正しい目標設定やり方とは? - 株式会社スキルアカデミー

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正しい目標設定やり方とは?

正しい目標設定やり方とは?
  1. 目標設定についてよくある課題
  2. 業績指標の種類とその特徴

最近ではジョブ型成果主義人事制度の有無に導入に関わらず、目標管理制度(MBO)を導入している企業も少なくありません。

しかしながら、効果的に目標管理制度を運用できている組織はそう多くありません。
当記事では、目標管理制度(MBO)中でも、最も重要な目標設定の正しいやり方についてわかりやすく解説します。

目標設定についてよくある課題

まず実際に目標設定について、巷でよく聞かれる課題の例をいくつか紹介します。

  1. 環境や情勢の変化に大きく影響されるので目標が立てられない
  2. 目の前のことに追われて、目標に構っていられない
  3. 目標としてうまく書き表せないもので重要なものもある
  4. 1年単位では目標設定できない
  5. 年中行事で仕方がないから目標を立てる

一つ一つ見ていきましょう。

1.環境や情勢の変化に大きく影響されるので目標が立てられない

これは目標設定をする際によく聞かれる質問です。ますます不確実性を増している昨今では確かに「環境や情勢の変化に大きく影響される」というのはその通りなのですが、一方で企業はそういった中でも中期経営計画、年度の事業計画を立てているわけです。不確実性もある程度あるという前提のもと、そういった計画を立てているのですから、それに基づいて成果目標を設定するということが重要です。

2.目の前のことに追われて、目標に構っていられない

本来目標管理制度における目標は、会社の経営計画に基づき、各職務が、会社に対してどのような責任を負うのかについて記載した「成果責任」に基づき設定されます。成果責任は通常、仕事全体を5~9の塊に分類してその中で業務全体を表すものです。
その成果責任に基づいて成果目標を設定しているのであれば、このような質問は出てこないはずです。もしここで言う「目の前のこと」が目標と関係のない仕事であれば、そもそもその仕事自体をやるべきなのかを今一度見直す必要があります。

3.目標としてうまく書き表せないもので重要なものもある

こちらも2,と同じで、仕事全体を表している成果責任に基づき目標設定しているはずですので、もしそこに重要なものがあるとすれば、それをきちんと目標として設定するべきです。

4.1年単位では目標設定できない

たとえ2,3年で達成する目標があったとしても、その途中経過として年度毎の目標は設定できるはずです。その場合は3年なら3年の長期目標に基づき、そのうち今年度はどこまで達成するのかを設定します。

5.年中行事で仕方がないから目標を立てる

目標管理(MBO)は「Management by Objectives」の略語であり、マネジメントの父と言われている経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した理論です。
目標管理とは組織のマネジメント手法の一つであり、会社で働く様々な立場の従業員が目標を設定し、一定期間内にその目標を達成できるように自発的に行動することを目的としています。また、目標の達成を目指してそれぞれの従業員が努力をすることで個人の成長が見込まれ、その先にある組織全体の成長につながります。まずはこうした目標管理(MBO)の本来の考え方に立ち戻ってその理解を理解しましょう。

以下に、成果責任と目標成果目標の例を示します。
成果責任は通常、中長期な視点で「(領域)を(方向性)する」といった形で記載されます。例えば「法人事業部の売上高を向上させる」といった具合です。これに対して、目標は単年度で設定するもので「(指標)を(水準)する」と言った形で記載されます。例えば「法人事業の売上高10億円を達成する」といった具合です。

図1

目標の3つの要素

設定する目標の質を決める上で重要な要素として、「何が」「どうなっている」「いつまでに」の3つが挙げられます。
「何が」の部分は、売上高、利益額、品質「業績指標」を表します。
「どうなっている」は、「達成水準」を表し、これは売上高や利益額であれば「10億円」などの数値や、人材育成のような定性項目であれば「当部長に必要な知識、経験、人脈を特定し、AさんとBさんを、部長の代行可能なレベルまで育成する」といった、実現したい質的な水準を具体的に表したものとなります。
そして、「いつまでに」は、設定した目標を達成する「期日」を表します。

業績指標の種類とその特徴

業績指標はその特徴により、以下のようなマトリクスで表すことができます。

図2

赤い部分が成果に直結するもの。それに対して青い部分は成果に結びつくとはは限らないプロセスで見る指標です。
定量的な指標は達成水準の設定が容易ですが、質的指標になると水準設定が難しくなります。ここでのポイントは、定性・定量に関わらず可能な限り成果に直結するもの(赤い部分)の指標で表すことです。
ただし、成果達成までの道のり長い場合は、マイルストーン設定のようにプロセスの業績指標を設定する方が適切な場合もありますし、特に若手などの場合は、その仕事の特性上、明確な成果としての目標を持ちにくいケースというのもあります。
例えば売上目標。いくら売り上げろという目標設定はなかなか難しいので、いくら売り上げるために、何回顧客を訪問する、あるいは何回営業プレゼンをする、商談回数というようなプロセスを評価するような目標設定になることがあります。

業績指標の選び方で本人行動は変わる

業績指標の選択にあたって、同じような項目で、どの指標が適切か迷う時があります。その意味合いは変わってきます。例えばプロ野球選手の成果責任が「ヒットメーカーとして最高水準の成績を残す」というというものであったとします。その場合の業績指標としては、例えば「打率」や「安打数」といったものが考えられます。例えば「打率」の場合は「3割3分3厘」というのが達成水準になります。「安打数」の場合は「200本」といった具合です。この2つの業績指標によってその選手の行動はどう変わるでしょうか?
業績指標が「打率」の場合、打てないと下がるため、この選手は打席から逃げたくなる時が必ず起こることになります。一方、「安打数」の場合は、必ず積み上がっていくため、常に打席に立ちたくなると考えられます。
これを営業の事例で考えてみましょう。例えば目標が「開拓件数10件」の場合と、「新規売上1億円」の場合それぞれについて、上司から込められたメッセージは何でしょうか?「開拓件数10件」の場合に込められたメッセージは件数を指標にしていますので「徹底的に回れ」ということになります。一方「新規売上1億円」は金額を規定していますから(件数はともかく)「選別しろ」ということになります。
このように業績指標の選択は、本人の行動は大きな影響を与えます。

目標のチェックポイント「SMART」

これまでのべてきた通り、目標設定にはいくつか注意する点があります。それらに基づいて正しい目標設定ができているかどうかをチェックする観点として、「SMART」というのがあります。

Specific
具体的な指標、水準になっているか
Measurable
水準を測定可能なように設定しているか
Achievable
達成可能な目標か
Relevant
関連性、妥当性のある目標になっているか
Timing
適切なタイミングを盛り込んだ目標となっているか

自分で設定した目標が正しく行われているかを一度上記の観点から、チェックしてみるのもよいでしょう。

以下、目標設定の良い目標、悪い目標の例を載せておきますので、悪い例が何故悪いのか、を確認してみてください。

図3

正しい目標設定が簡単にできるAI人事4.0

株式会社スキルアカデミーが提供する、ジョブ型成果主義人事クラウド「AI人事4.0」は、AIとクラウド技術により、これまで述べてきた「成果席にの設定」から「目標設定」そして「評価」までを誰でも簡単にできる仕組みです。
特に今回述べた目標設定では、自分自身で設定した目標について、これまではコンサルタントが目標の内容をチェックし、正しく設定されていない場合は介入が必要でした。しかしAI人事4.0では、システムで入力した目標を「SMART」の観点から、AIがチェックし、アドバイスをする仕組みを提供しており、誰でも正しい目標設定が簡単にできるようになります。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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