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1on1の効果的なやり方を徹底解説!成功に導くコツや注意点についてもご紹介

1on1の効果的なやり方を徹底解説!成功に導くコツや注意点についてもご紹介
  1. 1on1ミーティングとは?
  2. 成長を促す1on1ミーティングの効果的なやり方
  3. 1on1ミーティングで導入効果を上げるコツ
  4. 1on1ミーティングをおこなう際の注意点
  5. 1on1ミーティングの導入事例
  6. まとめ

「人材育成などに1on1が効果的と聞いたので、導入を検討している」「とりあえず導入してみたが、やり方に自信が持てない」といった悩みや課題を抱える企業もいることでしょう。

1on1は、部下の育成や組織力強化に大きな効果を発揮するものの、やり方を間違えると意味がないどころか、手間や時間だけがかかってしまい逆効果となってしまいます。
1on1の導入にあたっては、さまざまな点に注意しなければなりません。

本記事では、1on1で成果を出したい方に向けて、効果的な進め方やポイント、注意点を解説します。最後に企業事例もご紹介していますので、自社での取り組み方法を検討する上でのご参考にしてください。

1on1ミーティングとは?

1on1ミーティング(1on1)の具体的なやり方を知る前に、そもそも1on1とは何なのか、理解を深めておきましょう。1on1の本質をしっかりと理解している場合としていない場合とでは、成果に大きな違いが現れるものです。

1on1とは、上司と部下が対話する形式のミーティングを指します。詳細は後述しますが、上司が部下の話を傾聴することや、評価・批判をしないことを重視するのが特徴であり、実施の目的は「指導」ではなく、部下が主体的に考えて行動することによる「部下の成長」や「組織力向上」などです。

本章では、1on1で得られる効果や、人事評価面談との違いについて深掘りしますので、1on1の理解を深める上でのご参考にしてください。

1on1で得られる効果

先述したように、1on1では部下の育成や組織力の強化が期待できます。ミーティングを通じて仕事に関する現状や悩み、課題などについて話すだけでなく、プライベートな内容も含め、上司と部下がコミュニケーションを取ることで、相互理解を深めていけます。

また、副次効果として上司は部下や組織の業務進捗・状況などを詳細に把握できるため、チーム全体のパフォーマンス向上にのためのマネジメントをする上で、重要なインプットになることも利点といえるでしょう。

そのため、1on1の実施によって、部下のモチベーション向上から成長促進、組織力の強化、上司側のマネジメント力向上までさまざまなメリットが期待できるのです。ひいては、生産性の向上や離職率の低下にもつながるでしょう。

1on1と人事評価面談との違い

1on1と人事評価面談は似ているものとして捉えられがちですが、実施目的も性質もまったく異なるものです。

人事評価面談は、一定期間における社員の成績や行動をもとに評価をおこなうための面談であり、上司が一方的に話すことが多いのも特徴です。

対して1on1は、上司と部下との対話型のミーティングであり、社員の自己成長を促し、エンゲージメントの向上を図ります。1on1は、基本的に「部下のため」のミーティングであるといえるでしょう。

実施頻度も、1on1と人事評価面談における大きな違いです。人事評価面談が半期や年に一度といった比較的長いスパンでおこなわれるのに対し、1on1は週1回〜月1回など短いスパンでおこなわれます。

大きく異なるのは、話す内容についても同様です。
人事評価面談では業務目標や達成度などがメインとなるのに対して、1on1ではプライベートな話題から業務も含めた現状の把握、キャリア形成に関するバックアップなどと話題が多岐にわたります。

そのほか、人事評価面談では上司がメインとなって伝えたり質問したりするのに対し、1on1では基本的に部下が話し、上司は傾聴に徹するといった違いもあります。

1on1 人事評価面談
実施目的 部下の自己成長を促すことや、エンゲージメントの向上が目的 一定期間における社員の成績や行動をもとに評価をおこなうことが目的
頻度 週1回~月1回 半期や年に一度
内容 プライベートな話題から業務も含めた現状の把握、キャリア形成に関するバックアップなどがメイン 業務目標や達成度などがメイン
話し方 上司と部下との対話型のミーティングで上司は傾聴にまわる 上司が一方的に話すことが多い

1on1と人事評価面談との性質の違いをしっかりと理解して、人事評価面談とは異なる形で1on1を実施していくことが、成功させるためのポイントです。

成長を促す1on1ミーティングの効果的なやり方

1on1で効果を得るためには、以下の流れで実施しましょう。

  1. テーマ領域の設定
  2. 取り組みテーマの決定
  3. 現状の把握と目標の設定
  4. ギャップの背景や原因特定
  5. 改善策の提案・策定
  6. 次回日程の決定

それぞれ意識すべきポイントや注意点を解説します。

1.テーマ領域の設定

1on1を成功に導くには、まずは取り組むべきテーマ領域をしっかりと設定することが大事です。
1on1の取り組む領域明確化し、それらを上司と部下の共通認識として持った上で、目的に沿ったテーマの洗い出しをおこないましょう。

一般的には取り組みテーマの領域は、あらかじめ全社で決められることも多くあります。
例えば、目標管理制度(MBO)で設定した目標達成に向けて、どのように取り組んでいくのか、直面した課題にどう取り組むのかを部下が主体的に考えるといった際にも1on1は有効です。
能力の向上では、具体的に取り組む能力項目(例:知識・スキル・コンピテンシーなど)について1on1を実施するケースもあります。
その他では、日々の業務の改善提案や、チームへの貢献など様々なテーマが考えられます。
こうしたテーマ領域の設定は、部門ごとの自主性に任せるというやり方もありますが、一方で全社的に目標管理制度(MBO)や能力評価制度を導入しているのであれば、1on1で取り組むべきテーマ領域をあらかじめ組織として決めておくのもよいでしょう。

2.取り組みテーマの決定

テーマ領域を設定したら、その中で具体的にどのようなテーマで取り組むかを決定します。
テーマの設定にあたっては、上司からいきなり提案するのではなく、部下本人から主体的に取り組みテーマを提案してもらうことが重要です。
そのためには例えばあらかじめ1on1を実施する1週間位前に「次回はまず取り組むべきテーマの検討をしてみよう。●●さんが取り組みたいテーマを複数考えてきてくれる?私も考えてみるから」といった形で声がけしておくのも有効です。
1on1を実施当日には、できる限り本人の主体性を尊重し、適切なテーマが出てこなければ、自分が考えてきたテーマを言うのではなく、様々な質問を投げかけてみて、自分で考えることを促してみることが重要です。
こうすることによって、部下本人は設定したテーマを自分事として捉え、前向きに取り組むようになります。

3.現状の把握と目標の設定

1on1でのテーマが明確に定まったら、今度は現状の把握と目標の設定を実施します。ここでも部下本人が主体的に考え提案して決めていくことを尊重することが重要です。
上司が教えるのではなく、部下本人が主体的に目標を設定し、そしてその目標と現状とのギャップを正しく認識することが部下の成長を促す第一歩です。
目標と現在の状況をしっかりと言語化し、上司と部下とで認識を共にすることが重要です。

4.ギャップの背景や原因特定

目標と現状とのギャップが明確化されたら、「なぜそのギャップが生まれてしまったのか」という背景や原因を探りましょう。

選択した成長テーマに沿って対話しながら、どのような部分に原因があるのか、目標に達するには何が足りていないのかなどを明らかにしていきます。

話す割合としては部下が7〜8割、上司が2〜3割とすることが好ましく、上司が話す際にはコーチングとフィードバックを中心におこなっていきましょう。

この際には各テーマを話す目的を明確にし、あくまでも自然な会話の流れでおこなうことがポイントです。テーマの目的がうまく設定できていなかったり、上司が聞きたいことがメインになってしまっていたりすると、部下から実のある話を聞き出しにくく、実際の原因や背景を特定しづらくなってしまいます。

部下から価値のある話を引き出すには、「部下が話したいこと」「部下の現状把握」をメインに対話をおこないましょう。対話を通じて原因や背景が見えてきたら、それらをしっかりと分析していきます。

5.改善策の提案・策定

個人と組織の目標や現状、課題とその原因が明らかになったら、具体的な改善策を詰めていきましょう。改善策は抽象的なものではなく、しっかりとアクションとして起こせる具体的な内容にすることがポイントです。

この際には、上司が部下に対してアクションを「起こさせる」「管理する」のではなく、あくまで一緒に考え伴走する姿勢を持つことが肝心となります。1on1の内容は、以下のように細かく記録するようにもしましょう。

  • 質問内容や回答
  • 目標や現状の状況
  • 課題と分析内容
  • 解決策
  • ネクストアクションの考案

1on1の記録をしっかりと残しておくことで、次回、質の高い振り返りができるようになります。また、講じた解決策が適切だったのか、解決策として何が足りなかったのかの分析が確実にできるようになり、改善策のブラッシュアップにもつながるでしょう。

6.次回日程の決定

1on1を実施したあとは、次回の日程を決定して、近いうちに再度実施しましょう。1on1は短期間で効果の見えるものではありません。間隔が空いてしまうと効果測定がしづらくなってしまうなどして、1on1の効果は大きく低減します。

そのため、週1回〜月1回ほどの短期スパンで繰り返し、中長期視野で見ていくことが大事です。
1回の実施時間は大体30分以内に留め、部下の心理的負担にならないように心がけることもポイントといえます。

1on1を継続的に実施していくにあたって、3.の「現状の把握と目標の設定」から「ギャップの背景や原因特定」「改善策の提案・策定」、6.の「次回日程の決定」までを繰り返すようにしましょう。

1on1ミーティングで導入効果を上げるコツ

ここまで1on1の流れを解説してきましたが、実際に進めていく中では、次のようなポイントを意識することも重要です。

  1. 小さく始めて徐々に広げていく
  2. 上司のコーチングスキルを伸ばす
  3. PDCAを意識する
  4. 実施のハードルを下げ定期的におこなう

上記のポイントは、1on1の効果を高める上で役立ちます。

コツ1.小さく始めて徐々に広げていく

1on1の実施は、まずは1つのチームに導入してみるなど、小さな規模から始めていくことが大事です。上層部や人事が主導して強制的に1on1を導入すると、上司は「人事から言われたからしかたなくやっている」、部下は「上司にやらされている」という感覚が強くなってしまいます。

また、最初から全社的に取り組んでしまうと、1on1の管理や支援が行き届かなくなることから1on1の内容に粗が多くなりやすく、結果が出るまでに相当な時間を要してしまう点も問題です。チームごとのバラつきなども顕著となり、さらには「何のためにやっているのか」という目的意識も組織内で統一感がなくなってくるでしょう。

そのため、まずは1on1に興味を持っているマネージャーがいる部署などから始めることがおすすめです。小さく始めることによって、効果検証もしやすくなります。効果検証をじっくりとおこない、組織にとって有益であると判断したら、徐々に輪を広げていくことがポイントです。

コツ2.上司のコーチングスキルを伸ばす

1on1では、上司の「コーチング」スキルを伸ばしていくことも必要不可欠です。先述したように、1on1は基本的に部下のためにおこなうものであり、上司は傾聴しサポートする「伴走者」でなければいけません。また、上司には「コーチング」「アクティブリスニング」「フィードバック」「ティーチング」といったスキルも求められます。

  • コーチング:本人から課題や改善策を引き出すことで、主体的な行動や成長を促すコミュニケーション術
  • アクティブリスニング:会話の最初から最後まで相手の話をしっかりと聴き、受け止めるコミュニケーション術
  • フィードバック:相手の行動に対して評価や改善点を伝えるコミュニケーション術
  • ティーチング:経験豊富な者が知識やスキル、ノウハウを他者に伝えるコミュニケーション術

これらの対話スキルが上司に身についていなければ、効果的な1on1は行えず、意味のないものとなってしまうでしょう。そのため、1on1の実施前には、まず上司のコーチングスキルやアクティブリスニングスキルを伸ばすことが不可欠です。上司に対し1on1研修を実施して、学習機会を与えるようにしましょう。

コツ3.PDCAを意識する

1on1は、PDCAのサイクルを回しながら実施していくこともポイントです。
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのプロセスを繰り返すことで、継続的な業務改善を実現するためのフレームワークです。
PDCAは1on1のクオリティを高めていく上でも有用であるため、1on1の計画を立てて実行し、それを評価した上で改善に役立てていくというサイクルを回していきましょう。

1on1の実施に際しては「実行」の部分にばかり目がいきがちですが、計画と評価、改善も同等に重要なプロセスです。実行以外のプロセスにもしっかりと時間を割くことで、実行の品質を高められ、1on1で得られる効果を高めていけます。
また、PDCAサイクルを満遍なく回していくことで、目標ややるべきことが明確になったり、課題や不足している箇所などが把握しやすくなったりする点も利点です。

コツ4.実施のハードルを下げ定期的におこなう

1on1実施のハードルを下げ、定期的におこなうことも、継続的かつ効果的な1on1を叶える上でのポイントです。

先述したように、1on1は短期的に効果の出るものではなく、長きにわたって繰り返しおこなうことによって効果を発揮するものです。忙しい業務の間をぬって長時間の1on1を設ける、1on1で毎回部下が上司に自身のあげた功績を話さなければならない、などとハードルを上げてしまうと、部下の心理的負担は大きくなり、継続は難しくなってしまいます。

また、1on1の事前準備は大切であるものの、準備に工数をかけすぎるのも問題です。準備が大変であると負担がかかるのはもちろんのこと、「1on1を実施するための準備」や「1on1を実施すること」自体に意識が向きやすく、それが目的となってしまい、形骸化してしまうリスクがあります。

そのため、以下のような工夫を施して、実施のハードルを下げましょう。

  • 忙しい曜日や時間帯を避け短時間でおこなう
  • 上司が部下の話を否定したり指示したりすることはしない など

実施のハードルを下げる工夫をすることで、継続的に、かつ上司・部下とも心理的負担や時間的負担を抱えずにおこないやすくなります。ただし、1on1は短いスパンでおこなわなければ効果が得られないため、最低でも週1〜月1回の頻度で開催し、定期的におこなうようにしましょう。
コミュニケーションを習慣化させて、組織に定着させていくこともポイントです。

1on1ミーティングをおこなう際の注意点

1on1を実のあるものにするためには、以下のような事柄にも注意しましょう。

  • 一方的なコミュニケーションにしない
  • やりっぱなしにしない
  • 心理的安全性の担保を意識する
  • 中長期的な視野を持つ

やり方を間違えてしまうと、効果よりもデメリットのほうが大きくなるリスクがあります。
それぞれの詳細について詳しく見ていきましょう。

注意点1.一方的なコミュニケーションにしない

1on1で効果を出すには、一方的なコミュニケーションにはせず、あくまで「対話」を心がけなければいけません。1on1は指導や評価の場ではなく、あくまでも上司と部下との「対話」の場であるため、上司からの一方的なコミュニケーションの場とならないように細心の注意が必要です。

上司側は傾聴をして、相手のコミュニケーションスタイルや考え・意向を聴き、受け止めながら進めていく必要があります。業務における現状や改善点を、上司と部下とで共に振り返り、部下が課題や改善策、自身の成長した点などを自発的に気づきアクションできるよう、上司はサポートするようにしましょう。

上司側は常に「伴走」を意識するようにしてください。

注意点2.やりっぱなしにしない

1on1を実施するだけで満足しないようにすることも大切です。
1on1をただ実施するだけでは、高い効果は得られません。1on1自体は上司と部下の面談の場ですが、ただ話を聴くだけでは意味がなく、ミーティングで得た内容を部下の成長や組織力の強化につなげていく必要があります。

そのため、1on1で部下から意見や提案のあった内容に対して丁寧な振り返りをしたり、実行可能な改善策かどうかなどを一緒に考えて、適宜フィードバックやアクションのサポートをおこなうことも重要です。

その際には、何度も述べているように、上司は「指示」「管理」といった従来のマネジメントの考え方を捨てることがポイントといえます。1on1では、改善策を行動に落とし込めるようなアドバイスをしたりサポートをしたりと、寄り添う姿勢を意識しましょう。

振り返りがおこなえなければ「やりっぱなし」になってしまう可能性が高まるため、記録をしっかりと取り「継続」を意識することが大切です。1on1管理ツールなど、1on1の記録に特化したツールを利用することも1つの手です。スキルアカデミーの提供する人事クラウドAI人事4.0では、成果評価や能力評価制度と連動して、1on1をサポートする『目標トラッキングシステム』を提供しています。こうした機能をうまく使っていくのも一案です。

注意点3.心理的安全性の担保を意識する

部下の心理的安全性を担保できなければ1on1は成り立たなくなることにも、注意が必要です。
1on1では、部下が本音をしっかりと話せることが前提となります。本音を話せず表面的な対話になってしまうと、部下から実のある話を引き出しにくく、1on1をおこなう時間が無駄になってしまいます。その場合、本来の目的である「部下の成長」や「モチベーションの向上」「組織力の向上」も期待できなくなってしまうでしょう。

そのため上司側や上層部は、心理的安全性の担保を最優先とし、部下がリラックスして精神的負担もなく本音を話せるように、工夫を凝らすことが欠かせません。そのためには、傾聴に加えて、共感する姿勢も大切です。
また、部下が本音を話しやすいよう、上司自らが心を開き本音を話していくことも求められるでしょう。

注意点4.中長期的な視野を持つ

1on1は短期で効果の出るものではないと心得て、長い視点でおこなうことも重要です。
1on1を導入する際、短期的に成果が出ることを期待してしまいがちですが、1on1は短期で効果の出るものではありません。PDCAサイクルを何度も繰り返し、長期間にわたって継続と改善を繰り返していくことによって効果を発揮します。

また、1on1の目的は「部下の成長」ですが、成長には時間がかかるため、短期で効果検証のできるものではない点も心得ておきましょう。短絡的にとらえず、中長期的な視野を持って取り組むことが欠かせないのです。

上司だけが中長期的な視野を持っていても部下に欠けていれば、道半ばで部下のモチベーションが大きく減少してしまうこともあるかもしれません。したがって1on1では、効果が出るまでに相応の時間を要することを上司と部下の双方で共通認識として持ち、取り組んでいくようにしましょう。適切な1on1が習慣化し定着すれば、短期で効果が出ないことはさほど気にならなくなります。

1on1ミーティングの導入事例

最後に1on1の導入事例をご紹介します。

  • ヤフー株式会社
  • サイボウズ株式会社

自社で取り組んでいく際の参考にしてください。

事例1.ヤフー株式会社

ヤフー株式会社では、2012年より週1回30分程度の1on1を導入しています。

ヤフーでは、「経験学習というスキームの導入」と「社員の才能と情熱を解き放つこと」の2つをベースに1on1をおこなっているのが特徴です。また、ただ部下の話を聴くだけではなく、発言の真意や本音をくみ取った上でどうアクションに落とし込んでいくかや、部下自身もまだ気づいていない潜在能力の引き出しをすることを意識しています。最初の3〜5分間はできるだけ傾聴することを心がけ、1on1の最後には上司への要望を確認するようにしていることもポイントです。

導入当初は、ヤフー社内でも反対の声が上がっていたようです。そこで、「実行目的の明確化」「組織全体のマネジメント強化の効率化を社員に伝達」「経営層からのコミット」「客観的なフィードバックの継続」を必要要素としました。さらに、外部の専門家も含めてカリキュラムをヤフー向けにブラッシュアップし、1on1における管理職のスキルアップによって浸透を図りました。

取り組み開始後、徐々に展開規模を広げていった結果、現在では約6,000人の社員が1on1を実施しています。未来に向けたポジティブな問いかけやフィードバックを繰り返し、また上司は部下に関心を持つことで、内政と成長支援につなげているようです。

参考:「部下の自発的な行動を引き出す」1on1のコーチングとは|ヤフー株式会社
参考:「1on1ミーティング」で強い組織をつくる 人材育成のための部下とのコミュニケーション|ヤフー株式会社
参考:オンラインコミュニケーション時代の部下と上司の信頼の育て方 「1on1」講座|ヤフー株式会社

事例2.サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社では、週1〜月1回の約30分間、「ザツダン」という形で1on1をおこなっています。かつては離職率28%と高い離職率が課題だったサイボウズは、そうした状況下で社員の状況を把握したり、意見を聞いたりするため、元副社長の山田理氏が1対1で対話形式の面談を実施しました。

「ザツダン」では制度やルールなどはとくに決まっておらず、その名のとおり「雑談」として何でも話してよい時間としています。同社では、メンバーの成長促進のほか、コミュニケーション量の増加やメンバーの状況の把握をメインの目的としており、「メンバー」が働きやすい環境を形づくることも重視しているようです。

「雑談」をおこなうことによって、メンバーからは「心理的負荷を取り除けた」「仕事に関する悩みをリーダー(上司)と共有できる」といった声があがりました。リーダー側からは「メンバーにおける業務的・心理的な状況を把握でき、問題にいち早く気付ける」「成長と自立の促進ができる」といった声もあがっています。

また、定期的なコミュニケーションによってチーム内の人間関係も円滑になり、チーム力の向上も見られるなど、1on1でさまざまな効果を得られています。

参考:サイボウズ流1on1ミーティング「ザツダン」とは?|サイボウズ株式会社

まとめ

正しい1on1のやり方を知り継続的に取り組むことで、部下の自発的な成長や会社へのエンゲージメントの向上、組織力の強化などが期待できます。ただし、PDCAサイクルが回されていない、心理的安全性が担保されていない、短期的な視野を持っているといった状態で取り組みがされている場合、思うような効果を出すことは難しいでしょう。

本記事でご紹介した効果的なやり方や、導入効果を上げるコツをしっかりと意識して取り組むことで、1on1を意味のある有益なものにできます。他社の導入事例も参考に、適切な1on1を実践してください。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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