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1on1ミーティングとは?注目される背景やメリット、効果的な活用方法を解説!

1on1ミーティングとは?注目される背景やメリット、効果的な活用方法を解説!
  1. 1on1ミーティングとは
  2. 1on1ミーティングが注目される背景
  3. 1on1ミーティングの目的
  4. 1on1ミーティングのメリット
  5. 1on1ミーティングを効果的に活用する流れ
  6. 1on1ミーティングは運用方法によってはデメリットになってしまうこともある
  7. 1on1ミーティングを効果的に活用するポイント
  8. まとめ

近年、管理職と部下の1on1ミーティングを導入する企業が増加しています。長年米国シリコンバレーで活用されてきたマネジメント施策でしたが、日本でもヤフーが大々的に取り入れて成果を出したことにより、その普及が加速しました。

しかし、導入したもののなかなか効果を実感できない担当者の方も少なくないようです。1on1ミーティングで成果を出すためには、基本的な考え方や性質の理解が非常に重要となります。そこで、本記事では、1on1ミーティングの特徴やメリットといった基礎的な部分から、効果的に活用するポイントまでを解説します。

1on1ミーティングとは

1on1ミーティング(通称1on1)とは、部下の育成を主たる目的とする個人面談です。1on1ミーティングは、週に1回〜月に1回程度、定期的に実施され、一回の面談時間は30分〜60分程度で行われます。上司と部下が1対1で話し合う、人事評価面談と似ている部分がありますが、これらには以下の違いがあります。

関係性 頻度 内容 目的
人事評価面談 上司が主体 年数回 評価・指摘 人事評価
1on1ミーティング 対等 月数回 傾聴・提案・励まし 部下の成長

このような形式で面談を行うことにより、部下の内省や自律性を促し、部下が主体的に課題解決に取り組むようになるのをサポートするのが、1on1ミーティングの特徴です。

1on1ミーティングが注目される背景

ここからは、1on1ミーティングが注目される背景について詳しくみていきましょう。

VUCAの時代

現代はVUCAの時代です。VUCAとは、以下の4つの要素を指す言葉です。

  • Volatility:変動性
  • Uncertainty:不確実性
  • Complexity:複雑性
  • Ambiguity:曖昧性

少子高齢化の影響による労働人口の減少や、拡大するグローバル化、デジタル技術の進化など、ビジネスや社会の変化が激しく、未来の予測が困難な現代の特性を表しています。このように未来を予測することが困難な現代は、まさにVUCAの時代といえるでしょう。

変化の激しいVUCAの時代を生き抜くためには、前例にとらわれず、組織の潜在的な課題の発見とその解決策を立案・実行できる力が重要です。その力を身につける方法として注目を浴びているのが、1on1ミーティングです。

労働力の減少

未婚率の増加や出産率の低下などを原因とする少子高齢化や人口減少により、企業の労働力が例年減少傾向にあります。

実際に総務省のデータによると、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は、減少し続けており、2060年には1995年のおよそ半数である約4,800万人にまで減少すると推計されています。

年齢別人口推計の推移

出典:中小企業庁

また、ジョブチェンジも活発化してきました。これにより、長年エースとして活躍してきた社員が、別の企業に転職してしまい自社の戦略が低下してしまうケースも増加しています。

このような背景から労働力の減少が進行し続けており、企業は限りあるリソースでこれまで以上の生産性を確保することが必要になりました。そこで、部下一人ひとりの能力向上が期待できる1on1ミーティングの重要性が高まっています。

ジョブ型雇用制度の普及

近年日本で普及しつつある「ジョブ型雇用制度」導入前の足慣らしとして、1on1ミーティングが活用されるケースも増えてきました。

成果主義の性質が強いジョブ型雇用では、人事評価は職務の成果で決まります。このため、社員が望む処遇を獲得するには、自律的にキャリアアップに取り組もうとする姿勢が求められるようになります。

しかし、従来の年功序列性のメンバーシップ雇用に慣れている従業員が、ジョブ型雇用の導入により突然意識が切り替わるわけではありません。むしろ、適応できず多数のトラブルが発生するリスクがあります。そこで、ジョブ型雇用の導入前の下準備として注目されているのが、社員の自律性向上が期待される1on1ミーティングです。

1on1ミーティングの目的

1on1ミーティングの最たる目的は、部下の育成です。

通常のミーティングでは、上司は部下の話を十分に聞かずに、部下に一方的に指示や指摘をしてしまうことがあります。最初から答えを提示するマネジメント手法は、短期的には効率的な一方で、長期的には部下の主体性が育まれないという大きなデメリットがあります。

そこで効果的なのが、双方向のコミュニケーションが図れるように形作られた、1on1ミーティングです。1on1ミーティングでは、部下の主体性を重視し、上司は部下の意見や考えに耳を傾け、それらを尊重します。これを繰り返すことにより、「仕事は上司に教えられるもの」という意識が「仕事は自分で考え対処するもの」という意識へと変わっていき、部下の自発的な行動の増加に繋がります。

1on1ミーティングのメリット

1on1ミーティングには多くのメリットがあります。ここでは、3つのメリットに焦点を当てて、その詳細を見ていきましょう。

従業員エンゲージメントが向上する

1o1ミーティングでは、企業と従業員の絆や仕事に対する愛着の度合いなどを示す指標である、「従業員エンゲージメント」の向上が期待されます。従業員エンゲージメントが高い社員は、仕事に対して意欲的であり、生産性の高い傾向にあるといわれています。また、ギャラップ社の調査では、社員のエンゲージメントが高い企業は、エンゲージメントが低い企業に比べて、売上は20%、利益率は21%上回ったことが判明しています。

従業員の成長を促進させる

双方向の対話に主眼を置いた1on1ミーティングでは、一人ひとりの部下が抱えている課題や悩みに対して、上司はすぐに答えを提示しません。上司としての見解はひとまず置いておき、部下自身がどのように感じ、どのように行動していきたいのかを深掘りします。このようにして、部下に自分で考え、選択させる機会を与えることにより、部下の自律性・主体性を高められます。さらに、一人の成長が他の従業員にも影響を与え、従業員全体の成長も見込めるでしょう。

目標を達成できる組織を作ることができる

短い間隔で定期的に行われる1on1ミーティングでは、スピーディーに部下の行動に対するPDCAを回せるため、業務を進める上で抱える問題への対処が迅速かつ的確になります。これにより、部下一人ひとりの仕事の進捗が早くなります。

そしてそれだけではなく、1on1ミーティングは、指導では無くコミュニケーションに焦点を置いているため、組織内の意思疎通の頻度と精度も向上するでしょう。

これらにより、組織内全体のタスク処理が円滑に進み、組織全体で目標を達成できるようになるのです。

1on1ミーティングを効果的に活用する流れ

STEP1:1on1ミーティングの目的を設定し、社内周知する

1on1ミーティングの目的が共有されていないと、ミーティングの実施そのものが目的になってしまい、本来1on1ミーティングを通して得られる効果も得られなくなってしまうリスクがあります。いきなり1on1ミーティングを導入すると言われただけでは、場合によっては「忙しいのに時間が取られてしまう」「何を話せばよいかわからない」「話したことが評価に影響するのではないか」というような不安や不満を持たれてしまう可能性があります。そのようなことが起こらないよう、人事は、1on1ミーティング導入の目的と部下の中長期的な成長のための重要な時間であるということを丁寧に周知させるようにしましょう。

STEP2:1on1ミーティングのスケジュールを決める

上司は、部下とスケジュールを調整し、1on1ミーティングを実施する日時を決めます。1on1ミーティングは継続的に行うものなので、「毎週火曜日の〇時から」のように定期開催スケジュールにすることをお勧めします。ただし、業務の都合上一度決めた日時では都合がつかなくなってしまうような場合は柔軟に日時変更し、1on1ミーティングすることが過度なストレスにならないようにしましょう。

STEP3:1on1ミーティングを実施する

事前に用意したアジェンダをもとに、1on1ミーティングを実施します。1on1ミーティングでは、必ずしも毎回同じ話題を話す必要はありませんが、以前話した内容を振り返ることができるようになっていると良いです。ミーティングで話した内容を簡潔にメモを取り、上司と部下がお互いに見ることができるようにしておくと良いです。ただし、メモを取ることに集中してしまわないように注意しましょう。

STEP4:ミーティングの振り返りを行う

1on1ミーティングを始めた当初は、上司は「これで良かったのだろうか」と不安や疑問を感じることもあるかもしれません。また部下も心を開いて素直に話せなかったと思うこともあるでしょう。1on1ミーティングが定着し、効果を実感できるまでには早くても3ヵ月程度かかるとも言われています。1on1ミーティングにおけるコミュニケーションの質を向上させるためにも、ミーティングの最後に振り返りの時間を設け、話しやすい雰囲気だったか、言いたいことを話すことができたかなどをヒアリングしましょう。振り返りを含めたやり取りは、1on1ミーティングを実施するうえで有効であるだけではなく、上司部下間の信頼関係構築にもつながり、日常のコミュニケーションにも良い影響をもたらします。

1on1ミーティングは運用方法によってはデメリットになってしまうこともある

さまざまなメリットのある1on1ミーティングですが、恩恵を受けきれずに失敗に終わってしまうケースもあるのが実情です。ここでは、デメリットについても見ていきましょう。

ネタがつき雑談になってしまう

1on1ミーティングを繰り返し行っていくうちに、「話すことが無くなった」「特に深掘りしたいトピックもない」といったネタ切れが生じ、当たり障りの無い雑談になってしまうことがあります。

あくまで、1on1ミーティングの最たる目的は部下の育成です。ミーティングが形骸化し、話すこと自体が目的になってしまうと、本来の目的を達成できなくなってしまいます。

業務が忙しいと後回しにされてしまう

人員不足や日々膨大な仕事を抱える職場にとって、1on1ミーティングの尺をとるのが難しいケースもあります。日報や週報など別の優先順位の高いタスクをこなし、1on1ミーティングを後回しにしていくうちに、いつの間にか1on1ミーティングが立ち消えてしまうこともあるでしょう。

場合によっては信頼関係にヒビを入れてしまうこともある

信頼関係構築を狙う1on1ミーティングにおいてとても重要なことの一つが、部下の心理的安全性(非難などの不安なく発言できる心理状態)を確保することです。1on1ミーティングを取り入れたものの、「もっとこうした方が良い」「君の考えよりも私の方が正しい」といった指摘・非難が主体のミーティングを行ってしまったとします。この場合、「自分の話を聞いてくれない、否定ばかりの上司」という印象が強く残り、部下からの信頼を失ってしまうケースもありますので注意が必要です。

1on1ミーティングを効果的に活用するポイント

ここでは、失敗を回避し、効果的に活用するためのポイントについて見ていきましょう。

上司が話しすぎるのではなく部下の声に耳を傾ける

1on1ミーティング成功のためには、部下の話を丁寧に傾聴することが大切です。相手の話の内容のみに集中し、評価・判断を加えずに聴きます。1on1ミーティングでは、上司が話して答えを提示するのではなく、質問と傾聴により、相手の考えを引き出すことに徹しましょう。

そして、フィードバックする際には、前提として「正解、不正解はない」ということを部下に明言し、「部下Aの考えの他にも、Bという別の考えもある」という伝え方をすることも重要になります。

これにより、部下の心理的安全性が保たれ、部下は自分の意見や問題を包み隠さず話してくれるようになります。また、1on1ミーティングの目的である、主体性の向上も実現可能です。

相手の状況に応じて適切なアプローチをする

部下の成長を促進するために用いられる働きかけとして、「コーチング」という手法を聞いたことがある方も多いかと思います。コミュニケーションの取り方に絶対的な手法はなく、状況に応じてアプローチを使い分けることが大切です。以下に、主な働きかけの手法と、その手法が有効と考えられる対象者を整理しました。

内容 対象
ティーチング 答えを教える 新人
コーチング 自ら考えさせる 中堅社員
カウンセリング 悩みに耳を傾け、承認する 不調の社員
コンサルティング ティーチングよりも具体的かつ包括的に答えを教える 適宜社員

新人など、答えを持っていない部下には、コーチングが上手く機能しません。その場合には、まずは答えを教えてしまい、考え方やスキルの土台を作りましょう。

一時的に部下のメンタルヘルスに不調が起きている際には、カウンセリングにより、部下の悩みや苦しみに寄り添いましょう。誰しも精神的に前向きになれない時期はあるものです。そういった場合には、カウンセリングを用いて部下の気持ちを支えることが大切になります。

ティーチングだけでは効果が見込めなかった社員には、コンサルティングでより具体的かつ包括的に答えを教え、全面的にバックアップするのも良いでしょう。

事前にアジェンダの設定をしておく

アジェンダのテーマは、業務やプライベート、キャリア、心身の状態など、多岐にわたります。状況と目的に適したものを都度用意します。ここでは、2つの例をピックアップしてみました。

アジェンダ例1:業務について
前回のミーティングで取り決めた事項の進捗報告(部下)
賞賛や一層良くするためのアドバイス(上司)
次回のミーティングまでの業務目標の設定とコミットメント(部下)
フリーディスカッション(上司・部下と自由に意見交換)
アジェンダ例2:プライベートについて
最近の、楽しかったこと出来事や悲しかった出来事(部下)
趣味や夢中になっていることについて(部下)
こだわりや価値観について(部下)
フリーディスカッション(上司・部下)

通常の面談とは異なることを強く意識し、上司が指摘や意見に終始しないように注意しましょう。1on1ミーティングでは、部下の意見や考えの受容が何よりも大切となります。なお、プライベートはデリケートな側面もあるため、いきなり深い話題を持ちかけるのではなく、軽い話題から入り段階的に内容を深くしていきましょう。

まとめ

ビジネス環境や上司・部下の関係性が大きく変化している中で、1on1ミーティングは今の時代に適した人材を育てられるマネジメント手法です。導入により、今まで気づけなかった部下の長所や潜在的な課題を発見できるでしょう。導入後、短期的にはメリットよりもデメリットの方が上回るかもしれません。しかし、中長期的な視点で捉えると、会社にとって大きな利益が得られるはずです。まずは導入し、徐々に質の高いコミュニケーションを目指していきましょう。

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記事監修

前田 正彦(まえだ まさひこ) 株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO
前田 正彦(まえだ まさひこ)
株式会社スキルアカデミー 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学経営大学院(Sloan School of Management)修了。株式会社前田・アンド・アソシエイツ代表取締役(現職)。
株式会社NTTデータにて金融システムの開発に携わった後、 数々のコンサルティングファームにて、戦略立案から実行・定着までのプロジェクトを数多くリードしてきた。
その後人事・組織コンサルティングの必要性を痛感し、当該分野のプロジェクトを立ち上げ、戦略から人事・組織コンサルティングまで一貫したサービスを提供している。
スキルアカデミーにおいては、代表取締役CEOとしてAI人事4.0事業全体の推進をリードするほか、組織・人事・人材開発などの案件を数多くリードしている。
また組織診断・管理特性、職務等級制度・成果報酬制度などツールを開発。グローバル人事プロフェッショナル組織であるSHRM認定資格を取得。

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