとなるのは「目標」です。経営目標とリンクさせた目標を設定し、組織単位や社員単位での目標達成を目指すことで、企業の経営ビジョンを社員に浸透させられます。

また、能力・成果を評価基準とすれば、評価に際して個々の社員における適性にも意識が向くようになるでしょう。その結果、強みや弱み、特徴を適切に把握できるようになり、適材適所な人材配置をおこなえるようになる点も利点です。

加えて、能力・成果をベースに評価をすることで、社員は評価向上に向かって自発的に研鑽・まい進するようにもなります。その結果、効率的かつ効果的な人材育成も期待できるでしょう。

これらの目的を果たせる人事評価制度の構築は、最終的に企業の成長につながります。

人事評価制度における課題

経営ビジョンの浸透や人材育成を狙って人事評価制度を導入したものの、期待するような成果を得られないことが多々あります。
その際に考えられる課題は以下の3つです。

  • 属人的な人事評価制度になってしまっている
  • 求める人材が育たない
  • 社員に浸透・定着していない

各問題の原因を理解し、適切に対処していくことが重要です。

属人的な人事評価制度になってしまっている

人事評価制度で見受けられる課題の代表例ともいえるのが、評価が属人化してしまっていることです。「属人化」とは、評価の裁量が個人に依拠している状態を指します。

人事評価制度の評価項目・基準が曖昧であったり分かりづらかったりすると、評価者によって評価にブレが出てしまうことがあります。

人事評価制度を正しく機能させるには、評価者の主観は排除されるべきであり、評価者ごとのムラが生じないように設計しなければなりません。

誰がおこなっても同一で公平な評価を得られる人事評価制度でなければ、人事評価制度の本来のメリットは得られなくなってしまいます。それどころか属人的な人事評価制度は社員からの納得感を得られず、エンゲージメントの低下を引き起こす可能性も十分にあるでしょう。

求める人材が育たない

自社の求める人材の育成が思うように進まないことも、人事評価制度でよくある課題です。こうした課題の原因としては、人事評価制度の手法が自社にマッチしていない、上手な運用ができていないといった問題が挙げられるでしょう。

自社の課題にフィットした人事評価制度でなければ、どのような行動をとり、どのような成果を出せばよいのか、評価を通して見えづらくなります。その結果、組織全体で間違った方向に努力をしてしまい、業績に貢献する人材が育たなくなるリスクがあるのです。

人事評価制度を運用していく上では、運用方法も大切です。運用内容によっては、その目的の1つである「人材育成」を達成できない可能性が高まります。

たとえば年次での目標設定や評価の場合、リアルタイムでのフィードバック・反映ができず、社員の成長が妨げられてしまうかもしれません。長いスパンでの人事評価制度は、社員一人ひとりの日々の課題や成果、業務内容が見えにくくなります。それにより、適正な評価ひいては適切な人員配置ができず、社員本来の能力を発揮させたり、成長を促進させたりすることにも支障が生じるでしょう。

評価の属人化も、人材育成を妨げる要因です。評価者によって評価のブレがあると、被評価者が今後どのように行動していけばよいかが分からず、成長につながりません。

社員に浸透・定着していない

組織・社員全体に人事評価制度の意義や目的、具体的な運用方法などが浸透・定着していないことも、よく見受けられる課題です。

せっかく手間や時間をかけて人事評価制度の構築をおこなっても、社員一人ひとりにしっかりと浸透していなければ、効果的な運用は難しくなるでしょう。

社員に人事評価制度が浸透・定着していなければ、先述した評価者による評価のブレは大きくなります。その結果、「自分の成果や能力を適切に評価されていない」「どういう基準で評価されているかわからない」と、評価を受けた社員からの不満も大きくなってしまうのです。

社員全員に浸透・定着していない人事評価制度は、公平性・透明性の担保ができず、機能しなくなってしまいます。

人事評価制度を見直すことで期待できる効果

人事評価制度を見直すことで、以下のような効果を得られます。

  • 適材適所の人員配置ができる
  • 社員のエンゲージメント向上が期待できる
  • 有効な人材育成が叶う
  • 企業の業績向上につながる
  • 多様な働き方に対応できる

それぞれ詳細を見ていきましょう。

適材適所の人員配置ができる

人事評価制度を導入することで、社員の能力や得意なことを可視化でき、適切な人員配置をおこなえるようになります。

しっかりと構築された人事評価制度では、社員一人ひとりの特性やスキルを把握できます。人事評価制度はただ結果を見るだけではありません。定期的に面談などを実施し、進捗も管理します。成果・実績だけでなく、個々の社員における得手・不得手も把握できるようになり、スキルの管理もしやすくなります。

各社員の特徴や適性を掴むことで、誰をどの部署に配属するかといった人員配置を適切に実施することも可能です。適材適所の人員配置ができるようになれば、業務を効率的・生産的にこなせるようになるため、新たな人材を採用する必要性が減り、採用コストの削減にも期待できるでしょう。

社員のエンゲージメント向上が期待できる

適切な人事評価制度によって、社員のモチベーション・エンゲージメントの向上も期待できます。

公平性の高い人事評価をおこない、評価を処遇に反映させる仕組みを整えることによって、社員の日々の頑張りや成果を正当に評価できるようになります。それにより、「周りから認められている」「しっかりと自分を見てくれている」という信頼感や安心感を社員に与えられるようになるでしょう。また、評価基準が明確で透明性の高さも担保されていれば、社員から評価への納得度も高まります。

このようなメリットが積み重なることで、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上が期待できるのです。

有効な人材育成が叶う

人事評価制度では、目標に対しての達成度や課題なども明らかになるため、社員のスキルアップも期待できます。

人事評価制度では、企業のビジョンや個人の目標に対して、「何ができているのか」「課題となっているのは何か」「達成に至るまでにどのようなアクションを起こしたのか」を明らかにします。

明確な目標・評価項目・基準があることで人材のマネジメントもしやすくなり、有効な人材育成に期待できるでしょう。また、課題が明らかになることで、上司がフィードバックやサポートをおこなったり、学習や研修を重点的におこなったりといった施策も講じやすくなり、社員の成長を促します。

企業の業績向上につながる

人事評価制度を正しく機能させられれば、企業の業績向上にも期待できるでしょう。

人事評価制度では、具体的な評価項目・基準・指標を示します。それにより、社員に対して、目指すべき人物像や習得すべきスキル、おこなうべきアクション、評価につながる業務を明示できます。人事評価制度を通して企業の理念やビジョンを示すことで、社員への意識づけも可能です。

こうした取り組みにより、社員の方向性や意識が統一され、一人ひとりが目標達成に向かってまい進するようになります。その結果、組織全体で生産性の向上が期待でき、企業の業績向上にもつなげられるでしょう。

多様な働き方に対応できる

社員一人ひとりをしっかりと見られる人事評価制度を構築すれば、リモートワークなどの多様な働き方にも対応できるでしょう。

昨今では、コロナ禍の影響を受けるなどして働き方の多様性が増しています。とくにリモートワークや「ABW」を推奨する企業の増加が顕著です。ABWとは、仕事内容や気分に合わせて、働く場所や時間などを自由に選択する働き方です。

リモートワークやABWは比較的自由な働き方ができる一方で、仕事ぶりを直に目で見て評価することが難しい、業務プロセスが見えづらいというデメリットもあります。

適切な人事評価制度の導入によって、働き方の多様化に対する課題の解決も可能です。人事評価制度を取り入れ、評価基準の明確化や目標管理の採用、成果の定量化をすることによって、多様な働き方にも対応できるようになります。

【課題別】人事評価制度を見直す際のチェックポイントと対策

人事評価制度の見直しは、課題別に必要な対策が変わってきます。
代表的な課題としては、以下の3つが挙げられるでしょう。

  • 属人的な人事評価制度になっている
  • 求める人材が育たない
  • 社員に浸透・定着していない

各課題が生じている場合のチェックポイントと、必要な対策について解説していきます。

属人的な人事評価制度になっている際のチェックポイントと対策

属人的な人事評価制度になっている場合には、以下2つのポイントを確認しましょう。

  • 誰でも公平な評価をできる評価レベルが設計されているか
  • 評価項目の数は適切か

それぞれの詳細について解説します。

誰でも公平な評価をできる評価レベルが設計されているか

曖昧な評価を極力排除するためには、JND(丁度可知差異、最小可知差異)を意識した評価レベルづくりが大切です。

評価者によってブレが生じるような曖昧な評価レベルの場合、属人化してしまうリスクが高まります。たとえば、ある能力を評価する際に、「ある程度できている」「それなりにできている」「あまりできていない」といった評価項目があったとします。この場合、それぞれの違いは曖昧であり、人によって評価が大きく別れてしまうでしょう。

評価レベルは、明確かつ誰もが評価しやすいものでなければなりません。その際に有効なのが、JND(丁度可知差異・最小可知差異)です。
JNDとは、ある基準となる感覚刺激から、はっきりと弁別できる、違いを認識できるか否かの境目を指します。

JNDを取り入れることで、個人の主観が排除された評価レベルの定義ができるようになるでしょう。JNDを取り入れる際には、「評価4:〇〇な業務を▼▼なレベルで遂行できている」といった具合に設定します。

評価項目の数は適切か

評価が属人化している際には、評価項目の数を見直すことも大切です。評価項目の数が適切でなければ、公平な評価はしづらくなってしまいます。

評価項目数があまりに少なすぎると、社員を一面的にしか捉えられず、評価そのものが成り立ちません。

一方で、評価項目が多すぎる場合も問題です。日々意識して見ることのできる領域を超えてしまい、評価の焦点もぼやけてしまいます。
評価項目・レベルの設定は、「成果」「能力」のそれぞれにおいて5つほどまでが好ましいといえるでしょう。

求める人材が育たない際のチェックポイントと対策

求める人材が育たない場合のチェックポイントは、以下の3つです。

  • 組織・人事上の課題が明らかになっているか
  • 組織・人事上の課題解決にマッチした制度を選択できているか
  • フィードバックやフォローは適切か

各チェックポイントと、その対策について見ていきましょう。。

組織・人事上の課題が明らかになっているか

自社が必要とする人材が育成できていない場合は、組織・人事上の課題を洗い出せていないことが原因かもしれません。

組織・人事の課題が明らかになっていなければ、そもそも企業がどういう方向性で動いているのかが見えづらくなってしまいます。また、社員もどのような目標のもと、どう行動していったらよいかが分からなくなるため、成長へのモチベーションも失ってしまうでしょう。

組織・人事上の課題が明確化されていなければ、人事評価制度を運用しても効果が得られなくなる可能性が高いため、導入に際しては課題の明確化が必要不可欠です。企業の課題を明らかにすることで、社員一人ひとりの行動施策やビジョンも明らかになっていきます。目指すべき方向性が定まれば、社員はそこに向かって奔走しやすくなり、その過程で成長が見込まれるはずです。

組織・人事上の課題解決にマッチした制度を選択できているか

自社の課題解決に適した制度となっているかも、重要なポイントです。

課題が明確化されていても、その課題にコミットした人事評価制度でなければ、評価を通した行動方針が見えづらく、人材の成長も望めません。

人事評価制度を構築する際は、課題を解決に導けそうか、課題にコミットできているかを意識しましょう。

課題解決を目指した人事評価制度の導入によって、「どのような成果を出せば企業成長につながるのか」「そのためにどのようなアクションを起こせばよいのか」を社員に明示できます。その結果、一人ひとりのスキルアップや成長を促すことにもつながるのです。

フィードバックやフォローは適切か

人材を育成していくためには、人事評価に伴ってフィードバックとフォローを適切におこなっていくことも必要です。

人事評価制度は評価をしたらそこで終わりではありません。評価後のフィードバックまでをしっかりと実施することで、社員のその先の成長につながります。

適切なフィードバックがなされなければ、被評価者はどこをどう伸ばしたらよいか、何をどのように改善したらよいか、が分からないままになってしまいます。
また、評価の内容によっては、大きなショックを受ける社員もいるでしょう。

そのため、フィードバックで具体的な課題や改善点、取るべき行動を伝えること、今あるよい点を褒めたり肯定したりすることが大切です。適切にフォローしていくことで、人材の育成を促進できるようになります。

社員に浸透・定着していない際のチェックポイントと対策

人事評価制度が社員に浸透・定着していない場合には、以下の観点に注意しましょう。

  • 人事評価制度を経営層が経営課題と捉えているか
  • 社内への説明は十分か
  • 社員に浸透するまでフォローアップをおこなっているか

それぞれのチェックポイントと対策について解説します。

人事評価制度を経営層が経営課題と捉えているか

社員への浸透・定着に課題がある場合には、経営層が人事評価制度を経営課題と捉えているかを見直すことが大切です。

企業において、人事評価制度を人事のみの課題と捉えてしまい、設計・運用に参画しない経営層も少なくありません。しかし、人事評価制度を人事に任せきりにしてしまうと、社員への浸透がしづらくなります。

社内に与える影響を高めるためには、経営層が人事評価制度に関わることが大切です。人事評価制度の構築は経営課題の1つとしてとらえ、経営層自らがトップに立ち、指揮をとっていくようにしましょう。

経営層が人事評価制度の構築の中心に立てば、企業の経営理念やビジョンもしっかりと社員に伝わりやすく、浸透もしやすくなります。スムーズかつ有益な運用を果たすためには、経営層の参画が必要不可欠です。

社内への説明は十分か

浸透・定着に課題がある場合には、しっかりと説明ができているかを見直すことも重要です。

人事評価制度は、社内への徹底した周知ができた時点で初めて導入準備が整います。人事評価制度が構築できたからといってすぐに導入に移ってしまうことで運用がうまくいかなくなるケースも、少なくありません。

社員のためを思って制度を構築しても、詳細かつ明確な説明ができていなければ、設計に参画していない社員は制度の意義や目的を理解できません。その結果、運用ルールを守らない、そもそも運用をしないといった問題が生じることがあるのです。

そのため、導入前には必ず社内への周知を徹底するようにしましょう。
具体的には、新しく導入される人事評価制度の詳細に関して、以下のような方法で周知していきます。

  • 社内で説明会を開く
  • 資料を社員全員に配布する
  • 質問会を設ける
  • 導入前に個人との面談を設ける

社員一人ひとりが人事評価制度への理解を深められるよう努めることで、全社的な浸透・定着がしやすくなります。

社員に浸透するまでフォローアップをおこなっているか

人事評価制度を浸透させるためには、徹底的にフォローアップをしているかの確認も必要です。

社員へ説明しただけでは不十分であり、しっかりと一人ひとりに浸透するまでフォローアップをおこなっていかなければなりません。導入予定もしくは導入された人事評価制度に関して、不明点がないか、理解できていない点は何かを確認しましょう。そしの結果、不明点などがあれば、丁寧にフォローアップを実施していきます。

社員への周知・浸透には多大な時間をかけても構いません。どれだけ時間を費やしたかよりも、社内全体が共通認識を持てているかに意識を向け、フォローアップに徹しましょう。全社的に共通認識を持てれば、運用をスムーズに進められます。

人事評価制度見直しの事例

最後に人事評価制度を見直した事例をご紹介します。
どのような要領で見直しをおこなっていくのかの参考にしてください。

アンドールシステムサポート株式会社

アンドールシステムサポート株式会社では、多様な働き方を前提とし、「評価軸」「評価スケール」「評価項目」「運用方法」の4つの観点から人事評価制度の見直しをおこないました。

同社では、長年にわたって人事評価制度の見直しがされていなかったことから、会社のビジョンや求める人材要件と人事評価制度が合致していない、という問題がありました。また、評価と昇進・報酬とがリンクしていないために、社員からの納得感を得づらい、評価者によって評価のブレがある、という課題も抱えていたようです。

そこで、評価の目的や基準をより明確化し、現場において公平かつスムーズな運用をおこなうために、以下の4観点で改善をおこないました。

項目 内容
①評価軸の再定義 「能力」「経験」「スキル」「職務行動」など、求める人材像に沿って評価軸を設定
②評価項目の再整理 評価軸に対し、一般職・管理職の役割期待に応じて評価項目を設定
③評価スケールの再設定 評価の納得感を向上させるため、各評価項目における評価点の基準を設定
④運用方法の見直し 評価結果を社員成長につなげられるように、自己評価と上長評価を擦り合わせるなど運用を変更

評価制度の再設計に際して、現場の意見を反映した制度になるよう心がけたのもポイントです。長期的な視野で、人事評価制度と報酬制度・等級制度がリンクするような仕組みづくりを目指しています。

参考:人事評価制度の見直し 事例:アンドールシステム株式会社|厚生労働省

HISホールディングス株式会社

HISホールディングス株式会社では、社員の半数以上がテレワークをおこなう中で、テレワークを前提とした評価制度の必要性に着目しました。そこで、2020年冬より人事評価制度の見直しを開始します。

現場へのアンケートを実施したところ、以下のような課題が浮き彫りになりました。

  • 評価項目が多いために入力箇所が多すぎる
  • 評価基準が属人的である
  • ランクアップの基準や考え方の展開がされていない
  • 評価とそれに基づく反映の関連性がわからない

そこで、課題解決にポイントをあてた新たな人事評価制度の構築をおこなったのです。

「共通能力」「技術能力」「管理能力」「貢献度」の4分類でおこなわれていた旧評価では、能力や勤務態度がメインとなっていました。しかし、テレワーク下では、公平性の高い評価が難しいという課題に直面します。また、ジェネラリストが優遇される評価制度となっていたという問題もあったようです。

そうした問題の解消に向けて、上記4分類を「能力評価のための項目」と「成果評価のための項目」に位置づけを改めることとしました。同時に、バラバラだった評価のタイミングも統一しました。

今後も、策定した改善案をもとに、引き続き制度の詳細を詰めていく方針です。

参考:人事評価制度の見直し 事例:HISホールディングス株式会社|厚生労働省

まとめ

人事評価制度の見直しに成功すれば、適材適所の人員配置や、社員のエンゲージメント向上、有効な人材育成の実現が期待できます。ひいては、企業の業績向上も見込まれるでしょう。

ただし、人事評価制度の見直しには多くの注意点があり、必要な対策を講じていないことで失敗してしまうケースも少なくありません。見直す際には、本記事で解説したポイントを漏れなく反映させることが大切です。
ぜひ再設計の際に役立ててください。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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